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週末の帰宅ラッシュは驚異の午後2時

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デンマーク 世界の出来事
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週末の帰宅ラッシュは驚異の午後2時

世界一効率的に動くデンマーク人の「金曜午後~日曜」の働き方、休み方

スケジュールは「休み」から埋める

デンマーク人は、まずは「休みのデザイン」をしてから、「働き方のデザイン」をします。

「仕事の合間にプライベートタイムを持とう」と考えるのではなく、「プライベートタイムの合間に仕事をしよう」というスタンスなのです。

年間カレンダーを見て、まず最初に休暇の楽しみに想像力を膨らませるデンマーク人は多いはず。スケジュールを「休み」からデザインするのです。

日常生活でも同様です。プライベートの大切なことや楽しみから先に、予定をブッキングするのです。

アネッテのスケジュールの組み方が参考になります。

コペンハーゲン市保健課のリーダーであるアネッテは、リーダーである自分の心身の安定が、職場にとっても重要なことだと考えています。

心身を良い状態にキープするために、週に数回、仕事帰りにヨガ教室に通っています。また、友達との楽しみや美容院の予約も欠かしません。

「何が自分の喜びにつながるのか。自分にとって大事なことは何かを考えて、喜びを感じる大事な予定から入れていく」

アネッテにとって大事なのは、優秀なインストラクターによる週に数回のヨガレッスンです。それから、お馴染みのメンバーとの年十回の劇場通い。そして、お気に入りの美容師によるヘアカット。

美容院は半年以上前に予約し、楽しみの土台を先につくる

驚くのは、とても先のスケジュールまで見通してブッキングしていることです。

たとえば、年に10回の劇場通いは、年間カレンダーを眺めて気になる上演をピックアップするところから始めます。美容院も、お気に入りの美容師に特定の時間帯にお願いしたいため、半年以上前から予約します。ヨガも、確実に良いインストラクターのレッスンに行きたいため、1カ月以上前から予約します。

このように、年間・月間の大事な予定を前もってブッキングしておくと、心が落ち着くのだそうです。

ここまで聞くと、アネッテは何でも計画的できっちりとしている印象ですが、ざっくり大枠を決めるだけで、日常はゆるく臨機応変なのだとか。

本当に大事なことをブッキングして、絶対に楽しめる土台を先につくっておくからこそ、あとは状況に応じて決めればいい。土台があるからこそ、安心して流動性を楽しめるのです。

休暇を満喫するために仕事をする

年間カレンダーを眺めて、デンマーク人が真っ先に考えるのは、長期休暇のプラン。

デンマーク人を見ていると、まるで休暇を満喫するために生きているかのようです。

休暇を目指して仕事をして、休暇が終わると、「次の休暇には何をしようかな」と、また次の休暇のプランを考え始める。そんな人もたくさんいます。

「次はどこに行こうかな」「誰と一緒に行こうかな」

様子を思い浮かべるのは、それだけで楽しいものです。

そして、スケジュールを決めてしまえば、その楽しみを思い浮かべながら、高いモチベーションで仕事に向かえます。

皆さんも、疲れているときに、「楽しみ」の予定を入れたら、急に力が湧いてきた体験はないでしょうか。

私たちは「楽しみ」のためには頑張れるもの。

仕事ばかりの日々、勉強ばかりの日々、家事育児に追われる毎日、練習やトレーニングに打ち込む日々……。

そんな日々を乗り越えるために必要なのが「楽しみ」。

「楽しみ」はパワーの源なのです。

休暇を書き込んだカレンダー
写真=iStock.com/Ekaterina79
 

「休んでる場合じゃない」は心に余裕がない証拠

ところで、皆さんのなかには、こんな人もいるのではないでしょうか。

「プライベートも楽しんだほうがいい」「しっかり休んだほうがいい」と言われても、膨大なやるべき仕事を前に、とてもではないけれど、休みなんて取れない。そう感じてしまう人はいないでしょうか。

休暇を取得しろと言われても、「休んでる場合じゃないんだけど!」と反応してしまう人、この本を読んでいる読者にも、きっといるはずです。

じつは、私がその典型です。

デンマークの長い夏休みの前には、休みに入る前に片付けなければならない膨大な仕事を前にして「休暇なんていらない!」と感じることも数知れず。「なんで休みなんてあるんだ〜!」と、毎年のように頭を抱えます。

