“Xデー”はいつ? 迷走する「石破降ろし」の現状を整理すると《永田町大政局》の可能性が見えてきた

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“Xデー”はいつ? 迷走する「石破降ろし」の現状を整理すると《永田町大政局》の可能性が見えてきた

参議院選挙での大敗を受けて、自民党内に吹き荒れている「石破降ろし」。だが、その“結末”に不透明感が増している。

石破首相の進退をめぐる最大のヤマ場とみられていた自民党の両院議員総会は、8月8日午後2時半に始まり、石破茂首相(党総裁)は改めて「続投」への強い意欲を表明。「首相続投」に関して賛否双方の発言が1時間余り続いた。

だが、有村治子両院議員総会長が総裁選実施の是非に議論を絞るための「議事整理」を宣言したことで、会場の空気は一変した。有村氏の宣言を受け、10人余りの出席者が次々と総裁選の前倒しを主張。最終的に衆議一決の形で「総裁選挙管理委員会に対応一任」となった。

今回開催された両院議員総会は「党としての重要事項を決める権限」があるが、すでに党事務局は「総会の議決で総裁を解任することはできない」と説明していた。ただ、党則第6条4項には「党所属の国会議員と都道府県連代表各1名の総数の過半数の要求で総裁選を前倒しで行うことは可能」という、いわゆる「リコール規定」がある。

反石破勢力は「それを活用して総裁選前倒し実施につなげようと狙った」(党事務局)とみられている。これに対し、森山裕幹事長も総会終了後、記者団に「過半数が集まった場合は、ルールに基づき総裁選は前倒しになる」と明言した。

逢沢一郎・総裁選管理委員長は記者団に対して「党所属の国会議員と都道府県連代表に、総裁選前倒しへの賛否を確認する」との考えを示した。

8月末以降は「出たとこ勝負」の大混乱も

今後の焦点は「総裁選前倒しへの賛同が必要数に達するか」に絞られることになる。ただ、党内には「反石破勢力」に“裏金議員”が多く含まれることへの反発も根強く、“中立議員”の間では「旧安倍派などが仕掛けた権力闘争だ」(無派閥若手)との声も相次ぐ。

それだけに、「そう簡単に総裁選の前倒しが決まるとは思えない」(閣僚経験者)という否定的見方も少なくない。過去に例のない総裁選の前倒しについては、議員や地方県連の意向確認の方法などが明確ではなく、最終的には党執行部と総裁選管理委の協議で結論を出すしかないのが実情だ。

一方、石破首相はトランプ関税をめぐる日米交渉や、最終合意後の国内対策などに対応するため、「当面、続投が必要」(側近)との立場を繰り返している。しかし、8月最終週にまとめる参院選の敗因分析の報告・公表に伴って森山幹事長が辞任を表明すれば、その時点で石破首相も進退の決断を迫られる。

石破首相はすでに、8月30日に訪日するインドのナレンドラ・モディ首相との首脳会談をはじめとした外交日程を決めており、退陣を表明するとしても、そのタイミングは9月初旬以降になるとの見方が広がる。退陣表明後の自民党総裁選の日程などを考慮すると、9月下旬の国連総会での日本の首相の演説などは、石破首相しか対応できないことになる。

その場合、石破首相が退陣を表明しても、野党が早期召集を求めている次期臨時国会は10月初旬以降に先送りせざるをえなくなる。このため、自民党内には「石破首相の早期の退陣表明が政治空白や混乱の回避につながる」との声が多い。

ただ、その前提となる「続投宣言の撤回」がなければ、8月末以降は「出たとこ勝負の政局の大混乱という前代未聞の異常事態」(自民党長老)に突入する可能性も否定できない。

与野党幹部はお盆休みどころではない状況に

そうした中、自民党の田村憲久元厚生労働相が10日、民放のテレビ番組で「総裁選前倒し」の早期決定を求めた。その中で同氏は「国民の生活のためには、早く(総裁選を)やる、やらないの結論を出したうえで体制を組まないと、野党の皆さんにもご迷惑をおかけする」と述べた。

併せて「(参院選の)総括をしっかりやってからというような意見もあるが、私は(意思確認は)並行してやれると思う。早く新しい総裁を決めないと、国が動いていかない」として、8月末の「参院選総括」と同時進行で総裁選前倒しの可否を決めないと、次期臨時国会の召集が10月上旬以降にずれ込み、その間の「政治空白」が国政運営に重大な影響を及ぼすとの危機感を示した。

同氏は石破首相の元側近で、2度の厚労相就任を経て旧岸田派に入会し、党政調会長代行も務めた、党内有数の政策通。今回の発言も「旧岸田派最高幹部の岸田文雄前首相、林芳正官房長官、宮沢洋一・自民税制調査会会長の意思も踏まえたもの」(旧岸田派関係者)とみられており、今後の自民党内の論議に影響を与える可能性も否定できない。

折しも、12日以降の約1週間のお盆休みには、多くの与野党議員が永田町を離れ、地元での活動に専念する。その間も石破首相は日米関税交渉や相次ぐ大規模水害への対応などに腐心する一方、閣議決定が見送られた「戦後80年談話」との関連から、15日の終戦記念日の全国戦没者追悼式での追悼の辞でどのような「見解」を示すかも注目されている。

このため、石破首相や与野党の最高幹部にとって「今年のお盆は、8月末以降の“大政局”をにらんで水面下の駆け引きに神経を尖らせることは避けられず、『休みどころではない』」(政治ジャーナリスト)こととなりそうだ。

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