健康なら高齢者はクルマの運転を続けるべし 免許返納で「要介護リスク」が8倍に(和田秀樹)

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高齢ドライバー 社会問題

健康なら高齢者はクルマの運転を続けるべし 免許返納で「要介護リスク」が8倍に(和田秀樹)

高齢者の事故率が高いというデータはない。むしろ若い人の方が高い。

 正月休みにテレビを見ていると、信号待ちの車が猛スピードで後続車に追突されたり、高速道路を逆走したりする危険運転が報じられました。いずれも、危険運転のドライバーは高齢者です。

 4年前に起きた池袋の自動車暴走事故以来、高齢者の危険運転がクローズアップされています。しかし、高齢ドライバーは、若い世代に比べて事故率が高いという報告はありません。

 結論からいうと、高齢者が健康なら、運転を続ける方がボケ防止になります。世の中の流れは高齢者に免許返納を促す仕組みですが、健康なら安易に免許は返納しない方がいい。高齢者の精神医療を専門とする、私の強い思いです。

 その根拠を説明しましょう。2021年の交通事故件数を年齢階層別に見ると、免許保有者10万人当たりで最多は免許を取りたての16~19歳で約1044人。20~24歳が約606人で続き、85歳以上はこれより80人ほど少なく約524人で3位です。高齢者の入り口である65~69歳も70代全体も、約425人の20代後半を下回り、いずれも300人台です。

 交通事故を減らすなら、高齢者より24歳以下を厳格に取り締まる方が効果的でしょう。クリント・イーストウッドの映画「運び屋」で麻薬の運び人として選ばれたのは、90歳の男性でした。若者より高齢者の方が安全運転だからです。

 注目の研究結果を紹介しましょう。国立長寿医療研究センターは、65歳以上で自動車の運転を続けた人とやめた人に分けて、要介護リスクを分析。その結果、運転をやめた人が要介護状態になるリスクは、続けた人の8倍に上っています。

 筑波大の研究でも同様の結果が報告されています。運転をやめた人の要介護リスクは、続けた人に比べて約2.2倍でした。

 高齢者が免許を返納して運転をやめると、移動手段が失われ、行動範囲が大幅に狭くなります。そうすると、人との付き合いや社会的な交流が制限されるほか、足腰の筋力低下も避けられません。生活の質がガクンと落ちて、脳の働きも衰えていくのです。

 運転している高齢者はなるべく運転を続ける方がいいという理由をご理解いただけたでしょう。では逆走など危険運転についての問題は、どう捉えるか。その点については薬の影響が大きいとみています。それについては次回、説明します。

(和田秀樹/精神科医)

マイコメント

最初の表にもあるように高齢者だけが突出して車の事故率が高いわけではない。
確かに80歳を超えると事故率が高くなるので、自身と相談して免許返納をすべきですが
高齢だからと言う理由だけで免許返納する必要はないと言うことです。

こうした高齢者の事故率が高いというのはメディアが作り上げた虚像であり、いちばん
喜んでいるのは警視庁かもしれない。なにしろ、いろいろな検査や試験が増え、その分
手数料収入がガバッと増えているからです。

ただし、認知症の恐れがある人、身体に障害があり思うように動けない人は免許返納
すべきことは当然のことです。

それ以外の人は老後の生活を満足に行きたいなら運転を続ける方がいいでしょう。
地方では車がないと生活できないほど交通事情が貧弱であり、移動手段を失うと外出
する機会が減り引きこもり状態になります。
それは身体だけでなく脳機能の低下も招くので人生をエンジョイしたいという希望と
逆の結果となります。

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