6月を待たずして本格的な欠品の嵐が表面化。ご各自は「自分になくてはならないモノ」をチェックする時期に来ています
プリンの販売が容器不足により停止に
本日(4月27日)の日本経済新聞に、「ナフサ危機、食品企業4割すでに打撃 容器不足でプリン販売休止」という記事が出ていました。
日経の記事ではないですが、同じ調査を報じていた記事をこちらに抜粋しています。
早ければ、5月1日頃からプリンの販売中止が検討されているそうで、もちろんすべての企業というわけではないのでしょうけれど、いよいよ「プリン」という石油危機と最も遠い場所にありそうな食品にも影響が出ています。
「これはいよいよ始まってる感があるなあ…」
と思いましたが、理由は、「容器不足で」というのが理由であるならば、他の、ほぼあらゆる食品にも適用される話だからです。
今では石油由来のパッケージに入っていない食べ物のほうが珍しいわけですけれど、豆腐も納豆も、トコロテンなんてのもプラスチックのパッケージですし、ヨーグルトから牛乳からジュース類、お菓子やスナック類まで、もう何もかもです。
これらの中には、紙のパッケージに入っているものもありますが、それらの紙はプラスチックでコーティングされています。
それに先ほどの「プリン」の話ですけれど、これも他の多くの食料流通と関係することですけれど、石油が関係してくるのは「容器不足」だけではないのですね。
多くの食料に当てはまる以下が食料の製造・流通の軸です。ここでは、プリンを例にしています。
食料と石油由来の原料が関係するものの一例
1. 製造工場や機械のエネルギー源
プリンの加熱殺菌、攪拌、冷蔵・冷凍などの製造プロセスで使用される電気やガスなどのエネルギーは、石油や天然ガス。
洗浄剤2. 製品の輸送
原材料(牛乳、卵、砂糖など)を工場へ運んだり、完成したプリンを各店舗へ配送したりする物流網で、トラックの燃料としてガソリンや軽油が不可欠。
3 包装資材
カップそのものだけでなく、フィルム、ラベル、段ボールの加工など、製品を包む全ての包装資材の製造・加工に石油が使われる。
この 3つは、ほとんどの加工食品に当てはまるものだと思われます。
さらに、今は「ラベルの印刷」も危うくなっています。インク等の老舗企業である東京インキが「原料高騰で印刷インキなどを 20〜30%値上げ」と発表していました。
報道には、
値上げ幅はオフ輪インキや油性枚葉インキ、UVインキ、新聞インキで20%以上、中間色や特練インキなど一部製品は30%以上とする。
とあります。今後、出版や新聞業界も厳しくなっていく可能性が高いです。
ここに出てくる UV インキとは、紫外線照射で数秒で乾くため、短納期や特殊素材、強度が必要なパッケージ印刷に向いているものなのだそう。
ともかく、容器はない、インクは値上がりするということになっていて、今後、プリンのように発売停止に至る食品はさらに出てくる可能性が高まってきています。
特に納豆や豆腐や海藻類などを発売している企業は、いわゆる大企業ではない会社も多く、国民生活産業・消費者団体連合会の緊急調査では、
・影響を受ける国内製造業は 4万6741社にのぼり、日本の製造業の 3社に1社 にあたる。
・その 88.6% が 売上高 1億円未満の中小企業。
となっていて、中小の企業が最も大きな影響を受けていることがわかります。食品会社の中には大企業もたくさんありますが、比較的地味な食品ジャンルでは、どうしても中小が多くなっていると思われます。
