ヒト型ロボットがスマホ並みの値段になってAIデータセンターの稼働率は低迷
過剰投資で中国のデフレ地獄が止まらない
太陽光関連は軒並み赤字
中国経済の頼みの綱である製造業が苦境に陥っている。
11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.2となった。前月より0.2ポイント改善したが、好不況の境目で境目である50を8カ月連続で下回り、過去最長の低迷が続いている。
企業業績も悪化している。10月の工業部門企業利益が前年比5.5%減と3カ月ぶりのマイナスとなった。
太陽光関連業界が特に深刻だ。今年1~9月期決算で晶科能源(ジンコソーラー)をはじめ、大手各社が軒並み最終赤字となっている。
注目すべきは、中国政府が11月27日、「急成長しているヒト型ロボット分野でバブルが形成されるリスクがある」と異例の警告を発したことだ。
ヒト型ロボットが激安に
中国ではヒト型ロボット企業が150社以上あり、最近では自動車企業が続々とヒト型ロボット事業に参入している。
このため、つい最近まで大都市の住宅1軒に相当したヒト型ロボットの価格は一般消費財(スマートフォン1台)並みに急落しており、中国政府は「業界全体が共倒れの危機に直面しつつある」との危機感を抱いているのだ。
世界で建設ラッシュが起きている人工知能(AI)データセンターでも同様の問題が生じている。過剰投資のせいで、中国での稼働率が30%と低迷している有様だ。
中国経済の不振の主要因である不動産不況がさらに悪化するリスクも生じている。
今夏から中国の金融機関が、融資先から担保として受け取った不動産を売却して不良債権の処理を進めているため、不動産価格がさらに下落する可能性が高まっているからだ。
不動産企業の業績も右肩下がりだ。今年1~9月期決算で上場100社中48社が最終赤字だった。
幅40センチの激安宿泊施設が誕生
経営危機に陥っている不動産大手の処理が一向に進んでいないことも気がかりだ。
かつて売上高が最大だった万科企業は、12月に償還を迎える人民元建て社債の元本返済にも苦労するほど資金繰りに窮している。
これまで不動産業界を支えてきた地方政府は財政難で、追加の支援策を講ずる余裕はなくなってしまったことが背景にある。
中央政府が事態打開に乗り出さない限り、今後、不動産業界で大量倒産が起こる可能性は排除できなくなっている。
中国の長期金利が日本を下回るなど、中国経済のデフレ化も鮮明になっている。
中国の価格破壊には目を見張るものがある。
日本ではコーヒーの価格が上昇しているが、中国では9.9元(約215円)が定番価格だ。3.9元(約86円)や2.9元(約65円)の激安コーヒーも出ているほどだ。
中国では1泊8元(約176円)で宿泊できる施設も登場している。幅40センチと成人男性の肩幅よりも狭いが、夜露はしのげるというわけだ。



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