財務省の主張「日本経済はいずれ破綻」は本当か?騒ぎ続ける理由とは

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財務省の主張「日本経済はいずれ破綻」は本当か?騒ぎ続ける理由とは

財政破綻で増税必要論は嘘!財務省の権益拡大が目的!

「このままではいずれ日本は財政破綻する」――そういわれるようになって久しい。だが、日本は一向に財政破綻していないし、その兆しもない。それなのに財務省はいまだにそういってはばからない。なぜ財務省は日本経済の破綻を騒ぐのか、その理由を解説しよう。

 嘉悦大学ビジネス創造学部教授・髙橋洋一氏が、新刊『財務省、偽りの代償 国家財政は破綻しない』より、得意の理詰めの論法で財務省の主張を論破する(以下、同書より)。

金融工学からいってオカシイ

 10万円給付金、過去最大の予算規模107兆円などと伝えられるたび、財務省は「子どもたちの将来にツケを回される」といった懸念の声を上げる。会計学、金融工学からいっても、そもそも国家財政を借金だけで考えること自体がおかしい。これは世界の一般常識なのだが、日本の財務省にはそれが通じない。

 財務省キャリアは東大法学部出身者が多いが、そこで会計学、金融工学はあまり教えられていないからだ。金融工学を学ぶには一定の数学知識が必要だが、日本の文系大学でそれは少々荷が重い。東大では実学とみなされ、学問としては格が低く重要視されていないのが現状だ。

なぜ財務省は財政破綻論を唱えるのか

 大前提として押さえておきたいのが、財務省は「隙あらばいつでも増税に踏み切りたい人たちの集団」だということだ。税金を集めて財政再建したいから、といったきれいごとではない。増税すれば財務省の予算権限いわゆる「歳出権」の力が強くなり、各省に対して恩が売れるからだ。ひいては将来の天下り先の確保につながるという思惑もある。

 もちろん経済成長すれば成長した分だけ税収も増えるが、それでは誰も財務省に恩を感じることはない。しかし、増税すれば実質的に予算が膨らみ、経済成長による税収増加分も、増税を決めた財務省のおかげということになる。

 それで予算配分するとき、財務省が各省庁に恩を着せることができるという訳だ。恩を受けた省庁は見返りとして、自分が所管する法人などで財務省からの天下りを受け入れるという構図ができ上がる。増税するときは、必ずといっていいほど「例外措置」が設けられる。

軽減税率は天下り先確保へとつながる

高橋洋一『財務省、偽りの代償 国家財政は破綻しない 』(扶桑社新書)

 最近でいえば新聞の軽減税率などがわかりやすい。一律増税ではなく、ケースバイケースで税が軽減されたり、特定の業界は増税の例外とするといった優遇措置がとられる。

 たとえば14年に消費税を5%から8%に増税したときも軽減税率が議論され、10%への増税でもキャッシュレス決済なら中小店舗で5%、大規模チェーン店などで2%のポイント還元が期間限定で実施されるなどした。

 実はどういう例外措置が設けられるかは財務省のさじ加減だ。例外措置を設けるためにもっともらしい理屈をつけるが、実はこの業界を特例にすればこんな利益があるだろうという計算が裏で働いている。その業界への天下り先の確保につながるからだ。

歪められた「統合政府バランスシート」


ゆがめられた財務省のバランスシート
財務省「国の財務諸表」より筆者が作成

 日本の借金は、財務省が公表している国のバランスシート(以下:BS)を基に、国債と借入金、政府短期証券の残高を合計して1200兆円以上あるとされている。だが、この借金はないのと同じだ。それはなぜか。金融緩和政策により、日本銀行が国の借金である国債を買い続けており、いずれこの借金は消えるからだ。

 ここでのポイントは、政府と日銀の財布を一体とみなすことと、国債を買う原資として通貨発行権を活用していることだ。日銀には政府が55%出資している。日銀法では政府による役員任命権と予算認可権を定めており、日銀は政府のコントロール下にあると考えられている。

 民間の会社なら、親会社と子会社の関係だと会計上も連結対象にしておかなければならない。これを国に当てはめて連結ベースで作ったBSが「統合政府BS」だ。経済学でも日銀と政府を統合政府として一体のものとして分析する。借金が多いから財政破綻につながるという論は、この統合政府BSを見ればウソだとすぐわかるのだ。

金利が1%上昇すれば資産は10兆円増加

 元財務官僚の小黒一正法政大学教授は19年、金利1%上昇で利払費10兆円増、成長率1%上昇で税収0.7兆円増という主張をしていた。実は、名目成長率の上げ幅と名目金利の上げ幅は長期的には同じだ。その理屈でいけば、経済成長すれば金利も上がって税収よりも利払費が多くなるから、いずれ財政破綻するという話になる。

 だが、統合政府BSを見ればそれは誤りであることがわかる。小黒氏の理屈では資産を見ていないからだ。実は金利が1%上昇すれば、金利収入(資産)は10兆円増加する。

実質的に国には借金がない

 こんなのは誰でもわかる話だが、一般的に知られていないのは、財政には何も問題がないということを財務省が明かしたくないからだ。

 だから相変わらず「政府の負債が大きいから増税が必要だ」といい続けて財政破綻を煽っている。その根幹には天下り先の確保のために権限を強化しておきたいという財務省の思惑がある。

 筆者が統合政府BSをもとに「実質的に国には借金がない」というと、財務省の洗脳を受けている人にはトリックのように見えるらしい。

<TEXT/嘉悦大学ビジネス創造学部教授 髙橋洋一>

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