今や数万基に及ぶ人口衛星のメガコンステレーションが導く「壊滅的な黙示録」がまたひとつ提示される
衛星群が地球の低軌道を崩壊させる可能性があるという論文
現在、宇宙空間にある人工衛星は大変な数で増え続けています。
2022年までの時点で以下の状況で増えていて、その後、たとえば、イーロン・マスク氏のスペースX などは、数千基の「使い捨て衛星」を打ち上げています。
1957-2022年の人工衛星の運用数
indeep.jp
これからも、各企業や中国などが、さらに衛星を打ち上げると見られていて、それ以上に、昨年の論文では、
> 今後数十年間で、主にメガコンステレーションと呼ばれるインターネット群を構築するために、50万から 100万基の衛星が設置されると予想されている。
と書かれていました。
この「メガコンステレーション」というのは、数千〜数万基もの大量の小型人工衛星群を連携させて運用する巨大な衛星のことですが、これらは「基本的に使い捨ての衛星によって築かれるシステム」です。
それに対して、最近、科学者たちが、
「今の状況は非常に危険だ」
という論文を発表しています。
簡単にいえば、
> 衛星同士の偶発的な衝突がわずか数回発生するだけで、結果として生じたデブリがさらに衝突を引き起こし、さらにデブリが増えるという悪循環に急速に発展する可能性がある
というような話で、そして、これが「強力な太陽嵐の発生などによって、大きな惨事に結びつく可能性がある」ということです。
論文には以下のように書かれています。
軌道上で現在行われている、あるいは計画されている行動は、軌道環境の深刻な劣化や破滅的な結果を招く可能性があり、軌道環境へのストレスを定量化するより良い方法を見つける緊急の必要性が浮き彫りになっている。
本稿では、衛星の操縦が行われない場合、あるいは状況認識が著しく失われた場合に、破滅的な衝突が発生する可能性のある時間スケールで、そのようなストレスを測定する新しい指標クラッシュ・クロック (CRASH Clock)を提案する。私たちの計算によると、クラッシュ・クロック は現在 5.5日だ。
つまり、たとえば、非常に大きな太陽フレアなどによる太陽嵐が発生した場合、このクラッシュ・クロックが起きるまでの猶予日数は、
「 5.5日しかない」
ということを述べています。この時点で、世界的な停電やインフラの崩壊が起きる可能性があるということです。
多すぎる人工衛星の問題は、以前も取りあげたことがありますが、まずは今回の論文を取りあげていた科学記事をご紹介します。
地球の低軌道が急速に崩壊する可能性があると科学者たちが警告
Earth’s Lower Orbit Could Rapidly Collapse, Scientists Warn
Futurism 2026/01/26
人類がすでに気候変動の対応に追われていると考えているなら、もう一度考え直した方が良い。
衛星や宇宙ゴミが地球の低軌道をますます乱雑にしている中、科学者チームは、この地域全体が突然崩壊して破片が渦巻く破壊的な大渦に巻き込まれ、そこへ進入する宇宙船に脅威を与え、危険な宇宙ゴミのミサイルを地球に落下させる可能性があると警告している。
彼らの研究はまだ査読を受けていないが、NASA の科学者ドナルド・ケスラー氏が初めて提示した理論シナリオに基づいている。
このシナリオでは、衛星同士の偶発的な衝突がわずか数回発生するだけで、結果として生じたデブリがさらに衝突を引き起こし、さらにデブリが増えるという悪循環に急速に発展する可能性があると説明されている。最悪の場合、結果として生じる危険なデブリの渦によって、私たちは地球に閉じ込められ、宇宙飛行は数十年にわたって遅れる可能性がある。
低軌道への衛星打ち上げがかつてないほど増加していることから、ケスラー症候群と呼ばれるこのシナリオが深刻な可能性として考えられ始めている。
イーロン・マスク氏のスペースXだけでも、9,000基を超える使い捨て衛星からなる「メガコンステレーション」を保有しており、Amazon もこれに追随して独自のメガコンステレーションを構築し、中国も新たなメガコンステレーションの構築に取り組んでいる。
ケスラー氏は当初、この軌道大惨事は何年もかけて進行すると想定していた。
しかし、今回の新たな研究は、さらに陰惨な展開をもたらしている。もしケスラー症候群のようなシナリオが、激しい太陽嵐によって突然引き起こされたらどうなるだろう?
