米中「新アヘン戦争」、日本法人に擬態した会社や日本の港湾が中国の犯罪組織の中継点にされている実態
財務省関与が疑われることから日本政府が吹っ飛ぶほどの問題を抱えている。麻薬取り締まりに厳しい日本の大失態。その要因は特に中国人に甘い緩すぎる移民政策にある。
フェンタニルは 1968年にアメリカで医療用として承認された非常に強力な合成オピオイドで、日本では1972年に三共株式会社(現第一三共)からフェンタネストとして販売が開始され、医療現場で麻酔用鎮痛剤として使用されています。
モルヒネの80~100倍、ヘロインの50倍の効力を持つため、鎮痛剤として管理された医療用のものは殆どは問題ない一方、 違法に流通するフェンタニルを含む薬物の過剰摂取による死者は、2022年に全米で10万7941人にのぼり10年前の2倍以上、交通事故による死者よりもはるかに多かったと指摘されている。
フェンタニル前駆体を使用して製造されるフェンタニル類似体はより毒性があり、「2mgのフェンタニルで成人が致死に至る可能性がある」ほど極めて致死性が高いと警告されており、 現在フェンタニル中毒は米国における18歳から49歳までの人々の主要な死因との指摘もなされている。
■米中「新アヘン戦争」
米国でのフェンニタル犯罪は、中国のAmarvel Biotech(湖北精奥生物科技)という組織が決定的な役割を果たしていたとみて、米当局は関係者の摘発に動いた。
今年の1月、湖北精奥生物科技(Hubei Amarvel Biotech Co., Ltd.)の最高経営責任者兼マーケティングマネージャーの王慶周(Wang Qingzhou)と幹部の陳依依(Chen Yiyi)という中国人2名は、フェンタニルの製造に使用される前駆体材料を米国内に大量に密輸してフェンタニルの原料を違法流入させた罪で米国麻薬取締局(Drug Enforcement Administration DEA)に逮捕されNYの連邦裁判所で有罪判決を受けた。
■日本企業に擬態
フェンタニルを米国に密輸していた中国組織「湖北アーマベルバイオテック」(Amarvel)と事実上同一組織である富仕凱の中国子会社が日本に拠点を置き活動していたことも発覚。
FIRSKY株式会社(名古屋市西区幅下2丁目5−12、24年7月に清算)という社名で「日本企業」とアピールしつつ「当社の製品はすべて日本から、フェデックスやUPS、日本郵便などの国際小包で発送し、5〜7営業日でお届けします」と謳っていた。
■財務省関税局の失態
今年の2月6日、財務省関税局調査課の職員が酒を飲んで帰宅する途中、不正薬物の密輸の容疑者など187人分の氏名や住所が書かれた文書を紛失したと報じられている。
財務省職員 不正薬物密輸の容疑者など書かれた文書紛失 | NHK | 財務省
しかしながら「財務官僚が会議資料を持ち帰ることなど絶対にあり得ない」と元財務官僚で関税局にもおられた高橋洋一氏は指摘。
高橋洋一チャンネル
「財務省文書紛失の謎 フェンタニルとの妙な符合は何か臭う」
という事はこの問題に財務省が何らかの形で関わっている可能性を示唆する。そうだとすれば、大変な国際問題に発展します。
■「対岸の火事」ではなかった
「日本は外国人が出入りしやすく、密売買ネットワークの拠点とするには最適な場所だ」と、メキシコの「シナロア・カルテル」元幹部で、現在は米国麻薬取締局(Drug Enforcement Administration、DEA)に協力するマルガリート・フロレスという人物が指摘するように、米中「新アヘン戦争」には、日本に中国組織のリーダー格とみられる人物が拠点を置いて活動していた。
実態が明るみとなり、FIRSKYは既に去年の7月9日付けで清算。
組織のリーダー格の夏 (Xia)という中国籍の男は、日経新聞に、「Fengzhi Xia」という沖縄県那覇市在住の中国人男性であると指摘されている。
夏は那覇地方法務局で法人登記したFIRSKY株式会社(法人番号7360001029005、名古屋市西区幅下2丁目5−12)を使って危険薬物の集配送や資金管理を指示していたとみられている。
中国の武漢にある有限公司「富仕凱」は中国語読みに近い「FIRSKY」というブランド名で活動し、英語のホームページによれば、日本にある「Japan FIRSKY」の100%出資企業で、取り扱う化学薬品を日本から世界各地に送るとアピールしていた。
