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【ムダな医療ランキングワースト10】

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健康診断 医学
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【ムダな医療ランキングワースト10】

実は意味がない「低価値医療」が蔓延している驚愕の実態

クスリや検査には何かしらの意味があるはず―そんな患者の切なる期待が、通用しないこともある。「低価値医療」は、至る所に潜んでいる。

前編記事『【じつは「飲む意味が無い」薬15選】なかには「依存性が高く危険」なものも…低価値医療の恐るべき実態』より続く。

人間ドックでもムダな検査が横行

低価値・無価値医療は、クスリだけにとどまらない。日常的に病院で受けている検査や治療の中にも、実は価値が低い医療行為がいくつも混ざっているのだ。

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「めまいや腰痛と聞くと、何も考えずにCTやMRIを撮る医師がいますが、私に言わせればムダそのものです。

そもそもめまいの大半は末梢性の良性発作性頭位めまい症で、時間が経てば自然に治ります。神経症状があって中枢性のめまいを疑っている、あるいは脳梗塞を起こしている可能性があるならば、MRIやCTを撮るべきです。しかしそういった疑いもなしに、やみくもに検査をオーダーするのはムダでしょう。

それは腰痛でも同じで、まったく腰が痛くない人ですら、MRIを撮ると約2割にヘルニアなどの所見が見られるという研究もあります。腰痛の人にMRI検査をしてヘルニアが見つかったからといって、それが痛みの原因とは確定できない。ほかの症状と照らし合わせて診断しなければ、無意味な検査になってしまいます」(前出の宮田氏)

健康診断や人間ドックなどで実施されている一部の検査も、実は効果のほどが疑わしい。前出の永田氏が疑問視するのは、人間ドックで行われるがんの腫瘍マーカーだ。

「腫瘍マーカーで高い数値が出たとしても、追加で精密検査したところで、理由はわからない場合がほとんどです。そもそも腫瘍マーカーとは本来、診察や画像検査の結果をもとに診断ありきで行うものなので、無症状や所見のない人に人間ドックで行うのは、デメリットが勝ります。先ほども話に出ためまいや頭痛の患者さんへのCT、MRIのルーチン検査と同様に、心理的安心を売っているだけに過ぎません。知識をアップデートし続けている医師が、根拠に基づいて見立ててこそ価値のある医療であり、『昔からの慣習』でやるのでは意味がありません」

ごく一部ではあるものの、医師の中にはこういったクスリや検査が低価値だと気づいていない人もいるという。

「医学は日々進歩しているので、高齢で知識がアップデートできていない方、あるいは専門医資格がない方だと、一昔前の常識のままに治療してしまうかもしれません」(前出の池田氏)

低価値医療をするほど儲かるシステム

事実、冒頭と同じく筑波大学が’25年6月に発表した研究では、高齢で専門医資格を持たない医師ほど、低価値医療を多く行う傾向があると示された。しかし前出の徳田氏によれば、低価値医療が横行する理由はそれだけではない。

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「日本の保険制度では、クスリの処方回数や検査が多ければ多いほど、診療報酬が増える仕組みになっている。たとえ効果がなくてムダだとわかっていても、『一応、念のため』と処方するのが、医師と病院にとってもっとも「経済的」なわけです。

医師の診断の約7割は、問診と診察でできると言われます。つまり患者さんを丁寧に診察するのが、何よりも価値が高い医療行為なのです。にもかかわらず、現在のシステムでは診察に対する保険点数が少ないので、しっかりと診ない医師も多い。この制度の歪みこそが、低価値医療を招いている根本原因だと思われます」

また大室産業医事務所代表の大室正志氏は、日本企業や学校に特有の「雰囲気」が関係していると話す。

「産業医をやっていると、患者さんからよく『診断書が欲しい』と頼まれます。治るまでに3日以上かかる病気だと、診断書がなければ周囲に納得してもらえず、心理的にも休みづらいからでしょう。

しかし風邪やインフルエンザだと、病院に行ったところで効果的な治療法があるわけではないので、あまり意味はない。そのうえ医師側が『せっかく来たんだから、一応解熱剤でも出しておきますね』となると、さらなるムダが生まれるわけです」

加えて大室氏が指摘するのは、「コンサルティングフィー(専門家のアドバイス料)」という概念の欠如だ。

「日本人は、プロの医師に診察されて『クスリは必要ない』と診断されても、その判断に謝礼を払うのを嫌がる。目に見えない診断よりもモノに還元したいので、とにかくクスリを欲しがるんです。しかも処方しないと、『あの先生はクスリをくれなかった』と顧客満足度が下がるので、医師の側も不必要に処方してしまうわけです」

解決策は「医師のミシュランガイド」

日本全体で3000億円ものムダを生み出している低価値医療を撲滅するためには、徳田氏が指摘した保険制度の歪みを正す必要がある。そのうえで前出の永田氏は、「医師や病院を客観的に格付けするシステム」を提案する。

「知識をアップデートし続ける医師を適切に評価する仕組みがあれば、低価値な医療を漫然と続ける人も減っていきます。たとえば、診療領域における医学知識更新試験の定期的な受験の義務化もいいでしょう。そのうえで学び続けている医師がどの病院にいるのか、ミシュランガイドのように可視化すれば、誰しも危機感を持って勉強するはずです。

また、現在のように検査やクスリをオーダーするほど収益が増えるのではなく、医師の学びやスキルに応じて診療報酬に大きく差をつければ、低価値医療は自然と減っていくでしょう。つまり真面目に診ている医師ほど、報われる仕組みにするわけです」

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低価値医療を受けないために、患者の側にもできることがある。佐賀大学名誉教授で、患者にとって本当に必要な医療を賢く選択するキャンペーン「Choosing Wisely Japan」代表の小泉俊三氏が解説する。

「ムダな医療が生まれる原因の一つは、医師と患者のコミュニケーション不足。両者の間に信頼関係があれば、『不安だからクスリが欲しい』といったケースも減るはずです。

そこで検査や治療を受ける前に、医師に5つの質問(上表)をしてみてください。治療法についてより深く理解できますし、医師と話すきっかけにもなるでしょう」

ムダなクスリやいらない検査をなくした先にこそ、真の意味での健康が待っている。

「週刊現代」2026年1月5日号より

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