けれど、いざ休暇に入って、サマーハウスや旅行先に到着すると「やっぱり休みっていいなぁ〜」と感じるのも、私のいつものパターンです。

だいたい「休暇なんていらない!」なんて感じている状態は、心に余裕がなくなっている証拠です。

そういうふうに感じるときこそ、無理にでも休暇を取って、モードや視点を切り替えたほうが良いのでしょう。

私の場合、長期休暇の前後に、膨大な仕事を前にして焦るのは、今でも変わりません。けれど、できないと感じる仕事や、休暇に影響を及ぼしそうな仕事は、断るか、時期をズラすなどして調整するようになりました。

それは「仕事のことを気にしないで過ごせる休暇」が、いかに心安らぐ時間であるかを、体感として知ることができたからです。

 

勝負時はデンマーク人も猛烈に働く

いざ休暇に入ると「やっぱり休みっていいなぁ」と感じるいつものパターン。そんな自分を知っているからこそ、多少無理してでも、仕事になんとかキリをつけて「休暇」を取るようになったのです。

プロジェクトベースで繁忙期がある人は、忙しい時期は情熱的に仕事に取り組んで、納期が終わったときに、まとめて休暇を取得するのも良いでしょう。

「どうしても休めない時期」「勝負時」には、デンマーク人も昼夜を忘れて、週末も休まず、猛烈に仕事に立ち向かいます。「よくそんなに情熱的に取り組めるなぁ」とこちらが驚くほどの情熱を感じることもあります。

けれど、一段落つくと、今度はまたこちらが驚き呆れるほど、のんびりと休暇を楽しんでいるのです。

「休まないでずっと仕事し続けてたら、いざというときに力が出ないじゃないか」

デンマーク人はこう言って、休めるタイミングに心置きなく休みを満喫します。

年間カレンダーに「メリハリ」をしっかりつけて、充電のための「休養シーズン」と、パワーを最大限に発揮する「仕事シーズン」を切り分けるのです。波が来ないときは身動きもせず、いい波が来たら、パワー全開でその波に乗り切る。そんなイメージです。

デンマーク人の「早すぎる」週末の始まり

デンマーク人の週末は、金曜の午後に始まります。

金曜は明らかに、他の平日とは違う空気が流れています。

職場にも学校にもゆるっとした空気が流れ、基本的に「全員早退」。午後2時頃には退社する人も続出で、帰宅ラッシュが始まります。レストランも、金曜の夜は予約でいっぱいです。

週末のスタートは、金曜日の午後から。これは、デンマーク人の共通認識です。

グローバル企業キューイット社のCEOイェスパーは、デンマーク人のなかでは、かなり仕事に重心を置いたライフスタイルです。社員から見ても、とても「働き者」です。

けれど、そんなイェスパーも、週末の「金曜の夜」と「土曜日」は、できるだけ休むようにしています。

イェスパー曰く、金曜日に長く働くよりは、日曜日の午後か夕方に仕事を再開したほうがはるかに効率が良いのです。

金曜の夜は一週間の達成感を覚えながら、週末モードに切り替え。

金曜の夜から土曜日は完全に週末気分。劇場に行ったり、家族との食事、ジョギング、公園の散歩、イベントなどを満喫。

そして、日曜日の午後になると、再び仕事のことを考え始めます。月曜日に仕事をスムーズにスタートできるように、日曜日の午後や夕方に仕込んでおくのです。

 

日曜日の作業は、月曜日のための助走

但し、日曜日にする作業は、仕事そのものではありません。仕事ではなく、「新たな一週間のプランを立てること」に時間を使うのです。


針貝有佳『デンマーク人の休む哲学』(大和書房)

「日曜日はカレンダーを見て、翌週のプランを立てる。カレンダーを整理して、メールを整理して、重要なことは何か、解決すべき問題は何か……全体像をつかむんだ」

企業のトップであるイェスパーにとって、日曜の夜に、翌週の全体像が見えていることは、とても重要なことです。

一週間の「見通し」が立っていない状態で月曜日を迎えると、全力でスタートダッシュを切れず、あれこれ遅れが生じて大変な一週間になるからです。

基本的に、デンマーク人は日曜も休む人が大半ですが、責任ある管理職に就いている人は、日曜日に一週間の見通しが立っている方が心が落ち着くようです。そういえば、3児の母でアートギャラリーのトップとしてチームをまとめている女性ヘリーネも、週末に、翌週の大まかなスケジュールを旦那さんと一緒に確認すると言っていました。

金曜の午後から日曜の昼までは週末気分を満喫して、日曜の夕方には翌週の「全体像」をつかんでおく。そうすると、気持ち良く一週間のスタートを切れるのです。

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