それまで「貨物の輸出入、輸出入の代理、化学製品の販売」を掲げていた内容から薬物の取り扱いをにおわすような一切の文言を消去している。
参考
2025年6月27日付けの日経新聞の記事を一部抜粋して貼っておきます。
フェンタニル密輸 「ボス」が執着した日本
中国籍の陳依依(Chen Yiyi)は中国・武漢の化学品メーカー「Hubei Amarvel Biotech(湖北精奥生物科技)」の元幹部。上司である王慶周(Wang Qingzhou)の通訳を務め、違法薬物の販売サイト設計も担っていた。
1月に、米当局が南太平洋のフィジーで王ともども身柄を押さえられ、フェンタニル原料を米国に違法流入させた罪で起訴。
トン単位という化学兵器に等しい規模の危険物質をNYに送り込んでいたことを、当局の囮捜査で陳はその企図を明かした。メキシコの麻薬カルテルさえも手玉に取ろうとしていた。
国際的な麻薬密輸団の実行犯の一人であり、検察は起訴状に冷酷で凶暴な人物像を描いたが、実際の陳はまるで別人のような「若い平凡な女性」だった。
米国に合成麻薬「フェンタニル」を不正輸出する中国組織が日本に拠点をつくっていた疑いが判明。リーダー格を米麻薬取締局(DEA)は足取りを追っている
「100%ステルス配送」保証
米国に対する新アヘン戦争で、Amarvel Biotech(湖北精奥生物科技)は決定的な役割を果たしたとみて、米当局は関係者の摘発に動いた。
ネット上に残るAmarvelの活動履歴からは、内容物を偽装して発送するという巧妙な手口をアピールしていた。
Amarvelは「100%ステルス配送で、お手元まで安全にお届けすることを保証します」とアピールしつつ、複数の専門通販サイトを通じて危険薬物を扱っていた。
営業だけで少なくとも10人の担当者がいた形跡があり、英語やスペイン語など複数の言語を使って、積極的に禁制品であるフェンタニル原料をすすめ、発送時に特別な細工を施していた。
ドッグフード、ナッツ類、蜜蠟、エンジンオイルなど、合法商品であるかのようにラベルを貼り替え、各国税関の目をかいくぐり、中国から発送したあとは経由地をはさみ、周到に発送元情報をさしかえていた。
合成麻薬の闇 、名古屋が結節点
フェンタニルを水面下でやり取りするため、Amarvelは日本、中国、米国に多くの兄弟会社を持っていた。
「米国の税関は99%通過できる。1000件のうち1件は留め置かれるかもしれないが、ほかの方法で運び込める」
DEAの囮捜査官に、Amarvelの王と陳はこう請け負い、メキシコや米国内など各地に中継地点を隠し持っているとも明かしている。
無視できないのが日本との深いつながりで、名古屋に法人登記する「FIRSKY株式会社」という企業が組織の司令塔だった可能性が浮かんできた。
最初の手がかりは計100本を超す米裁判資料にあった。
「……23年3月23日の面談で、Amarvel社員は王(慶周)被告のほかに日本にもうひとりボスがいると説明した。王はそのもうひとりのボスにビデオ会議でつなぎ、覆面捜査官に引き合わせた……」
未公表分も含めてAmarvelの王や陳らに対する逮捕状請求書、訴状、検察意見書、裁判記録などを取り寄せ、大量の文書を調べた。そのなかでわずか数行のみ「組織のボスが日本にいる」とする重要情報をあげていた。フェンタニル危機で日本の関連性をはじめて指摘した公文書だった。
NYで裁判がはじまり、そのボスの具体的な名前が明らかになる。「(日本にいる)Xia氏が責任者」「Fengzhi Xiaが投資するAmarvelなど4社で働いていた」と陳が証言したのだ。
フェイスブックでXia Fengzhiという人物を探り当てた(画像を一部処理)
日経新聞の取材班はフェイスブックや微信(ウィーチャット)など大量のSNS情報を分析にかけ、漢字で「夏(Xia)」姓の「Fengzhi Xia」という中国人男性を探し当てた。
沖縄県の那覇市在住。プロフィル写真は丸刈り風の東アジア系男性。友達登録は6人のみ、フォロー先はひとりだけで、ベトナムの薬品関係者とつながっており、中国・武漢の高層ビル写真を投稿。。
夏は中国で少なくとも16社の株主になっており、本社所在地は複数の都市に及び、表向きの業種も建築や設計、情報技術と幅広い。
このうち武漢にある「富仕凱貿易」には100%出資し、法定代表者にもなっている。24年7月にはこの会社の監査役だった「王慶周」が突然退任。米国で有罪になったAmarvelの王と同姓同名で、NYで裁判が進んでいた時期と重なる。
