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アメリカでの「医者の診察を受けるまでの平均待ち時間は31日」だという

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米国での病院予約位10か月を要する アメリカ
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アメリカでの「医者の診察を受けるまでの平均待ち時間は31日」だという

場所によっては、100日や200日を優に超える病院も(もはや病院とは言えないですが)

ポートランドの皮膚科の待ち時間は300日以上

米エポックタイムズで、「アメリカの医者の診察を受けるまでの平均待ち時間は 31日」というタイトルの記事を見ました。

まずそのタイトルの「31日待ち」という数字に驚いたわけですが、もちろん、都市や診療科によって、それぞれ異なるのですけれど、たとえば、アメリカで最も待ち時間が長い専門医は以下のようになっていました。


Epoch Times

ポートランドの皮膚科などは「待ち時間が 300日を超えて」いる。

皮膚科で 300日待たされていたら、その間に当然、皮膚の病気は治って、次の次の次あたりの新たな皮膚の病気の時に初めて診療してもらえるというような冗談のような待ち時間です。

あと、ボストンの産婦人科の 225日待ちもなかなかひどい。場合によっては「赤ちゃんが生まれた後に初めて診察を受けられる」というレベルであり、アメリカの医療もどうなっているのかと思います。

今回はその記事の一部をご紹介させていただこうと思うのですが、そもそも、アメリカは医療費も群を抜いて高いわけで、それでこんなに待たされるのでは、何だかわからないです。

先日、アメリカで、通常の生活レベルを維持するためには、どの程度が必要かということを以下の記事で取りあげたことがあります。

厳密な計算式では今のアメリカでは「年収2200万円以下は貧困層」だと知る中で思う、今後のサバイバルと工夫の生活
In Deep 2025年12月3日

 

ここでご紹介した文章では、マクロ戦略家のマイケル・グリーン氏という方の主張が取りあげられていましたが、最近、投機家のダグ・ケイシー氏も、このマイケル・グリーン氏の記事を取りあげていまして、アメリカの一般的な生活には以下のような金額がかかることを述べていました。

ドルは基本的に円に変換して記しています。

マイケル・グリーン氏は、ジョー・シックスパック一家の年収が 13万ドル (2000万円)だとすると、両親が共働きしなければならず、そのためには育児(500万円)が必要となり、これが最大の支出となる、と主張する。

次に、住居費(350万円。一見低い)、食費(230万円)、交通費(230万円)、医療費(200万円。平均的な医療保険だけでもその 2倍かかるので、非常に低い)、その他の生活必需品(330万円)が続く。税金は約 290万円。不運や将来の貯蓄の余地はない。

このような収入の人々の大部分は、フードスタンプ、メディケイド、その他無数の無償給付など、政府からの福祉給付を一切受けていない。

中流階級とされる人々のほぼ全員が多額の債務を抱えているが、上記の計算には債務返済は含まれない。

Doug Casey


このように、医療費が約 200万円、医療保険が約 400万円と考えると、中流階級以上のアメリカ人が年間で使う医療への金額は大変なものですが、それで診療まで「平均 31日間待たされる」という現実。

今のアメリカは、貧困層より年収 2000万円前後の人たちが、最も生活に苦しんでいる可能性があるというここともわかりますが、今後もこうなんでしょうかね。

ともかく、エポックタイムズの記事をまずご紹介します。



医者の診察を受けるまでの平均待ち時間は31日 – より早く診察を受ける方法

The Average Wait for a Doctor’s Appointment Is 31 Days – How to Get Seen Sooner
Epoch Times 2025/11/12

運が良ければ1ヶ月待ちで済むという状況

アメリカの 1億人以上がかかりつけのプライマリケア (身近にあって、何でも相談にのってくれる総合的な医療)医を持たず、その数は年々増加し続けている。

新規患者はプライマリケア医の診察を受けるまでに平均 23.5日待ち、都市部ではさらに長くなる傾向がある。既存患者もかなりの待ち時間に直面しているが、新規患者に比べると待ち時間は概ね短くなっている。

