「水増しだ」「情けない」万博入場者は〝来場客+スタッフ〟で計算 協会発表に批判噴出
スタッフ数を3割を水増しで多く見せている情けなさ
開催中の2025年大阪・関西万博の来場者数の発表をめぐり困惑が広がっている。運営する日本国際博覧会協会は連日、来場者数を発表しているが、スタッフや報道関係者も含む人数を「来場者数」として発表しているためだ。交流サイト(SNS)上などでは「水増しだ」などと批判の声が上がる。
4月23日、万博会場では100万人来場記念セレモニーが開かれ、選ばれた来場者に記念品が手渡された。協会の石毛博行事務総長は「順調にスタートできた」と胸を張った。
しかし2日後の25日、メディアで「一般来場者数」が100万人を超えたと報じられた。なぜ異なる日に「100万人超え」となったのか。
協会は毎朝、前日の「来場者数」を発表している。しかし脇には「そのうちAD証入場者は~人」とただし書きがある。AD証とは、運営スタッフや取材目的で来場する報道関係者らに配布された入場証のことだ。
AD証による入場者は1日あたり1万7千人程度で推移し、「来場者」の2割程度を占める。184日間の会期を通じ300万人近い人数が上乗せされかねない数字だ。4月25日に報道された「一般来場者」は、スタッフなどをのぞいた人数を明確にするためにメディアが定義した言葉だ。
あるエンタメ施設運営関係者によると、通常、エンターテインメント施設の来場者数でスタッフ数をカウントすることは「あり得ない」。協会は「開幕直前に博覧会国際事務局(BIE)と石毛氏が話し合って決めた」と繰り返すが、話し合われた経緯などは明かされていない。
スタッフ込みの人数を発表し続ける協会は「(前回の)ドバイ万博でも同様の計算方法だった」と説明するが、ドバイ博は新型コロナウイルス禍の中で開催された特殊なケースで、大阪・関西万博と同列に扱うことには疑問が残る。2005年に愛知県で開催された「愛・地球博」は乳幼児などの無料入場者と、チケットを購入して来場した有料入場者を足して「入場者数」として発表しており、スタッフなどは含めていない。
このような状況にSNS上では「水増ししてまで増やしたいのか」「情けないことはやめて」「恥ずかしい」などの声が上がる。協会は、新聞やテレビなどの記者だけでなく一定数のフォロワーを持つインフルエンサーに対しても取材許可を出すなど、機運醸成に向けてSNSを重視した戦略を取る。ところが、来場者数の発表では逆にSNS上での批判を招いてしまっているのが実態だ。
大阪府の吉村洋文知事は4月30日の記者会見で「みんなで作るものだからAD(証の入場者)も含めて発表しようという趣旨だと聞いている。一般とADをごちゃまぜにしていたら違うと思うが、内訳を発表しているので問題ない」と語った。
しかし、前出のエンタメ施設関係者は「イベントは会期後半に来場者が増えるのが通常で、万博の出足は決して悪くはない。しかしこのような数字を発表し続ければ、逆に評価を下げかねない」と警鐘を鳴らしている。(黒川信雄)
コメント