“エッグショック” 外食大手2割が「卵メニュー」休止 さらなる深刻化の可能性も

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卵1パック 鳥インフルエンザ

“エッグショック” 外食大手2割が「卵メニュー」休止 さらなる深刻化の可能性も

「炒飯弁当」や「てりたまマフィン」までもが中止に追い込まれる

 卵の供給が不足しているなどとして卵を使ったメニューの休止に踏み切った外食大手が2割に上ることがわかりました。

 帝国データバンクが外食主要100社を調査した結果卵メニューを休止するなどした企業は18社に上ることがわかりました。

 ファミリーレストランやうどん店などが中心で、卵とじやタルタルソースなどの卵の加工品メニューで影響が大きく、「深刻な卵不足」や「価格の高騰」が主な要因です。

 殺処分されたニワトリが多いため供給の正常化は見通しが立ちにくく卵メニュー休止の動きはさらに広がる可能性があるとしています。

 東京地区でのMサイズの卵1キログラムのきょうの卸売価格は340円と1年前の2倍近くにまで高騰しています。(ANNニュース)

鳥インフルで卵価格2倍に、調達難で外食が悲鳴

「物価の優等生」と言われてきた卵にかつてないほどの異変が起きている。鶏卵卸大手のJA全農たまごによると、卵Mサイズ1キロあたりの出荷価格(東京市場)は2月14日に335円と過去最高を記録。175円だった2022年2月の2倍近くに高騰している。

鶏卵の出荷価格の推移

ウクライナ情勢などにより、鶏のエサとなる配合飼料や光熱費が上昇し、卵の価格は上昇傾向にあったが、高病原性鳥インフルエンザの過去最大規模の感染拡大が追い打ちをかけた形だ。

鳥インフルは例年11月中頃に鶏やアヒルなど家畜の鳥で初感染が報告される。今シーズンはこれまでで最も早い10月末から被害が拡大。感染の発生件数は2月20日時点で76件に上り、鶏卵を産む採卵鶏1300万羽以上が殺処分された。平時に国内で飼育されている採卵鶏の1割に相当する規模で、従来最も多かった2020年度の987万羽を大きく上回った。

卵を使うメニューが相次ぎ販売停止に

鳥インフルの直撃を受けているのが外食業界だ。

業界大手のすかいらーくホールディングス(HD)の金谷実CFO(最高財務責任者)は鶏卵価格高騰の影響について「年間で4〜5億円の利益を圧迫する水準」だと話す。同社が2023年12月期の営業利益として見込む60億円と比較しても、インパクトは大きい。

卵不足によるメニューの提供制限も相次ぐ。すかいらーくHD傘下のファミリーレストラン「ガスト」ではパンケーキなどを、低価格中華の「バーミヤン」では天津飯といった、卵を使用する一部商品の提供を2月中旬から中止。「通常量の使用を継続すると、卵の在庫が尽きてしまう。ガストでも看板メニューの提供を継続するため、他の商品の提供を中止している状況。春のメニュー改定でも鶏卵の必要量に留意した変更を行うつもりだ」(広報)。

全国に約300店展開する定食チェーン大手の「大戸屋」では、看板メニューのチキン南蛮を2月15日から販売休止。チキン南蛮ではタルタルソースにゆで卵を使う。300店強の居酒屋チェーン「串カツ田中」は一部店舗で味付き煮卵を使用したメニューの提供を停止している。いずれの会社も今後は、他のメニューでも卵の使用量の削減や代替品を使うことを検討しているという。

外食業界が卵不足に悩む背景には、全国の養鶏家が鳥インフルで深刻な被害を受けているだけでなく、1月に農林水産省が養鶏団体に向けて出した要請もある。

卵の流通経路は、小売業者向け、外食業者向け、加工業者向けの大きく三つに分けられ、平時におけるそれぞれの流通量は全体の5割、3割、2割という比率になっている。農水省は、消費者への供給不安につながらないよう、小売業者への提供を優先するよう求めたのだ。

供給が優先されている食品スーパーなどの小売店でも、卵の価格は高騰している。農水省の調査によると、2022年2月時点で卵1パック10個入りは平均214円だったが、今年2月には262円にまで上がった。

ただ、卵以外の食品も値上がりしていることや、生活必需品という特性も大きく、「食卓向け消費としては、これまでの価格上昇にもかかわらず、購入量の大きな減少にはつながっていない」(日本養鶏協会の担当者)。

こうした事情もあり、いわば「二の次」となっている外食企業は、生産者から十分な量を確保できなくなっている。

雛が生まれて卵を産むまでに半年かかる

今後の焦点は卵の供給がいつ頃回復するかだが、少なくとも半年はかかるとの見方が主流となっている。通常、養鶏場で感染が確認された場合、その養鶏場で飼育している鶏をすべて殺処分したあと、消毒作業など防疫措置を行うが、営業再開できるまで順調にいっても2カ月はかかる。そのうえ、防疫措置が完了後、すぐさま通常の生産を再開できるわけではない。

採卵鶏は、雛の生産業者や育成業者を経て鶏舎に導入されるが、雛が生まれてから安定的に卵を生むようになるまで、通常半年ほどかかるうえ、雛業者らも採卵鶏の平時の需要に合わせた雛鳥しか生産しておらず、迅速な対応は難しい。

