トランプ氏「ハーバード大の非課税資格を剥奪」…政権の意向に従わない大学側に圧力強化
ついに本性を出してきたトランプ
【ワシントン=淵上隆悠】
米国のトランプ大統領は2日、名門ハーバード大を巡り、自身のSNSで「非課税資格を剥奪(はくだつ)する。彼らにはそれがふさわしい」と述べた。税制上の優遇措置を取り消す方針を示すことで、政権の意向に従わない同大への圧力をさらに強めた形だ。同大は声明で「優遇措置を取り消す法的根拠はない。米国の高等教育の将来に重大な影響を与える」と反論した。
トランプ政権は同大を「反ユダヤ主義」の拠点とみなし、学生の取り締まり強化などを要求した。しかし、同大が拒否したため、4月に補助金の一部を凍結した。大学側は凍結解除を求めて連邦地裁に提訴しており、対立が深まっている。
ハーバード大学の反ユダヤ主義について
ハーバード大学は29日、反ユダヤ主義とイスラム教徒への偏見に関する報告書を公表した。2023年10月のイスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃後、学生らが互いをどう扱ったかについて厳しく批判した。
ハーバード大のアラン・ガーバー学長は報告書に添えた書簡で、「われわれがコミュニティーに抱かせた高い期待に応えられなかった時期があった。申し訳なく思う」と謝罪した。入学者選考や苦情処理、教え方の提言が報告書には盛り込まれた。
ハーバード大で反ユダヤ主義を経験したとガーバー学長自身が認め、ユダヤ系学生の扱いや学内での人種問題を巡り、同大が政府の調査対象となる中で、報告書は公表された。ハーバードヤード(学内キャンパス)でのテント設営や反イスラエル抗議活動に加え、シオニストを支持する団体がデモ参加者の個人情報を同意なしに公開したとされる疑惑が浮上するなど、混乱に満ちた前年度を報告書は詳細に検証した。
ハマスによるイスラエル攻撃勃発後の反ユダヤ主義を巡り、連邦政府はハーバード大を厳しく批判。トランプ政権下では、大学のガバナンスや多様性プログラム推進、リベラル偏向へのより広範な非難に発展した。米政府は28日、 ハーバード大ロースクールの法学誌「ハーバード・ロー・レビュー」での人種差別疑惑で新たな調査を開始した。
ガーバー学長は24年1月に反ユダヤ主義とイスラム嫌悪に関するタスクフォースを設置。500ページを超える報告書には、ユダヤ人とイスラエル人、イスラム教徒、アラブ系学生らの大学生活に関する証言が含まれる。
反ムスリム・反アラブ、反パレスチナ偏見対策タスクフォースには、自らのアイデンティティーを明らかにすれば報復されるのではないかと恐怖を感じたというコメントや、偏見やヘイトに関係する事件への大学の組織的対応に不満が寄せられた。本人の同意なしに個人情報を公開する「ドキシング」も威圧的雰囲気を生んだという。
親パレスチナ抗議デモ参加者の多くが、530億ドル(約7兆5600億円)規模の寄付基金からイスラエルや米兵器メーカーに流れる投資の引き揚げを求めていたが、提言は行われなかった。ガーバー学長によれば、「イスラエルからの投資引き揚げ」の意図はないというハーバード大の立場は一貫している。
引用→ハーバード大、反ユダヤ・反イスラムに関する報告書公表-学長が謝罪
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