Grokがアメリカ国防総省に採用され、その企業であるイーロン氏のxAI社が明らかに軍事産業企業として台頭する中で、氏の野望はどこに?
国防総省の一員となったGrok
ジャーナリストのジョン・フリートウッド氏という方が、イーロン・マスク氏の企業 xAI 社が「アメリカ国防総省と契約した」という報道を伝えていました。
そして、 xAI 社の AI といえば、Grok ということになりますが、Grok も 2億ドル (約 300億円)の契約で
「国防総省に採用された」
という内容でした。
採用が決定したのは、昨日(7月15日)のことです。
それ以外にも、イーロン氏の一種の「したたかさ」が非常によく見える最近の報道なのではありました。
私は、最近、比較的 Grok に質問したりすることも多いのですが、Grok も今や、アメリカ国防総省傘下のツールということになりそうで、それに加えて、アメリカ国内の情報収集にも用いられそうな感じではあります。
そのジョン・フリートウッド氏の記事をご紹介したいと思いますが、AI のことで疑問に思った場合、AI に聞けばいいということで、Grok 本人にもこのことを聞いてみました。
Grok への質問:Grokはアメリカ国防総省に採用されたのですか?
Grok の回答:
はい、Grokはアメリカ国防総省(DoD)に採用されています。2025年7月15日に、xAIが米国政府機関向けに「Grok for Government」を発表し、その中で国防総省との新たな契約が含まれていることが明らかにされました。
この契約は、連邦政府のAI機能強化を目的とした2億ドルの取り組みの一環で、Grokがデータ処理に使用される予定です。
ついでに、他の質問もしてみました。
Grok への質問:ということは、Grokはチャットボットでありつつも、アメリカの防衛用兵器ということになるのですか?
Grok の回答:
いえ、Grok自体は防衛用兵器ではありません。GrokはxAIが開発したAIチャットボットで、主に情報処理や質問応答を目的としたツールです。アメリカ国防総省(DoD)との契約では、Grokはデータ処理や分析を支援するために採用されていますが、これは軍事兵器としての用途ではなく、情報管理や意思決定支援のための技術的サポートを意味します。
xAIの発表によれば、Grokは政府機関の効率化やAI機能の強化を目的として利用されており、兵器としての役割は想定されていません。
Grok の場合、ここからさらにどんどん質問を具体的、あるいは先鋭化していくと、比較的正直に(客観的に)深掘りして検索してくれますが、今は時間もなく、このあたりまでとするとしても、ともかく、国防総省に「採用」されたのは確かなようです。
ともかく、ジョン・フリートウッド氏の記事です。
マスク氏のxAIとOpenAIは現在、防衛請負業者と兵器ベンダーである
Musk’s xAI and OpenAI Are Now Defense Contractors and Weapons Vendors
Jon Fleetwood 2025/07/15
イーロン・マスク氏の AI 企業である xAI は現在、国防総省との最大 2億ドル (約 300億円)の契約に基づき、米国政府向けの軍事技術を構築している。
このマスク氏の経歴の衝撃的な強化は、連邦政府効率化省(DOGE)における彼のリーダーシップに対する批判を受けてのものだ。
同省では、彼の監督下でパランティア社(ビッグデータ分析のためのソフトウェアプラットフォームを専門とする企業)の元社員らが、CIA が資金提供する監視会社を、アメリカ人に関する連邦政府のデータを統合する大規模な計画の中心に据えるのを支援した。
報道より
「本日、アメリカ国防総省の最高デジタル・人工知能局(CDAO)は、重要な国家安全保障上の課題に対処するため、国防総省による先進 AI 機能の導入を加速させるため、米国の主要フロンティア AI 企業への契約授与を発表しました」と、国防総省の最高デジタル・人工知能局は月曜日 (7月14日)のプレスリリースで述べた。
「フロンティア AI 企業は、最先端の AI モデルと技術の開発を主導し、フロンティア AI の活用に関する洞察に満ちた研究を行い、フロンティア AI 技術の潜在的なメリットとリスクの両方に対処するための先駆的な取り組みを行っています」
これにはマスク氏の「 Grok 」チャットボットも含まれており、Grok は今後、戦場、諜報活動、企業の活動をサポートするために米軍のデジタルインフラ全体に展開される予定だ。
アントロピック社、グーグル、、OpenAI 社は、xAI 社とともに、現在正式に米国の防衛請負業者であり、それぞれ 2億ドルの上限契約を獲得し、国防総省が軍事任務分野全体で「最先端の AI 機能の使用と経験を拡大する」のを支援している。
報道より
「アントロピック社、グーグル社、OpenAI 社、xAI 社への各 2億ドルの助成金により、国防総省は米国の最先端 AI 企業の技術と人材を活用し、様々なミッション分野におけるエージェント型 AI ワークフローの開発が可能になります」
「これらのパートナーシップを構築することで、国防総省による最先端 AI 機能の活用と経験が拡大し、これらの企業が米国産業界が提供する最先端の AI 機能を活用して、重要な国家安全保障ニーズを理解し、対応する能力が向上します」とプレスリリースには記されている。
