トリガー条項が発動されたら、ガソリンの価格はどれくらい安くなる?

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ガソリンスタンド 政治・経済

トリガー条項が発動されたら、ガソリンの価格はどれくらい安くなる?

トリガー条項発動の法改正に数か月かかるので期待しない方が・・・

*ガソリンにかかる税金とは

ガソリンにかかる税金で一番大きいのが「ガソリン税」です。1リットルあたり48.6円の揮発油税と5.2円の地方揮発油税を合わせた53.8円がガソリン税になります。揮発油税は国に譲与される税金、地方揮発油税は地方公共団体に譲与される税金という違いがありますが、共に道路整備などを目的とした税金です。

ガソリン税は本来1リットルあたり28.7円だったのですが、道路財源の不足を理由に臨時の税金(暫定税率)25.1円が加算されて、現在の53.8円になっています。今回の「トリガー条項」はこの加算された25.1円の課税をなくすというものです。

ガソリンにはこの「ガソリン税」の他に石油石炭税と消費税10%もかかります。ガソリン税額は一定のため、価格が安くなれば税金が占める割合は大きくなります。

ガソリンの小売価格は地域によって少しずつ価格に差があります。地域の経済状況やガソリンスタンドの販売方針も価格に反映されます。店舗間の価格競争が激しい地域は価格が抑えられる傾向があります。

 

■「トリガー条項」が発動されるとどうなる?

さて、話は戻って、「トリガー条項」が発動された場合の影響を見てみましょう。

まず、ガソリン価格が1リットルあたり25.1円下がります。普段車をよく乗る人にとっては恩恵は大きいでしょう。

しかし、発動までには法改正が必要で、法案作成や国会審議を踏まえると「数カ月はかかる」と言われています。仮に発動されることになると、それまでは、なるべく安く買おうと買い控えが起こり、終了時にはガソリンスタンドに殺到する事態が想定できます。

国全体の影響を見てみましょう。1年間発動となった場合、国・地方合わせて1兆6000億円の減収となります。現行の仕組みではガソリン価格が130円を3カ月連続で下回らないと終了できないため、長期化する恐れもあります。国・地方の財政に多大な影響を及ぼすため、すんなり凍結解除というわけにはいかないようです。

 

■まとめ~家計への影響

「トリガー条項」発動はまだ検討段階ですが、仮にガソリン価格が下がったとしても、高騰していたものが少し高いくらいになったという効果でしかありません。

資源エネルギー庁の発表によると、3月28日時点におけるレギュラーガソリンの小売価格(全国平均)は、1リットルあたり174円です。25.1円値下がりしたとしたら148.9円です。2021年3月22日のレギュラーガソリンの平均小売価格が149.7円なので、1年前の価格と同じになったと言えます。ちなみに2020年3月は140円ほどでした。

政府の対策によって、ガソリン価格の高騰に目が行きがちですが、その原因となる原油価格の高騰はもっと広い範囲で家計に影響を及ぼします。電気代、ガス代のみならず、燃料費の高騰は生産コストを押し上げ、多くの食料品や生活用品まで値上がりすることが考えられます。

ただ、急激に値上がりすることは想定しにくいので、それほど値上がりに怯える必要はないでしょう。これまでどおりに無駄を減らすことで支出を抑え、収入を増やすための努力にエネルギーを使いましょう。

 

執筆者( 石倉博子)

 いしくらひろこ  ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP認定者)。“お金について無知であることはリスクとなる”という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。

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