高橋洋一・政治経済ホントのところ【参院選で自公大敗】増税好機とみる財務省

スポンサーリンク
高橋洋一氏 政治・経済

高橋洋一・政治経済ホントのところ【参院選で自公大敗】増税好機とみる財務省

積極財政派が黙っておらず高市早苗氏を担ぎ争うだろう

 参院選で与党が大敗した。一方、野党は大幅に議席を増やし、自公は衆院に続き、参院でも過半数を失った。政局になるのは避けられず、重要課題が山積する中で政治的空白が生まれる恐れもある。政局はどう展開するのか、自民党や公明党は立憲民主党、または国民民主党や日本維新の会と組むのか。

 昨年10月の衆院選で与党過半数割れ、今年6月の都議選で歴史的惨敗、参院選も大敗し、3連敗だ。普通なら昨年10月に退陣するが、普通でない石破茂首相はそう簡単にいかない。今回も「首相の座で粘る」とみる人が少なくない。

 自公だけでは、衆参で少数与党となり、そもそも政権運営がおぼつかない。野党を巻き込むのは当然、あり得る。

 それにしても、今回の参院選は、2010年の参院選と、どこか似ているところがある。

 10年の参院選は与党であった民主党が苦戦し、みんなの党などの多党化が進んだ。今回の参院選も与党である自公が苦戦し、国民民主、参政党、日本保守党などで多党化が進んでいる。

 実はこのように与党が弱体化するのが増税の大チャンスであると考える組織がある。財務省だ。

 このシナリオに乗るのは、石破首相を含めた自民内の左派・緊縮財政派だ。表向きの大義名分は、対米関税交渉の最中なので、石破首相はすぐ辞められないというものだ。基本形は石破首相が粘るが、粘れずポスト石破となれば、岸田文雄前首相の再登板という2段階構想だ。現在、「石破首相は粘る」という情報を流しているのは、このシナリオに乗っている人たちである。

 民主党政権では菅直人首相の後、野田佳彦首相で、大増税の方針が出た。財務省から見れば、野田氏は増税の大恩人である。今回、その大恩人が立民の代表であるので、財務省は再び政権トップに就かせたいと思うだろう。それは自公と立民の増税大連立か、閣外協力関係だ。

 しかし、このシナリオでは自民党内の保守派・積極財政派が黙っていない。「憲政の常道を歩め」という大義名分を掲げ、ポスト石破の政局になり、そこで高市早苗氏が首相に担がれるだろう。そうなれば、年内解散により、衆院での少数与党の打破に動くことになる。

 いずれにしても、自民の中で、壮絶な権力闘争が繰り広げられるに違いない。一方、自民党外からは8月1日召集の臨時国会で内閣不信任が立民から出されるかどうかも注目だ。

(たかはし・よういち=嘉悦大教授)

コメント

タイトルとURLをコピーしました