メキシコで本来は家畜の害虫である肉食バエの人間での被害症例が増加中
この半年での陽性症例数は2300件以上に
哺乳類の肉を食べるハエのヒトへの感染例が拡大中
メキシコで、ラセンウジバエという、まあハエの一種の「人間の症例が増加している」とうことについて、メキシコの報道メディアが伝えていました。
こんなラセンウジバエなんていう名前をなぜおぼえていたかというと、今年 4月に、アメリカ農務省が、「メキシコでのこの肉食バエの発生により、メキシコ産牛肉の輸入を停止する」と発表していたことがあったためでした。
それだけ大きな問題なのだなあと、そのとき知った次第です。
・メキシコで「肉食バエ」が蔓延していることを受けて、アメリカ農務省はメキシコ産牛肉の輸入停止を警告
BDW 2025年4月29日
このハエは、
> 牛や羊などの家畜の傷に卵を産み、これから孵った幼虫が生きた動物の肉を食う害虫である。
というもので、親のハエが、傷口や軟部組織などに卵を産み、生まれた幼虫は、「どんどんとその肉体を食べていく」というものです。骨に突き当たるまで食べ進めるそうです。
当然、それらの動物は弱り、場合によっては死亡してしまうのですが、しかし、私はこれは「あくまで動物の感染症」だと思っていました。
ところが、現在のメキシコでは、今回ご紹介する記事によれば、
> メキシコ南部で新たな症例の出現が公式に記録された 2024年11月以降、登録された陽性症例数は 2,398件で…
とあり、かなりのヒトの被害も出ていることを知りました。
ちなみに、記事の中に「不妊ハエの工場を再開し」という部分がありますが、これは、大量の不妊昆虫を野生に放つことにより根絶するというもので、ラセンウジバエについては、以下のようにあります。
ラセンウジバエは不妊虫駆除法が初めて試験された種であり、その後自然環境に適用され、1950年代以降、北米、中米、カリブ海の一部からこの種の制御と組織的根絶につながった。しかし、カリブ海と南米の熱帯および亜熱帯地域には現在も広く分布しており、流行地域から感染した動物を輸入すると、根絶された地域にこのハエが再導入される危険性がある。 wikipedia.org
いずれにしても、こういうものがさらに広く分布するようになると、なかなか厄介な感じですね。
報道をご紹介します。
メキシコでは、人間におけるラセンウジバエ症の症例が23件ある
México suma 23 casos de miasis por gusano barrenador en humanos
elpais.com 2025/6/26
今年に入ってから登録された累計感染者数のうち、13人が依然として入院中。
メキシコ保健省が疫学第 24週に相当する今週水曜日 (6月25日)に発行したニュースレターに記録した情報によると、メキシコでは現在、牛ラセンウジバエによるヒトの症例が 23件ある。
報告書によると、6月20日現在、17歳から 86歳までの 23人が、学名コクリオミア・ホミニヴォラックスによるハエ症と登録されており、主にチアパス州(症例の21件)とカンペチェ州で確認されている。
記録によると、患者のうち 13人が入院中で、2人は外来治療で容態が安定していると報告されており、8人はすでに退院している。
累計感染者数のうち 17人は男性で、そのほとんどが頭部と左下肢に症状が見られたと報告されている。
この情報によると、チアパス州の 12の自治体に感染者が集中しており、特に州都トゥストラから約 380キロ離れたタパチュラで感染者が増加している。
農業市場コンサルティンググループ(GCMA)のゼネラルディレクター、フアン・カルロス・アナヤ氏は、6月25日のフォーミュラニュースのインタビューで、メキシコ南部で新たな症例の出現が公式に記録された 2024年11月以降、登録された陽性症例数は 2,398件で、そのうち 2,048件はすでに終了し、350件は未解決であると付け加えた。
同氏は、以下のようにのべた。
「農業および国家保健・安全・農産食品品質サービスと保健省がアメリカ政府の対策と共同で講じた対策の一つは、監視と認識です。適切な時期に治療できれば、これは致命的ではありません」
このハエ症は、ヒトを含む哺乳類の生体組織を餌とするハエの幼虫によって引き起こされる感染症だ。
この疾患の主な原因は、学名コクリオミア・ホミニヴォラックス(ラセンウジバエ)だ。このハエは動物の傷口や外傷に卵を産みつけ、幼虫は生体組織を餌として成長し、進路上にあるあらゆるものを穿孔し、骨にまで達する。専門家によると、幼虫は鼻、口、耳などの軟部組織や自然開口部にも寄生する可能性があるとという。
人間への感染リスクは低いが、感染した動物と密接な接触がある農村部ではリスクが高まる。
昨年 4月以降、この再感染はメキシコ政府とアメリカ政府の間で紛争を引き起こした。
これは、この病気がアメリカ北部領土に侵入するのを防ぐため、メキシコの牛の北部国境が閉鎖されたためだ。この決定を受け、両国の当局が病気の蔓延を阻止するために動員された。米国は、チアパス州の不妊ハエ工場を再開し、テキサス州南部に新たな工場を建設するなどの措置を発表した。
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