富仕凱は王が辞めると同時に会社の事業内容も大きく変え、それまで「貨物の輸出入、輸出入の代理、化学製品の販売」を掲げていたが、薬物の取り扱いをにおわすような一切の文言を消した。
富仕凱に登録してある夏の連絡先をたどると、ほかの中国企業7社とも結びつき、そのうちの1社である「武漢東軍労務分包」の筆頭株主はAmarvelの登記上の社長と同一人物だった。
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富仕凱国際貿易(Firsky International Trade)の営業許可証。24年に事業内容の一部を変更。
いくつもの法人を絡ませ、組織の核心を覆い隠し、監視の目をそらす常套手段で、資本関係が入り組み、多層的で、とりわけ中国国内の法人情報は限られており、海外捜査の手も簡単には及ばない。
FIRSKYの中国子会社はホームページで自社を「日本企業」とアピール。
自社紹介で使う工場写真はすでに閉鎖したAmarvelのサイトと同一だ。日本とみられる「本社ビル」も載っており、化学品の専門通販サイトには「富仕凱=FIRSKY」がAmarvel製の薬物を売っていた履歴が多く残る。
営業担当者がAmarvel関連会社と共通のSNSユーザー名を使い回していた。欧州調査機関ベリングキャットの金融チーム調査員、ジョージ・カッツは「FIRSKYとAmarvelは人的にも資本的にも同じ組織といえる関連性が認められる。夏はその中心人物とみていい」などを指摘。
べリングキャットはOSINT分析(注)で世界の先端を走り、各国の情報機関もその動向に注目する。14年のウクライナ上空で起きたマレーシア航空機撃墜事件では、親ロシア派の関与を暴いて脚光を浴びた。最近もロシアのウクライナ侵略や中東情勢をめぐって独自情報の発信を続けている。
FIRSKYは名古屋市西区に法人登記していた。代表者は「夏」姓の人物だ。Amarvelの「ボス」である夏は確かに日本を活動拠点にしていたとみられる。
フェンタニル密輸を手がける上で、夏はフィクサー的存在として周到に自身の姿を消していた。
各国税関はフェンタニルを厳しく取り締まっている中、(フェンタニル犯罪に)ノーマークで、安全圏の日本で中国人でボスの夏は名古屋のFIRSKYを通して危険薬物の集配送や資金管理を指示していたとみられる。
米国NYの連邦裁判所は8月、陳らへ量刑を言い渡す。
(注)OSINT「Open-Source Intelligence」の略語
一般的に入手可能である公開情報を収集、評価、分析を行うことで意思決定のための洞察を作り出す手法を指す。元々は軍事の諜報活動の一部で、SIGINT(Signal Intelligence:通信傍受による諜報)やHUMINT(Human Intelligence:人的情報による諜報)と並行して用いられ、国家の安全保障や軍事的な戦略策定に活用されている。
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名古屋を中継点とする中国系犯罪組織によるフェンタニル密輸事件以外に、メキシコの麻薬カルテルが横浜を拠点とする流通網を構築している実態が浮上している。
日本の港湾インフラが国際的な薬物密輸において重要な役割を果たしている実態も明らかになっている。
特に横浜港は、メキシコの大手麻薬組織であるシナロア・カルテルによって化学物質の流通拠点として活用されており、太平洋を横断する新たな密輸ルートが確立されつつある。
このルートでは、中国で製造された原料が日本の港湾を経由してメキシコに輸送され、そこでフェンタニルに精製された後、米国市場に流入するという複雑な流通経路が構築されている。
日本の港湾が中継地点として利用されることで、原産地から最終目的地までの追跡が困難になる仕組みが作られています。
日本の警察当局が「国内でフェンタニル関連の事案は起きていない」との認識を維持している間に、実際には国際的な薬物密輸ネットワークの重要なハブとして機能している可能性がある。
今回の発覚は、この認識と現実の間に深刻な乖離が存在することを示しており、日本の薬物対策の根本的な見直しが必要な段階に達していることを物語っている。
にも関わらず、日本の警察当局は依然として、国内でフェンタニル関連の事案は起きていない、という姿勢を崩していない。。
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