AIとの電話対決を何度も強いられた男性の「壮絶な戦い」全記録
カスタマーサービスのこと
値の付くものなら何でも上がる時代になってしまった。
その値上げには何種類かの手法がある。
露骨に値段を上げる通常値上げ、内容量などを減らす実質値上げなどである。そしてもう一つ忘れてはならないやり口がサービスの質が何気に下がる「しれっと」値上げである。これは実質値上げのバリエーションの一つで、以前はあった筈のアフターサポート等が同質の状態では受けられない、といった場合などが該当する。
誰でも一度は経験あるのではないだろうか。そう、あの「カスタマーサービス地獄」である。
この地獄の今のトレンドはAIによる電話応対である。
以下は、最近私が経験したその地獄の沙汰の模様である。
「こちらは○○○○カスタマーセンターです。ご希望の内容をピーっという発信音の後に言ってください」
「サービスが受けられなくて困っています。機器の故障か何かでしょうか?」
「お客様がお掛けになっている電話番号当てに参考となるURLを記載したショートメールをお送りしてもいいでしょうか?」
「いいですけど…」
「ありがとうございました(プツっ、ツーツーツー)」
早速届いたURLをチェックしてみる。何のことはない。よくある「FAQ」である。
こう見えて私も結構な大人である。トラブル関係のページは一通り参照済みである。当該トラブルの解決の助けとなりそうな記載が見当たらなかったから電話したのである。しかし私にはある程度の忍耐力がある。もう一度電話することにした。
「こちらは○○○○カスタマーセンターです。ご希望の内容をピーっという発信音の後に言ってください」
「サービスが受けられなくて困っています。機器の故障か何かでしょうか?」
「お客様がお掛けになっている電話番号当てに参考となるURLを記載したショートメールをお送りしてもいいでしょうか?」
「いやです」(本来なら「いえ、結構です」とでも答えるべきところなのだろうが「結構です」を「Oh, yes!」の意と取られたらかなわないので敢えてこう言うのである)
「分かりました。ありがとうございました(プツっ、ツーツーツー)」
私の机の上に光るボタンがあったら「ちょっと、待てい!」とやっているところだ。しかし私は岡山弁(広義)の人気芸人ではないし、まだまだ忍耐力も残っている。もう一度電話することにした。
「こちらは○○○○カスタマーセンターです。ご希望の内容をピーっという発信音の後に言ってください」
「オペレーターと話がしたい」
「お客様がお掛けになっている電話番号当てにお問い合わせ先を記載したショートメールをお送りしてもいいでしょうか?」
「はい」
「ありがとうございました(プツっ、ツーツーツー)」
これでやっとまともに人間と話ができる。メールを見るとリンクが貼ってある。タップして驚いた。ただのメールフォームである。企業サイト草創期から存在しているあのメールフォームである。
「古っ!AIはどこに行った。て言うかわざわざAIを導入してあの応対かよ。一体どこのポンコツコンサル会社とポンコツベンダーの仕事だよ」
そう思いながら私はだいぶ消耗した忍耐力を振り絞ってフォームに記入する。
「どういう訳かサービスが利用できません。オペレーター(人間)と話がしたいです」
AI、AIとしきりに言うけれど、やはり使い方ひとつである。これなら人間が電話対応してAIがメール対応した方が、よほどことが早く進む。カスタマーに対する(カスタマーが受ける)印象もいい。
それにしても企業の「AI導入してます」アピール程、傍ら痛いものはない。それがしょぼいと猶のことである。
どうやらこれはAIではなく人間の側の問題のようである。きっと永遠にそうなのであろう。
マイコメント
今後はこうしたカスタマーサービスが増えることは間違いないだろう。
会社としてはクレーマーとの長時間の対応を避けるためには素晴らしいことかもしれないが
真面目なクレームを入れる人にとってはたまらない話だろうと思います。
なんでもかんでもAIに任せるというのは考え物だと思います。
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