また、ある養鶏産業の関係者は「仮に大規模な農場で100万羽が殺処分になっても、防疫措置の完了後、すぐに100万羽の採卵鶏を仕入れるわけではない」と話す。年間を通して安定的な生産を行うため、いくつかの「ロット」にわけて段階的に導入していくのが基本だという。こうした養鶏産業の構造からしても、鶏卵の需給ひっ迫は当面緩和されそうにない。

農水省の専門家会合「家きん疾病小委員会」の内田裕子専門委員によれば、現在も鳥インフルエンザの感染リスクは高い状態にあり、どの鶏舎にもウイルスが入り込む可能性が高いという。2月10日には、茨城県の養鶏場で鳥インフルの感染が確認され、115万羽の採卵鶏が殺処分された。

同委員会で委員長を務める鳥取大学農学部の山口剛士教授は「ウイルスを運んでくる渡り鳥が列島を去る4〜5月くらいまで、被害が続く可能性がある。今シーズンは例年より早い10月から被害が出ているが、早い時期に被害にあった農家さんの中には生産が正常化しつつある方もいるだろう。そうしたところで再感染が起こる可能性も捨てきれない」と話す。

影響が異例の長期にわたる可能性も

こういった養鶏場の状況や消費者向けを優先する国の意向もあり、外食業界では鶏卵不足や価格高騰が長期化するとの見方がもっぱらだ。すかいらーくHDの金谷CFOは「2023年中はこの状況が続く」と厳しく見る。前出の養鶏産業の関係者も「生産量が正常化すれば、必ず価格は低下する。が、楽観的に考えても、半年以上はかかるだろう」と語る。

恐ろしいことに、これら関係者が予測する「卵の価格が落ち着く時期」は、鳥インフルの今シーズンが始まった10月と重なる。山口教授も「農家さんの防疫意識も非常に高まっている。が、価格が完全に沈静化する前に、鳥インフルエンザの次のシーズンが訪れる可能性は十分にある」と語る。

山口教授は近年ヨーロッパで起きたようなウイルス蔓延が日本で常態化する可能性は「極めて低い」とするが、今回の鶏卵をめぐる混乱は外食幹部が想定するよりも長期化する恐れがある。コロナ禍を乗り越えてきた外食業界は新たな試練に直面している。

→https://toyokeizai.net/articles/-/654792

鳥インフルで卵が高騰、飲食店にも深刻な影響。ガスト、バーミヤンでは一部メニューを休止

鳥インフルエンザが猛威を振るい、卵の供給量が大きく減少している。それに伴い卵価格の高騰は止まらず、飲食業界にも深刻な影響が及んでいる。すかいらーくホールディングスは運営する『ガスト』『バーミヤン』『しゃぶ葉』で、鶏卵を使用する一部メニューの販売休止や、卵の提供方法の変更を発表した。『丸亀製麺』でも、鶏卵を使う一部商品の品切れを見込んでいる。

 

鳥インフルエンザによる殺処分数が過去最多に。卵不足で平均価格が13%上昇

令和4年度の農林水産省の発表によると、今シーズンは25道県で76事例の鳥インフルエンザが発生し、約1,478万羽の鶏が殺処分の対象となっている(2月20日時点)。1シーズンあたりの殺処分数としては過去最多で、1,000万羽を超えるのは初めて。専門家は、感染した渡り鳥の飛来が例年より早い9月下旬に始まったことが感染爆発の背景にあると指摘する。

鳥インフルエンザの感染爆発によって起こるのが、卵の供給減とそれに伴う価格の高騰だ。1月の卵の全国平均小売価格は、過去5年間の1月の平均価格と比較して13%上昇し、一般家庭のみならず、飲食業界にも大きな打撃を与えている。

ガスト、バーミヤン、丸亀製麺、ドトール…、広がる卵価格高騰の影響

すかいらーくホールディングスは、運営する『ガスト』『バーミヤン』で鶏卵を使う一部メニューの販売を休止した。休止するメニューは、温泉卵を使うメニューやパンケーキ、天津飯などが含まれ、今後その他の商品についても休止する可能性があるとした。また、『しゃぶ葉』では無料の卵サービスを休止。当面の間、希望者に有料(1個55円)で提供するという。

『丸亀製麺』は、鶏卵を使った「とろ玉うどん」など8商品が品切れとなる見込みを発表。釜玉うどんの生卵を温泉卵へ変更できるサービスも休止とした。また、カフェ『ドトールコーヒーショップ』を展開するドトール・日レスホールディングスは、ケーキなど卵を使う商品の種類を絞ることを検討しているという。

さらに、コンビニエンスストアや食品メーカー各社でも卵を使った商品の販売の休止や、商品における卵の割合を減らすなどの対応を発表している。

画像はイメージ。画像素材:PIXTA

 

農林水産大臣も予想できなかった事態は、向こう半年続く見込み

この卵の価格高騰はいつまで続くのか。農林水産大臣は昨年末、「正月明けになると少し落ち着いてくる」と話したが、最高値の更新が続く現状に鑑み、17日に発言を修正。「先を見通す力がなかった。(ヒナの誕生から流通まで)6か月しないと卵が出てこないので、あと半年は待っていただかないとならない」と釈明した。

価格高騰には鳥インフルエンザだけでなく鶏の餌の値上がりも影響しており、こちらも下がる見込みが立っていないという。扱うメニューに卵が多く含まれる飲食店は、メニューの変更や休止、価格改定など、なんらかの決断をする必要があるだろう。

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