中国軍「台湾上陸訓練」、水陸両用車も投入…民間大型船と対岸で合同演習
中国軍は台湾侵攻時の上陸能力を強化するため、民間船を動員して実戦さながらの訓練を繰り返し実施
中国軍の水陸両用車と民間の大型貨物船が2025年夏、台湾対岸に近い中国南部・広東省の沖合で、上陸訓練とみられる合同演習を行っていたことが分かった。読売新聞が人工衛星の画像などで確認した。台湾侵攻を念頭に、中国が軍民一体で上陸作戦能力を向上させている動きの一環とみられ、日本政府も動向を注視している。
衛星画像のほか、船の位置や針路などの情報を自動的に送受信する「船舶自動識別装置(AIS)」の航跡から分析した。その結果、25年7月16日、広東省汕尾市の沖合で、トラックなどが接岸時に自走して乗り降りできる大型貨物船「RO―RO船」とみられる船舶が確認され、その後方に11両の水陸両用車とみられる車両が1列に並んで航行していた。
衛星画像では、11両の車両は白波を立てて航跡を残している一方、同船は周辺に波がないことから静止しているとみられる。水陸両用車は沖合にいる船舶から発進し、砂浜などからそのまま上陸することが可能で、兵員や装備品の輸送を主に担う。中国の安全保障が専門の笹川平和財団の小原凡司・上席フェローは、「上陸作戦を念頭に、洋上でRO―RO船から水陸両用車を降ろしたり、搭載したりする演習を行っていた可能性がある」と分析した。
中国軍は輸送能力不足を補うため、RO―RO船を動員して水陸両用車を運び、防御側が予測しにくい地点から上陸する能力の構築を目指している模様だ。
演習に参加していた船は、AISの情報から中国の大手海運会社が運航するRO―RO船「普陀島」とみられる。同社が公表している船舶の特徴と衛星画像を比較した結果、形状や大きさもほぼ一致した。
普陀島は、中国北部・渤海に面した遼寧省大連市の港に登録されており、普段は主に山東省煙台市との間を定期運航している。AISの情報では、25年7月8日に大連を出港し、同11日に台湾海峡を通過。同16日に汕尾市沖で活動した後、北上を開始し、同21日に大連に帰港した。
台湾の研究機関「国防安全研究院」の報告書によると、普陀島は25年8月にも再び南下して汕尾市の洋上で他のRO―RO船と共に軍事訓練に参加していた可能性がある。読売新聞のAIS分析でも8月の動きを確認できた。米海軍大の報告書も普陀島が23年3月、広東省沖合で中国軍の上陸訓練に参加し、洋上で水陸両用車や強襲艇を展開したとみられると指摘していた。
日本政府も合同演習について把握しており、政府関係者は「中国は洋上から戦力を投入する能力の増強に力を入れており、その動向を注視している」と語る。
中国軍による民間船の利用を巡っては、大型の移動式桟橋を搭載した船団を複数展開し、RO―RO船などの民間船と軍民合同の上陸訓練を実施していることが読売新聞の分析で判明している。中国軍は台湾侵攻時の上陸能力を強化するため、民間船を動員して実戦さながらの訓練を繰り返し実施し、多様な上陸能力の獲得を目指しているとみられる。



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