ファイザーの新たなmRNAインフルエンザワクチンが「臨床試験ではまったくの失敗だった」としてFDAは承認しない模様
mRNAワクチンが持つ宿命
アメリカで、「ファイザー社の新たな mRNAインフルエンザワクチンに効果がまったく見られなかったために承認されない見込み」だという報道を見ました。
現在、世界中で季節性インフルエンザ(大半が H3N2 の変異型)の大流行が起きている中で、日本などでも、医師や医学者たちから、「インフルエンザワクチンの接種」が大々的に勧められています。
しかし、ワクチン全体の問題はさておいて、現在流行しているインフルエンザである H3N2 の変異型に対して、現行のインフルエンザワクチンがどこまで効果があるのかは、専門家の間でも非常に疑問が持たれています。何しろ、現行のインフルエンザワクチンは、
「現在流行している H3N2 変異型が流行する数ヶ月前に設計を終えていた製品」
なのです。
つまり、「こんな株が流行するとは想定されていなかった頃に設計、製造の終了がなされていたもの」であり、効果のないと考えられるもので予防するという側面のある非常に形而上的な問題を抱えています。
少し前に書きました「 7つの遺伝子変異を持つ新しい変異H3N2インフルエンザが、数十年で最悪の流行を引き起こす可能性」という記事でも、専門家たちによる、
> 変異株が出現する数ヶ月前に設計された現在のインフルエンザワクチンは、この株との相性が悪く、ワクチンの効果が低下するのではないかという懸念が生じている。
という主張を載せていました。
しかし、意味がないだけならまだしも、今回のファイザーの新たなワクチンの臨床試験では、
> 7日以内に副作用を報告した高齢者は 68.7%だった。
とあり、大変に副作用率が高いことが示されています。従来のインフルエンザワクチン接種者では 25%程度だそう(これも高いですが)。
何より、ファイザーの新たなインフルエンザワクチンは「 mRNA +脂質ナノ粒子」というものであり、すべての mRNA製品に共通する以下の問題を抱えているはずです。
ミラノの分子腫瘍学研究所の荒川央さんによる 2023年5月の記事からの抜粋です。
荒川央さんの note 記事「自己増殖型mRNAワクチン」より
mRNAワクチンの製造法には根本的な問題があり、どうしても鋳型となったDNAが混入してしまいます。そうしたDNAはゲノムにどのように作用するか分かりませんし、癌の誘発やゲノム改変に繋がるリスクともなります。そしてこれはコロナワクチンだけではなく、次世代mRNAワクチンでも同様です。
インフルエンザに関しては、従来型のワクチンにも「抗原原罪 (従来株の免疫記憶が変異株の抗体応答を妨げる現象)」という大きな問題が存在しますけれど、少なくとも、効かないというだけならともかく、遺伝子に作用する可能性がある医薬製剤の使用にはもっと慎重になるべきだとは思います。
そういう意味では、今回の FDA 長官の「承認しないつもりだ」という発言は、やや希望的なものでもあります。
というより、どうも現在、アメリカではワクチンの承認を巡る状況そのものが、やや混乱しているようです。米エポックタイムズの記事をご紹介します。
ファイザーのmRNAインフルエンザワクチン、高齢者を対象とした臨床試験で「失敗」:FDA長官
Pfizer mRNA Influenza Vaccine ‘Failed’ in Clinical Trial Among Seniors: FDA Commissioner
Epoch Times 2025/12/02

アメリカ食品医薬品局 (FDA)長官は新たなインタビューで、ファイザー社の実験的な mRNA インフルエンザワクチンは、高齢者をインフルエンザから守るという新たなデータが得られない限り、承認されないだろうと示唆した。
FDA 長官のマーティ・マカリー博士は 11月29日、フォックスニュースに出演した際、メッセンジャーリボ核酸(mRNA)注射は「高齢者には効果がなかった」と述べた。
「試験ではまったく効果が見られませんでした」と長官は言った。
「効果がなく、臨床試験で失敗した新製品を、私たち(FDAは)ただ承認するつもりはありません。データもないものをただ承認するというのは、科学を愚弄するようなものです」
ファイザーのメディアチームは私たちのコメント要請に応じなかった。
ファイザー社などの研究者らは、ニューイングランド医学ジャーナル(NEJM)に最近掲載された論文の中で、実験段階の mRNA ワクチンが、18歳から 64歳までの健康な人を対象とした臨床試験で、すでに承認されている別の会社のワクチンよりも優れた効果を示したと述べた。
研究者たちは、同じ試験でワクチン接種を受けた高齢者(65歳以上)のうち、インフルエンザ様症状を呈し、検査でインフルエンザ感染が確認された人が 0.5%いたことには言及していない。これは、承認されたワクチン接種を受けた人の割合と同じだ。
調査結果によると、ファイザー社のこの新たなワクチン接種後 7日以内に副作用を報告した高齢者は 68.7%だった。従来のインフルエンザワクチン接種者ではわずか 25.8%だった。
臨床試験に参加した高齢者たちの結果は今年初めに ClinicalTrials.gov (米国での臨床試験状況を報告するサイト)に掲載され、独立系ジャーナリストや、マサチューセッツ工科大学のレトセフ・レヴィ教授を含む、ワクチンに関してアメリカ疾病管理予防センターに助言する委員会のメンバーたちによる論文発表を受けて注目された。
レヴィ教授はエポックタイムズに以下のように述べた。
「これは査読プロセスにおける重大な誠実性の欠如だと私は考えています。ニューイングランド医学ジャーナル編集委員会は、この欠陥がどのようにして生じたのかを明確に説明し、著者たちに現在の論文を訂正し、試験結果全体を報告するよう求めるべきです」
高齢者の研究結果が論文に含まれていない理由について尋ねられた際、ニューイングランド医学ジャーナル誌の広報担当者はエポックタイムズに宛てた電子メールで「研究著者たちがあなたの質問に最もよく答えられるはずです」と述べたにとどまった。
ファイザー社のこの研究の責任著者は問い合わせに返答しなかった。
FDA 長官の発言は、FDA 生物製剤評価研究センター所長のヴィナイ・プラサド博士が、インフルエンザワクチンに関する現行の枠組みを改訂する予定であるとの覚書をまとめた後に出された。
プラサド博士は、現行の枠組みを「質の低いエビデンス、粗悪な代替試験、そして不適切な手法を用いた症例対照研究で測定された不確かなワクチン効果という、エビデンスに基づく大惨事」と呼び、内部協議を経て詳細が明らかになることを示唆した。
現在の枠組みでは、流行すると予想される株を標的とした最新のワクチンが毎年承認される。
FDA は 2024年に更新されたウェブサイトで、FDA 承認のインフルエンザワクチンは「安全かつ効果的」であると述べている。アメリカ疾病対策センター(CDC)の職員は、2009年以降、インフルエンザに対するワクチンの有効性は 19%から 60%の範囲であると推定している。
プラサド氏はまた、ほとんどの新しいワクチンについて、当局は病気の予防も含め臨床評価項目に基づいた有効性の証拠を示すランダム化試験を要求するだろうと述べた。
CDC 諮問委員会のインフルエンザ作業グループを率いるロバート・マローン博士は、このメモは「インフルエンザワクチン、毎年の予防接種事業全体が今や大きな混乱にさらされていることを意味します」とエポックタイムズに語った。



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