チクングニア熱の大流行を受けて、中国政府が「500万匹の遺伝子編集された蚊」の放出による蚊の不妊化作戦を実施。しかし過去を考えると…
昨年のブラジルで「遺伝子編集した蚊を放出した後に」デング熱の大流行が起きたことを思い出すと…
中国の広東省を中心に、蚊が媒介するチクングニア熱という感染症が大流行しています。
広東省だけで、すでに患者数は 8000人を超えたと報じられており、また、義務的な PCR 検査と共に、
「隔離措置」
も始まっているとも報じられています。
まあしかし、チクングニア熱は、蚊からの感染のみであり、ヒトからヒトの感染はないですので、隔離措置に意味があるのかどうかは不明ですが、中国の市民は、「再びロックダウンのような状況になるのではないか」と懸念していることを最近記事にしました。
また、「蚊への対策」として、広東省では、
「緑地帯が撤去され、野菜畑がセメントで封鎖され、下水道も網で塞がれる」
というようなキャンペーンも行っているようで、これも意味があるのかどうなのかわからないですが、以下のように報じられています。
広東省は最近、キャンペーン形式の蚊駆除作戦を開始し、至る所で煙と塵が舞い上がった。緑地帯は撤去され、住民の野菜畑はセメントで封鎖され、下水道さえも網で塞がれ、都市部では洪水が発生した。
政府職員は、街路樹や花壇をセメントで固め、住宅地からあらゆる緑地を根絶するなど、積極的な伐採作業を行っている。
あるネットユーザーは、仏山市当局が蚊の侵入を防ぐため、1ヶ月間も下水道を有刺鉄線で封鎖していたことを明かした。その結果、激しい暴風雨が市全体を浸水させた。
以下は、広東省仏山市で、下水道などを網などで塞いでいる様子です。
蚊の侵入を防ぐために下水道を網で塞ぐ作業をする人たち
ntdtv.com
これに意味があるかどうかというと、上の報道にある
> その結果、激しい暴風雨が市全体を浸水させた。
というようなことにもなっているようで、むしろ状況を悪化させているかもしれません。(蚊の生息域がむしろ拡大したと考えられるため)。
そして、広東省政府は、ついに、
「遺伝子組み換えした蚊の大量放出」
を実施したようです。
血を吸うのは蚊のメスだけですが、「メスの蚊が産んだ卵を不妊化」するように遺伝子編集されたオスの蚊が環境に放出されています。
ただ、これですね…。
やはり蚊が媒介するデング熱の撲滅のため、ブラジル政府が同じように「遺伝編集をした蚊の放出」を 2023年に実施したんですね。
その翌年、ブラジルのデング熱の流行は、過去最悪レベルになったことがありました、以下の記事にあります。
・デング熱撲滅のために遺伝子編集蚊を放出した後、デング熱症例が400%増加しているブラジルで、他にもマラリア、ジカ、麻疹、コレラ症例が急増中
地球の記録 2024年3月4日
遺伝子編集蚊が放出された翌年の 2024年のデング熱の流行は、過去にないようなもので、以下はグラフです。
2014年-2024年の南米のデング熱症例の累積数
earthreview.net
遺伝子編集した蚊を放出した翌年に、「さらに蚊がパワーアップ」してしまったようなのです。
生き物は……特に蚊のように地球上で長く生存してきた種が、そう簡単に人為的操作によって消滅していくとは思えません。
時間をかけて蚊たちは復活して、さらにパワーアップして戻ってくるというのがオチじゃないでしょうか。
来年になればわかります。
今回の遺伝子組み換え蚊の放出についての記事です。
中国、チクングニア熱流行を受け「不妊蚊軍」の放出を開始
Trung Quốc tung ‘đội quân muỗi vô sinh’ giữa tâm dịch Chikungunya
tuoitre.vn 2025/08/13
チクングニア熱の流行を受け、広東省政府はメスの蚊を不妊化するために、遺伝子組み換えされたオスの蚊 500万匹を毎週環境中に放出し、「蚊で蚊を殺す」戦略を開始した。
チクングニア熱の猛威に直面して、中国政府は、特に新規感染の「ホットスポット」となりつつある広東省において、流行を抑制するために一連の抜本的な対策を緊急に講じている。
すでに症例数は6,000件以上に。血液検査を広く実施
エコノミック・タイムズは、広東省疾病予防管理センター(CDC)の発表を引用し、8月の第1週(8月3日から9日)だけで、同地域で 1,387件の新規感染が記録されたと報じた。
7月8日に最初の感染者が確認された仏山市だけでも、感染者総数は 6,000人を超えた。
ソーシャルメディアでは、広東省の多くの地域の住民が、大規模な伝染病抑制キャンペーンの一環として、義務的な PCR 血液検査を受けるよう求められていることをシェアしている。
毎週500万匹の蚊を放つ
この伝染病に対処する中国の戦略の中で最も顕著な特徴の一つは、バイオ改変蚊を使用して自然の蚊の繁殖連鎖を断つ、ボルバキア感染バイオテクノロジーの応用だ。
広州市黄埔区では、中国最大の蚊の養殖施設であるウォルバキ社が休みなく稼働しており、毎週約 500万匹の遺伝子組み換えのオスの蚊を環境に放出している。
ヒトの血を吸い、病気を媒介する唯一の種であるメスの蚊とは異なり、オスの蚊は血を吸わない。ボルバキア菌を保有するように処理されたオスの蚊は、メスの蚊が産んだ卵を不妊化し、「細胞質不適合」現象により孵化して子孫を産むことができなくなる。
この「蚊工場」の生産工程はほぼ完全に自動化されている。ロボットが幼虫を選別し、機械がオスとメスの蚊を 0.5%未満の誤差で選別する。成虫になると、雌雄混同率は 0.3%未満となり、野生蚊の正確かつ安全な駆除を実現する。
ウォルバキ研究所の研究責任者であるゴン・ジュンタオ氏は、この技術により、チクングニア熱、デング熱、ジカ熱などの病気を媒介するネッタイシマカの密度が劇的に減少したと語った。
多くの専門家は、ボルバキアは蚊を殺す化学物質の使用を減らし、生態系のバランスを維持するのに役立つ画期的な環境に優しい解決策であると考えている。
しかし、この方法の長期的な有効性を確認するには、さらなる追跡期間と実験データが必要だろう。
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