【票数一覧】高市早苗首相「過半数+4」に中継番組も驚き「234とみられていたんですが…」
参議院234で高市氏、衆議院125で決選投票制す
自民党の高市早苗総裁(64)は21日、衆院本会議で行われた首相指名選挙で、第104代首相に選出された。憲政史上初めての女性首相となった。
高市氏はブルーのジャケットに、真珠のネックレスとイヤリング。開票を待つ間は厳しい表情で集計作業が行われている壇上を見つめていたが、選出された瞬間は本会議場の自席で立ち上がり、周囲に6回、頭を下げた。
首相指名に必要な過半数は233議席のところ、選出に先立ち、高市氏がそれを超える237票の得票を得たことが発表された瞬間、自民党席から「おおー!」と大きな声と拍手が起きた。
高市氏はその瞬間、目を閉じて、喜びをかみしめるような様子だった。
高市氏はこの後、ただちに組閣に着手し、皇居での認証式などをへて、21日夜には第1次高市内閣が発足する。高市氏はその後、首相として初めて記者会見する予定だ。
高市氏は10月4日に投開票された自民党総裁選で、3度目の挑戦で女性初の自民党総裁にのぼりつめた。総裁選出直後の演説では「全員に馬車馬のように働いてもらう。私もワークライフバランスという言葉を捨てます」と述べ、「働いて、働いて、働いて、働いて働いてまいります」と訴え、大きな話題となった。
しかし、その後、いきなり大ピンチに陥った。公明党との連立政権協議で、企業・団体献金のあり方をめぐる対応で折り合えず、公明が26年にわたる連立政権から離脱。自民が単独少数政権となる中、日替わりで政治情勢が変わるドタバタ政局の中、20日に日本維新の会との連立政権樹立合意にこぎつけた。
一時は、維新が立憲民主、国民民主両党と組んで首相指名選挙に野党統一候補を出した場合、国民の玉木雄一郎代表の首相就任の可能性が急浮上。高市氏は14日、スタートアップ関連のイベントで講演した際に「総裁にはなったが、『首相になれないかもしれない女』と言われている、かわいそうな高市早苗でございます」と、自虐的にあいさつしたこともあった。そんな紆余(うよ)曲折をへた上で、維新を取り込み、最後は執念で首相の座にのぼりつめた形となった。
ただ、企業・団体献金のあり方などで、維新の本来の政策と異なる政策もある。維新が突然、連立の「絶対条件」とした議員定数の削減(衆議院議員の1割)には与野党で批判が出る中でも、高市氏は応じざるを得なかった。閣外協力にとどめた維新との関係も、このまま良好で進むかどうかは不透明。維新を加えても少数与党政権で、野党は臨時国会から国会論戦で追及する見通し。これからは重要な外交の舞台も立て続けに予定され、苦難の船出も予想される。
◆高市早苗(たかいち・さなえ)1961年(昭36)3月7日、奈良県出身。神戸大経営学部卒。松下政経塾に5期生として入塾。その後、米連邦議会で「議会フェロー」として勤務した経験も。帰国後はテレビキャスターを務め、「こだわりTV PRE★STAGE」という番組では、現在立憲民主党参院議員の蓮舫氏(57)と進行役を務めたこともある。阪神タイガースの大ファン。ヘビメタをこよなく愛し、大学時代はバンドでドラムを担当した。憧れの政治家は、「鉄の女」といわれた英国の元首相、マーガレット・サッチャー。総務相、経済安全保障担当相などのほか、自民党政調会長などの要職を歴任した。衆院奈良2区。当選10回。無派閥。




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