しかし、地味といっても、豆腐や納豆や油揚げは、日本の食卓には欠かせないものでもあります。
次は、
「食品トレーの不足」
が現実的に起こる可能性が高くなっています。
石油化学工業協会(JPCA)が、
> 2025年12月末時点のポリスチレン樹脂の在庫は 8万4000トン、月間出荷は 4万1500トンだった。単純計算で 2.0か月分になる。
と発表したのが、4月のはじめでした。
ナフサの状況が当時とあまり変化していないのであれば、あと 1カ月ちょっとで、食品トレーの供給も混乱する可能性があります。カップ麺などの容器も、このポリスチレン樹脂で作られます。国内製造のカップ麺も危ないですね。
食品トレーに話を合わせますと、これが欠品を起こすと、ほとんどの生鮮食品の販売がこれまでのようにいかなくなります。肉も魚も…まあ何でもですね。
食品包装資材の卸売りを営む大洋商会の会長は、4月はじめのインタビューで、
「トレーがないとスーパーの営業ができない。大パニックになる。繁忙期の年末にかけて満足に商品が入ってくるかが心配」
と述べていますが、その可能性が、年末どころか、すでに出てきているようです。
当初は、「夏頃から影響が出る見込み」と報道されていたのですが、4月の今の時点で、まずはプリンの供給停止が現実的になっています。
次も一気にさまざまな食品で、「大幅な値上げ」か、あるいはプリンのように「価格を転嫁できないのなら供給停止」ということになる可能性は高そうです。
プリンがこの世になくても何でもない人は多いでしょうけれど、これが豆腐や肉や魚や卵やヨーグルトなどに広がると、相当厄介です(というか、スーパー自体も経営が成り立たないところも出てきそうです)。
肉や魚などは、昔のお肉屋さんや魚屋さんのように、商品ケースの中に並べて販売するしかなくなるのですが、現在のスーパーは、そういうノウハウを使っていないですので、急に今のシステムを変換することは難しそうです。そして、食品トレーの値上げは多くの企業で 4月20日過ぎから始まっています。
それに「お米」ですね。
これについては、プレジデント誌で防災アドバイザーの方が以下のように書いています。
プレジデント「ナフサ危機」で食料より備蓄すべきモノがある…」より
米はあっても米袋がなくなる
食料品や紙製品などの「非石油製品」は、本来ナフサ不足の影響を受けない。しかし、あらゆる製品を包んでいる包装資材、ラベル、印刷用のインクやトナー、輸送用の資材などの大部分は、ナフサ由来のため、ナフサ不足の影響で生産が止まる可能性がある。
米はあっても米袋がなくなる、お茶があってもペットボトルがなくなる、といった事態が想定されるのだ。
その上、危機が長期化すると「燃料」が欠乏しトラック輸送に影響が生じる。
輸送は社会を支える血流そのものであり、これが途絶えることは文字通り全ての産業・流通が停止することと同義である。
野菜の収穫ができても運べなければ、私たちの食卓に並べることはできないし、そもそも燃料がなければ農業・漁業・畜産は成立しない。
現在のままの状態(ホルムズ海峡が閉鎖されたままで、日本に十分な量の石油関係の材料が入ってこない状態)が続くと、「あらゆる種類の食料供給が停止する」という可能性も、まったくなくはないのかもしれません。
ホルムズ海峡が開放される見通しは今のところはまったくなく、閉鎖がいつまで続くのかも誰にも予測できません。
では、食品以外にどんなものが不足していくのか?