アメリカ国防総省は、これらのツールは「戦闘分野における統合ミッションの必須タスク」の一環として「エージェント AI ワークフロー」を開発するために使用されるとして以下のように述べている。
「市販のソリューションを統合機能アプローチに活用することで、戦闘分野だけでなく、諜報、ビジネス、企業情報システムにおける統合ミッションの必須タスクの一部として、高度な AI の使用が加速されます」と CDAO の長官であるダグ・マティ博士は述べた。
この契約により、xAI 社は公式の武器ベンダーとなる。
国防総省は、Grok を含む最先端の AI モデルを、複数の連邦プラットフォームに統合しており、現在、国防長官室、統合参謀本部、戦闘コマンドに生成 AI ツールを提供している。
このタイミングは興味深い。
契約を獲得するわずか数か月前、マスク氏の xAI 社は、世界最大の資産運用会社であり世界経済フォーラムの公式パートナーでもあるブラックロック社が主導するシリーズCの資金調達で 60億ドル (約 9000億円)を確保した。
ブラックロック社の CEO ラリー・フィンク氏は次のように明言した。
「ブラックロックでは、行動を強制しています」 (※訳者注 / 意味がよくわからないですが、“At BlackRock, we are forcing behaviors.”と記されています)
現在、Grok はブラックロック社から資金提供を受けており、国防総省によって国家安全保障目的での認定を受けている。
同時に、マスク氏のテスラは中国のバッテリー大手 CATL 社への依存を続けている。CATL は中国共産党と非常に結びついており、アメリカ最大の海兵隊基地の 1つであるキャンプ・ルジューン基地はハッキングの懸念から同社のエネルギー貯蔵システムを撤去する必要があると判断したほどだ。
デューク・エナジー社は、中国共産党とつながりのあるハッカーがバッテリー通信システムを悪用して「電力網への電流の急上昇と遮断」を引き起こし、「連鎖的な障害」を引き起こす可能性があるとの警告を受けて、バッテリーの撤去は「バッテリーに起因する可能性のあるネットワークの脆弱性」によるものだと確認した。
中国の CATL 社はマイナーサプライヤーではない。
同社はテスラの米国サプライチェーンの中核を担っており、バッテリー部品や通信システムの提供に加え、テスラのネバダ州施設内に機器の設置も行っている。
日本を拠点とする英字週刊ニュース誌「日経アジア」によると、2023年時点で、テスラのバッテリー材料サプライヤーの約 40%は中国企業だった。
一方、世界経済フォーラムのパートナーであるブラックロック社の資金提供を受けたマスク氏の xAI 社は、「我々の戦闘領域における統合ミッションの必須タスク」のために国防総省のインフラに組み込まれている。
マスク氏は連邦政府との契約を削減しているわけではないが、他の場所ではそうするかもしれない。
現状は、マスク氏が軍に AI を販売している一方で、同氏の会社は米海兵隊が禁止したばかりの中国共産党関連の技術に依存しているというものだ。
これは、潜在的に侵害されたハードウェア上に構築された戦争用のソフトウェアだ。xAI 社は AI だけでなく防衛システムも構築している。
xAI 社は中国のリスクを考慮に入れた上で、アメリカの防衛システムを構築しているのだろうか?
ここまでです。
テスラ社のバッテリー材料サプライヤーの約 40%は中国企業、という日経アジアの報道にふれていますが、
「中国企業のさまざなツールはブラックボックス」
だということは事実だと思います。
5月に、米国に供給されている中国製太陽光発電インバータに「不正通信機器」が発見されたという報道がありました。以下にあります。
・米国に供給されている中国製太陽光発電インバータに「不正通信機器」が発見される。送電網が破壊される可能性も
BDW 2025年5月15日
リモート操作で「アメリカで大規模な停電を起こすことも可能」であるというようなことが書かれていましたが、結局、アメリカはさまざまな分野で、そのテクノロジーの根幹を中国に依存しています。
それらの機器は「場合によっては完全なブラックボックス」であり、これらもまた戦争的な概念の一環としますと、潜在的な戦争能力では、アメリカはなかなか厳しい状況かもしれません。
それとは別に、イーロン・マスク氏は「ほぼすべてのアメリカ人の個人データの取得」に成功していますので、アメリカ人への監視体制を築けるのも、政権や大統領ではなく、イーロン氏とその一派である可能性は相変わらず高いです。
イーロン氏のデータの取得に関しては、以下の記事にあります。
・マスク氏によるデジタル暴力革命が生み出す米国ディストピア化計画にトランプ大統領は気づいているのか?
In Deep 2025年2月13日
そりゃまあ、世界一の富豪になる人が非凡なわけはないのですけれど、この人の行うことや動向は気になるものです。
コブフェフェ翁は、すでにどうでもいい存在とも言える流れです。
刺激的な 2025年からの世界となりそうです。
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