太陽のこうした爆発的な活動は、地球に電磁波を吹きつけ、電力網や通信網を混乱させる可能性がある。理論上、強力な太陽嵐は、衛星との通信を遮断し、衛星の航法システムを破壊し、衛星が軌道を維持する手段を失わせる可能性がある。
これは懸念すべき可能性だ。SpaceXの使い捨て衛星は、あれだけの物資を搭載しているため、互いや他の物体との衝突を避けるために常に操作を繰り返す必要があり、昨年は 30万回以上もの操作が行われた。
この可能性を調査して、研究者たちは、太陽嵐などの危機で衛星が航行不能になった場合に壊滅的な衝突が発生するまでにどのくらいの時間がかかるかを測定する「クラッシュ・クロック (CRASH Clock)」と呼ばれる新しい指標を作成した。
要点は、事態は急速に悪化するだろうということだ。
研究者たちは、衛星が地球低軌道上で 36秒ごとに「接近」、つまり互いに 1キロメートル以内を通過する可能性があると計算した。これは宇宙空間では不快なほど近い距離だ。
これを考慮すると、彼らはクラッシュ・クロックをわずか 5.5日と推定した。つまり、そのような太陽嵐が発生した場合、人類が介入できる時間はごくわずかだということだ。
一方、もしこの規模の太陽現象、例えば 1859年の悪名高いキャリントン・イベント(1859年に発生した観測史上最大の太陽嵐)のような大規模な太陽現象に見舞われた場合、地球の急成長中の電信インフラを破壊し、今日では世界中で停電を引き起こす可能性が高い状況だが、私たちはおそらくもっと差し迫った懸念を抱くことになるだろう。
ここまでです。
地球の磁場の崩壊の懸念も
以前取りあげたことのある懸念は、やはりこのメガコンステレーションと呼ばれる衛星群に関してのものですか、こちらはさらに深刻な話で、
「地球の磁場の消失と電離層の撹乱が現実的な話となる」
という科学者の話でした。
以下の記事です。
・最近の人工衛星の大量運営により「地球の磁場の消失と電離層の撹乱が現実的な話」に。この影響は人類滅亡レベルになりそう
In Deep 2024年2月3日
使い捨ての衛星は、役割を終えると、宇宙ゴミとして人工衛星の軌道のあたりに「消耗域」を形成して、一種の
「デブリゾーン」
が作り出されます。
人工衛星の周回軌道と人工衛星消耗域
spaceweather.com
科学者のシエラ・ソルター氏は以下のように述べています。
第 2世代スターリンク衛星の質量は 1250キログラムで、衛星が最終的に軌道から外れると、そのすべてが導電性の破片になります。
軌道を離脱した単一のスターリンク衛星からの金属破片は、ヴァン・アレン帯の 700万倍も重いのです。メガコンステレーション全体の質量は数十億倍となります。これらの比率は大きな問題を示しています。
要するに、あくまで可能性としてですが、
「地球の磁場を弱めてしまう」
可能性があるのです。
私たちは、地球の磁場などにより、宇宙からの有害な放射能などから守られていますし、それ以上に「地球の磁場で人間は生きている」可能性や、地球の生命の「進化」に磁場が関係している可能性さえあります。
(参考記事)地球の磁場の消失は、大絶滅の側面よりも「まったく新しい人類的生物の登場」の側面のほうが強かったりして…と考える
In Deep 2025年3月25日
いずれにしましても、磁場の急激な変化は、かなり厄介な事態とも言えます。
それに加えて、今回ご紹介した記事は、
「全世界的な停電を引き起こす」
可能性についてふれているものです。
一般的に、どれだけ強い太陽嵐が発生しても、その影響が全地球規模になることはまずなく(発生している時間の長さにもよりますが)、どこかの地域が影響を強く受けるのですが、今回の話では、世界的な電気インフラの崩壊があり得るということになっています。
まあ、旧約聖書には「三日間エジプト全土に暗闇が臨んだ」なんていう下りもありますが、そういう時も、そんなに遠くない時にやってくるのかもしれません。
太陽に関しては、最近もいろいろな報道がありました。
以下のような記事をご参照くださればと思います。
・2026年1月に「太陽をはさんだ5つの惑星の直列」が起きており、「惑星の力が太陽活動と同調する」という科学的観点から、今後60日後くらいまでに太陽活動が再び過激化する可能性
In Deep 2026年1月8日
・ヴァン・アレン帯の放射線帯が「完全に帯電」しており、次の太陽嵐が発生した場合、プラズマが地球に大量に降下する可能性がある…らしい
地球の記録 2025年12月30日
今後数年でどんなことが起こるのかに関しては、確定的なことは何も言えないにしても、非常に「何か起きる可能性が高まっている」ことは現実のようです。
もちろん、すぐに起きるようなことではないですが、最近の科学的視点からは「いつかは」とは言えそうです。
そのあたりは覚悟を決めておいてもいいのかもしれません。




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