本当に必要なものをチェック
さきほどのプレジデント誌の記事の正確なタイトルは、「ナフサ危機」で食料より備蓄すべきモノがある…専門家が伝授する「最低限備えておきたい物資ランキング」というもので、防災アドバイザーの高荷 智也氏が書かれているものです。
リードは、
「無くなるモノ」ではなく「無くなると困るモノ」
とあり、まさにこの通りだと思います。
今後いろいろなものがなくなっていくことは確かですが、それほど意味のないものを準備していても仕方ないですので、
「なくなると困るモノ」
のチェックが必要かと思います。
たとえば、メガネやコンタクトが必須の方は、それらの予備は重要かと思います(コンタクトレンズは一部の店ですでに欠品が起きているようです)。Zoff などの安価なメガネ販売も数多くありますので、あくまで予備として。
同じ高荷 智也氏は、FRIDAY 誌で以下のように述べています。
高荷 智也氏:「メガネやコンタクト、補聴器など『体の一部』となるものはもちろんですが、赤ちゃんや要介護者、ペットがいる家庭なら、おむつやトイレマットなどの優先順位が高くなるでしょう。多くの製品に影響を与えるからこそ、必要なものを見極めることが重要なんです」
赤ちゃんがいらっしゃる方や介護をされている方の場合、おむつをはじめとして、日常にかなり重要だと思われるものは多いと思われます。
今後不足すると考えられる基本項目について、高荷氏は、以下のようにまとめています。
原油危機で不足するもの
1. 「ナフサ」を原料とする石油化学製品全般
家電や電子機器、各種衣類や化学繊維、自動車や輸送資材、建材やインフラ資材、各種の医薬品など、生活に欠かせない製品を製造するためには、ポリエチレン、樹脂、合成ゴム、合成繊維といった素材が不可欠。
2. 「原油」を原料とする石油燃料や石油製品全般
ガソリン、軽油、灯油、重油などの石油燃料。
3. 世界シェアに占める中東割合の多い製品に依存するもの
アルミニウム・ヘリウム・尿素といった、世界に占める中東のシェアが高い製品群。(ここには肥料も含まれます)
4. 容器包装や燃料不足により生じる間接的な生産・流通への影響
(これは先ほど書きました、食品はほぼすべて石油由来の材料でのパッケージとなっていることなどです)
こういうものの中から、
「ないと困るもの」
をピックアップしておくということでしょうか。
たとえば、高荷氏は、生活をするためにも必要な道具の維持が最優先のものとして、以下のようなものが必要な方は、その予備や代替を確保いることが重要だと書いています。
> メガネ、コンタクト、補聴器、入れ歯、車椅子、義肢、杖、コルセット、サポーター、ストーマ装具、在宅医療器具
女性ならメイク用品や生理用品も必要な方は必要でしょう。
さらに、
> 身だしなみ用品、キッチン用品、食品保存用品、洗濯・清掃・住宅用品、各種の生活必需品
あるいは、必要な方の場合、
> 持病の処方薬や欠かせない常備薬、乳幼児用品、介護用品、ペット用品
などが記されています。
夏などに海外などへの旅行がすでに決まっている方は、「普通なら直前に購入するような旅行グッズ」も今から用意しておいていいのかもしれません。旅行グッズも石油由来の製品ばかりです。
あと、お茶が好きな方はお茶とかもそうですね。お茶も今では、ほぼすべての商品が石油由来のパッケージで梱包されています。以下みたいな投稿も見ました。どこの地域かはわからないですが、特別なお茶ではなく、単なるほうじ茶がこうなっているところもあるようです。
昨日生協でほうじ茶のパックが以前は300円台だったものが税込だと800円台になっていてびっくりしました。流石にこのお値段では買えないです。
さらに時間の経過と共に、
> 自動車、自転車、スーツ、各種の衣料品、テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機などの家電、スマートフォン、パソコン
などもナフサ不足の影響を受けていく可能性があるとしています。
私自身は、ホルムズ海峡が閉鎖されたニュースを聞いて、すぐに予備のパソコンを購入したのですがが、ホルムズ海峡とは関係なく、パソコンやスマートフォンの価格は高止まりが続いていて(半導体の不足と価格高騰のため)、今後、入手がさらに厳しくなる可能性もあり得ます。
とはいえ、食料にしても、他のいろいろなものにしても、一般家庭で備蓄できる量には限りがありますので、「本当に必要なものか」という観点から考えるべきだと思います。
無駄に買い占めなどしても仕方ないですので、必要なものを少量ストックしておく、というような感じでしょうか。
2011年3月の東日本大震災の時、私は東京に住んでいましたけれど、あの時も「あっという間にスーパーやコンビニから商品が消えた」光景を見ていまして、「始まるとき」にはあっという間です。
でも、東日本大震災の時は流通に問題が起きたことが問題のメインであり、石油由来の製品が世から消えたわけではなかったですので、今のほうが危機度は高いです。
「日本は 6月に詰む」というような言葉が流行していましたけれど、6月を待たずに、日本そのものがどうかわからないですが、「日本国民が詰む」可能性が高くなってきました。
皆様も家の中で必要なものをチェックしてみてください。




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