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「薬を出しまくる」日本とは大違い

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医療費 健康問題

「薬を出しまくる」日本とは大違い

高福祉国家・スウェーデンが爆増していた「医療費」を減らした画期的な方法

世界的に医療費の高騰が問題となる中、北欧・スウェーデンは医療費の抑制に成功した。どんな対策を行ったのか。医学博士のエリザベス・エクストロムさんと生物学者のマーシー・コットレル・ハウルさんの共著『The Gift of Aging じょうずに老いる』(KADOKAWA)から紹介する――。
数種類の薬を持つ医師の手
写真=iStock.com/AlexRaths

世界一高齢者に優しい国、スウェーデン

健やかに歳を重ねたいと思うなら、いますぐ引っ越しを考えたほうがいいかもしれません。

グローバル・エイジウォッチ指数は、所得、雇用、医療体制、教育、環境などの指標をもとに高齢者が住みやすい国を算出したものですが、私が長期休暇をとった年の1位はスウェーデンでした。私はスウェーデンがなぜその地位を得たのかを解き明かしたいと思い、公衆衛生機関や病院を訪れ、医療関係者と話しながら、目をみはるような成功の秘訣をいくつも発見しました。

まず、スウェーデンの平均寿命は世界でもトップクラスです。人口の約20パーセントが65歳以上で、これも世界の多くの国より高い割合です。まずわかったのは、過去数十年で高齢者の健康状態が改善されてきたため、国全体の医療ニーズが減少しているということでした。

患者が支払う医療費はわずか4%

では、医療ニーズが減少したのはどうしてでしょうか。驚くべきことに、スウェーデンはGDPの3.6パーセントを高齢者の支援制度にあてています。高齢者を支える医療従事者が世界で最も多く、65歳以上の国民の94パーセントが自宅で暮らしており、必要に応じて在宅支援サービスを受けています。

スウェーデンには、公立・民間両方の在宅支援サービスがあり、どちらを利用するかは本人が選べます。両者は質の高いケアを提供するために競い合っていますが、どちらも国の財源でまかなわれており、高齢者やその家族が費用を負担することはありません。医療費のうち、患者自身が支払うのはわずか4パーセントです。さらに、かつて病院で行われていたケアの多くが、いまでは医療チームによって自宅で提供されています。

こうした制度は、スウェーデンの人々の幸福度を大きく高めています。でもそれだけではありません。スウェーデンには、健康に影響を及ぼす生活環境の問題を解消するための在宅サービスがたくさんあります。

行政が無料で「便利屋さん」を派遣してくれる

私のお気に入りのひとつは、“自治体の便利屋さん”を派遣する制度です。カーテンを吊るしたり、電球を交換したりといった作業を代行してくれるサービスで、高齢者の転倒リスクを低減することを目的としています。転倒のリスクが高いと判断された場合、脚立を出して電球を替えたり、雨どいを掃除したりする作業を、電話一本で誰かが来てやってくれます。しかも、完全に無料です。

部屋の電球を交換する男性
写真=iStock.com/RyanJLane

こうした追加サービスを受けるには、申請して審査を受けなければなりませんが、必要度が高ければ24時間体制で2時間ごとにケアスタッフが訪問してくれることもあります(これもすべて無料です)。支援サービスを受けている人は、年に一度、サービスの満足度を評価するアンケートに回答しますが、その結果は公開されるため、すべての機関が質の高いケアを提供しようと努力しています。

公的職員に「認知症に関するプログラム」が行われている

スウェーデンではまた、警察官やその他の公的機関の職員に対して、認知症に関する研修プログラムも実施されています。家族が困難に直面したとき、支援の一助となれるようにするためです。スウェーデンでは認知症への理解が進んでおり、すべてのプライマリケア医(病気やけがを最初に診察し、継続的なケアを提供する医師)は、65歳以上の患者に対して毎回、記憶について尋ねることが義務づけられています。

認知症に対する偏見がないのも、スウェーデンの透明性を重んじる文化が影響しているのかもしれません。スウェーデン王妃もこの取り組みの支援者ですが、その背景にはご両親が認知症を患っていたことがあります。アルツハイマー型認知症やその他の認知症を予防するための情報が頻繁に報道され、メディアも前向きな論調で取りあげるため、人々もその情報を進んで受け入れようとします。

医療機関が「良い薬」の処方率を競い、ボーナスも出る

かつては高齢者の薬の服用量が多かったスウェーデンですが、近年では減少しています。政府は毎年、高齢者が服用すべきではない薬のリストを作成しており、各医療機関にはその薬の処方実績を報告する義務が課せられています。さらに、医療機関や地域ごとに“悪い薬の処方率”を競い合っていて、政治家もこの数字を意識しています。自分の地域の処方率が高いと思われたくないようです。

一方で“いい薬リスト”もあり、効果が高く、副作用が少なく、価格も安い薬が掲載されています。処方した薬の90パーセント以上をこのリストに載った薬が占めていれば、医療機関にボーナスが支給される仕組みです。つまり、正しいことをするためのインセンティブがたくさんあるのです。

先ほど述べたように、スウェーデンではこの数十年、高齢者の健康状態が改善されてきたおかげで医療ニーズが減少しています。アメリカやその他の先進国では医療費が高騰し続けているのに、スウェーデンでは国民の健康水準が向上し、医療費が抑えられているのです。

高齢者が健康になれば医療費は抑えられる

その理由はいたって明快です。ここまで紹介してきた制度や取り組みがあるからです。医療提供者へのインセンティブ(薬の処方プログラム)に加え、地域に根ざしたケアや、高齢者の安全を守る実践的な取り組み(自治体の便利屋さんなど)が功を奏しています。

マーシー・コットレル・ハウル、エリザベス・エクストロム『The Gift of Aging じょうずに老いる』(KADOKAWA)
マーシー・コットレル・ハウル、エリザベス・エクストロム『The Gift of Aging じょうずに老いる』(KADOKAWA)

都市の道路には自転車専用レーンが数多く整備され、高齢者が低価格で自転車を手に入れられるよう支援も行われています。こうした包括的な転倒予防プログラムによって、高齢者の転倒事故は大幅に減少しています。

実用的で比較的安価、そして高齢者の生活の質を大きく高める取り組みが数多く導入されているのです。スウェーデンの医療関係者に、そこまで真剣に高齢者の健康と幸福を追求する理由を尋ねたところ、彼らは肩をすくめてこう答えました。

「当然のことですよ。そうするしかないですからね」

なんとスウェーデンらしい答えでしょう。

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