オーストラリアの砂漠で空から落ちてきたと思われる「謎の燃える物体」が発見される
人工物ではあるけれど、どこから落ちてきたのかは不明
オーストラリア西部の砂漠地域で「空から落ちてきたと思われる燃える謎の物体が発見された」ことが報じられています。
以下のようなものです。
最初に書いてしまえば、これは、「複合外装圧力容器 ( COPV )」というものだと思われます。燃料やガスを貯蔵するための圧力容器です。
人工衛星や様々な宇宙船などに使われるもので、形状はいろいろですが、一例としては以下のようなものです。
複合外装圧力容器 ( COPV )の例
NASA
ただ、「どんな機体から落ちてきたのか」が具体的にはわからないことが多いわけで、このあたりは、ずいぶん前の記事ですが、以下の 2016年の In Deep の記事で取り上げたことがあります。
・飛行機事故もロケット打ち上げ失敗もない中で世界中で次から次へと、まるで異次元的に空から落下してくる「人工物」は一体どこから落ちてくる?
In Deep 2016年12月18日
この記事に、当時いろいろな場所で「空から落下してきた物体」の写真を載せています。
2015年11月にスペインに落下した物体
2015年8月にインドに落下した物体
2016年11月にミャンマーに落下した物体
どんな人工物から落ちてきたかが定かになることはほとんどないですが、現在は人工衛星の数もおそろしいほど増えていますので、そういうものから落ちているのかもしれません。
多くは大気圏に入る時に燃え尽きてしまいますが、「何らかの理由」で燃え尽きないで落ちてくるものもあるということなんでしょうかね。
今回のオーストラリアの落下物についての報道です。
オーストラリアの砂漠で燃える物体が発見される、宇宙から落ちてきた可能性も
Burning Object Found in Australian Desert Likely Fell From Space
sciencealert.com 2025/10/20
謎の物体は発見されたとき、炎上していた。 (西オーストラリア州警察撮影)
西オーストラリア州ピルバラ砂漠で、鉱山労働者たちが 10月18日、鉱山の町ニューマンから約 30キロ離れた遠隔地の道路で謎の物体を発見し、緊急サービスに通報した。
現在、警察、オーストラリア宇宙庁、消防緊急サービス局を含む複数の機関による捜査が進行中だが、残骸の大きな塊は、地球の大気圏に再突入した宇宙ゴミのようだと西オーストラリア州警察は発表している。
最終的な診断はまだ下されていないものの、初期調査では、この物体は宇宙船の一部である可能性が示唆されている。
英ガーディアン紙の報道によると、オーストラリアの宇宙考古学者アリス・ゴーマン氏は、この物体は中国が 9月に打ち上げた「済嶺ロケットの第4段」 である可能性もあると推測している。
警察はフェイスブック上の声明で、「初期評価では炭素繊維でできており、複合材で覆われた圧力容器やロケットタンクなど、これまでに確認されている宇宙ゴミと一致していることが示唆されている」と述べた。
「オーストラリア運輸安全局は民間航空機とのいかなる関連性も否定している」
複合材で覆われた圧力容器は、宇宙船内の高圧流体を収容するために使用されるタンクだ。
このような宇宙ゴミの回収は比較的稀なケースだ。軌道上の技術が地上に落下する可能性は、老朽化した宇宙船の計画的な制御再突入や、大気圏で燃焼する材料で建設することで大きな破片が地上に落下しないようにするなど、様々な安全対策によって制限されている。
さらに、地球の表面は大部分が水であるため、地表に達するほどの大きさのものは陸上よりも海に行き着く可能性が高くなる。
実際、2023年には海に着陸した宇宙船の大きな破片が西オーストラリアの海岸に打ち上げられたことがある。
オーストラリアで宇宙ゴミと思われる物体を発見した場合、オーストラリア宇宙庁は、宇宙物体には危険物質が含まれている可能性があるため、触れないよう警告している。
この物体がどの宇宙船から落下したのかは現時点では不明だが、答えが出るまでそれほど長く待つ必要はないだろう。
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