アメリカで不法移民の農業労働者がいなくなることで、畑の作物が腐り続けている
移民排除により起きている深刻な労働力不足
アメリカでは、移民関税執行局 (ICE)による、不法移民の強制捜査や、強制送還などが積極的に進められていますが、これは、人権云々と言われることもありますが、それ以前の問題として、
「アメリカの農家の従業員の多くが移民」
という現実があります。
そのため、移民関税執行局の捜査が始まって以来、それをおそれて、移民労働者のほとんどが、農作業の現場に出てこなくなってしまったことが報じられています。
強制捜査を恐れて、従業員の 70%が出勤していないと推定されているそうですか、結果として、その 70%の作物は収穫されないのです。
それらは、ただ腐敗していくばかりで商品にもなりません。
今回ご紹介するのは、カリフォルニア州の例ですが、カリフォルニア州では、アメリカの野菜の 3分の1以上、果物とナッツの 4分の3以上が栽培されているのだそうで、現在の状況が続いた場合、食糧供給や食糧価格に影響が出るだけではなく、記事に出てくる人の話ですと、
「これが農家の倒産や廃業の連鎖につながる可能性がある」
とのことでした。
これは、農業だけではなく、あらゆる肉体系の労働に言えることのようにも思います。
不法移民のさまざまな問題は大きなこととはいえ、アメリカの労働力のかなりの部分を移民たちが担ってきました。
現在の状況が続いていくと、いつか深刻な農業危機がアメリカにやってこないとも限らないかもしれません。
もっとも労働力不足の問題は、日本はさらに厳しそうですが。
ロイターの報道を引用した食糧関係メディアの記事です。
不法移民の農業労働者がいなくなり、畑の作物が腐っている
Crops Rotting in Fields With Undocumented Farmworkers Gone
foodinstitute.com 2025/07/07
トランプ政権による不法移民の強制送還推進により、カリフォルニア州やその他の地域で、農作物の植え付けや収穫ができなくなる農家が出てきているとロイター通信が報告した。
6代目農家のリサ・テイトさんは、米国移民関税執行局 (ICE)による強制捜査を恐れて、従業員の 70%が出勤していないと推定している。
「労働者の 70%が出勤しなければ、作物の 70%は収穫されず、1日で腐ってしまう可能性があります。ほとんどのアメリカ人はこのような仕事をしたがりません」とテイト氏はロイター通信に語った。
「ここの農家のほとんどは、かろうじて収支を均衡させている状態です。これが多くの農家が倒産する転換点となっているのではないかと懸念しています」
米国農業は 1兆5000億ドル (220兆円)以上の産業であり、労働力の 70%は移民労働者で構成されていると推定されている。
その 70%のうち 40%は不法移民であり、移民関税執行局(ICE)への恐怖から、合法的に米国に滞在している人々でさえも農業に従事できない状況にあるようだ。
専門家は、労働力不足は品不足と価格高騰につながる可能性が高いと述べる
トランプ大統領は 7月1日、政権が拘置所の建設を計画しているフロリダ州の「アリゲーター・アルカトラズ」跡地を訪問した際に言った政権は、雇用主が保証できる限り、農場労働者とホテル従業員を免除する取り組みを進めている。
「我々は農家やホテル従業員、その他様々な人々の安全を守る。現在、その準備を進めている」とトランプ大統領は述べ、フロリダ州のロン・デサンティス知事とクリスティ・ノーム国土安全保障長官もこのプロセスに関与すると付け加えた。
「移民関税執行局が農場に入ったときに、10年から 15年もそこで働いている人がいるというケースが数多くある。農家もそのことを知っている。これは農家の責任、つまり所有者の責任と呼ばれる」
トランプ氏は、労働者が登録され税金を納める制度を導入するが、市民権を得ることは認められないと述べた。しかし、彼は、畑に労働者がまったくいない状況は望んでいないとも述べた。
それにもかかわらず、移民たちは拘留所に連行される危険を冒すことを躊躇している。
「移民税関捜査局という言葉を聞くと、誰も安心できません。たとえ書類を持っている人でさえもです。この近所には書類を持っている人も持っていない人も混在していることは分かっています」と、カリフォルニア州中部の農家グレッグ・テッシュさんはロイター通信に語った。
「近所の人たちがここで育てているピーマンのように、完熟しているのに 2、3日以内に収穫できないのは、日焼けしてしまったか、熟しすぎてしまったかのどちらかです」とテッシュ氏は言う。「労働力が必要なんです」
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