この問題は拡大し続けている。AMN ヘルスケア社が 2025年に実施した調査によると、主要都市圏における医師の診察予約の平均待ち時間は 31日にまで延びており、これは 2022年から 19%、2004年からほぼ 50%の増加となる。

ボストンでは、患者の待ち時間は 2か月以上に達し、これは全米で最も長い待ち時間となっている。

医師数が最も多い都市でこのような状況が続くと、地方の患者はさらに悪い結果を招くことになる。

米国の医師のうち、地方で診療を行っているのはわずか 9%に過ぎず 、患者はより遠くまで移動し、より長い待ち時間、そして往々にしてまったく治療を受けられない状況に陥っている。

問題は、アメリカ人の医療へのアクセス方法の変革だ。伝統的に医療システムの玄関口であったプライマリケアが、最大のボトルネックとなっている。日常的な問題が緊急事態へとエスカレートし、予防医療が遅れている。

医師不足は構造的な問題だ。プライマリケア医のほぼ半数が 55歳以上であり、若い医師でこの分野を選ぶ人はほとんどいない。研修修了後 5年経ってもプライマリケアに留まる医師はわずか 15%だ。

米国では人口 10万人あたり 67人のプライマリケア医がおり、これはカナダの約半分となる。他の多くの裕福な国では保健予算の 7%から 14%をプライマリケアに充てているのに対し、米国では 5%未満にとどまっている。

予防医学は断片化された事後対応型のケアに陥りつつあり、患者は病気が進行する間待たされることになる。

 

専門医紹介の迷路

専門医の診察を受けるには、それなりの困難が伴う。念願のプライマリケアの予約を取り、紹介状をもらった後でも、患者はまたしても長い待ち時間に直面する。

専門医の待ち時間は、分野や場所によって大きく異なる。整形外科では約 2週間、心臓科と皮膚科では 1ヶ月、産婦人科では 6週間の待ち時間があり、大都市ではさらに長くなることがよくある。

紹介手続き自体が新たな摩擦を生み出す。保険の承認手続きには数週間かかることもあり、書類が診療科間で紛失することもある。専門医によっては、予約前に特定の診断検査を求める場合もあり、さらなる遅延を招く。

オンラインの患者フォーラムには、神経科の診察を何ヶ月も待たされたり、消化器科の予約をほぼ 1年待たされたりしたという話であふれている。

(※ 訳者注) この後は、早く医療にアクセスするための方法が書かれていますが、長い上に他国のことでもありますので、割愛させていただきます。


 

ここまでです。

なお、今年の 4月に、「欲にまみれたモンスター劇場と化しているアメリカの医療業界の現状に驚くばかり」という記事を書いたことがあり、作家のマイケル・スナイダーさんは、アメリカの医療についての「33の事実」を挙げていました。

33の項目全体はその記事をご覧いただきくとして、その最初は、

1. アメリカは毎年約 5兆ドル (約 777兆円)を医療費に費やしている。

2. アメリカの医療費はイギリスの GDP よりも多い。

3. もしアメリカの医療制度が国だとしたら、それは 世界第 6位の経済大国となるだろう。

4. 連邦政府、州政府、地方自治体は、 米国の医療費支出全体のほぼ半分を占めている。

5. 現在、6,800万人以上のアメリカ人がメディケアに加入している。

となっていまして、アメリカでの医療費がとんでもない額となっていることが示されていますが、それと、先ほどのエポックタイムズの「待ち時間の真実」を合わせますと、何とも複雑な気分にはなります。

しかし、日本にしても、「病院経営の約14%が債務超過 6割が営業赤字に」というような最近の帝国データバンクの報道もありまして、経営破綻や統廃合が進んだ場合は、多くの病院が大都市に集中していく可能性もあり、やや遠い未来とはいえ、アメリカのような状態になっていく可能性もあるのかもしれません。

一方で、「地域に病院がなくなると、地元の人がみんな健康になった」という、かつての夕張市の事実もありまして(2016年の記事「病院がなくなったら市民が健康になった夕張から学ぶべきこと」など)、病院がなくなることが人々の健康に貢献するのも確かなのですけど、ただ、緊急性の高い病気とか事故とかも含めれば、ある程度はアクセスが容易なほうがいいのかもしれないですね。

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