アパートの前で大学生集団がBBQ。あまりに騒がしいので注意したら
「あなたに注意される筋合いはありませ~ん」と煽られ…警察に通報した結果/「公道だから自由」は大きな勘違い
休日に部屋でゆっくり過ごしたい時、外から聞こえる大声や音楽に眠りを妨げられた経験はありませんか。なんとなく我慢しているうちに気持ちが荒んでくる――そんな“音のストレス”は、現代の住まいに付きまとう厄介な問題です。
環境省の調査によれば、全国の自治体に寄せられる騒音の苦情件数は、令和5年度で19,890件。年によって増減はあるものの、ここ20年ほぼ横ばいで推移しており、簡単には減らない悩みごとであることが見て取れます。
今回ご紹介するのは、過去に大きな反響を呼んだ実録エピソードから、休日のアパートで思わぬ騒動に巻き込まれた会社員男性の話。アパート前の道路で大学生集団がBBQを始め、注意した男性に返ってきたのは「あなたに注意される筋合いはありませ~ん」という煽り文句。最終的に警察に通報した結果は――。
記事の後半では、そもそも『公道でBBQ』が法律的にどう扱われるのか――道路交通法の条文にも触れながら、紹介します。
* * *
◆休日の昼前に目を覚ましたら…
人材会社で営業職として働く葛木晃平さん(仮名・32歳)も、休日にとんでもない騒音被害に見舞われた一人である。
「数年前の夏の話です。わりと普段から帰宅が遅くなることが多いんですが、金曜の夜に深夜まで飲んでから帰宅し、翌日の土曜は昼前まで眠っていたんだと思います。
で、目を覚まして、今日は一日のんびり過ごそうと思っていました」
ゆっくりと洗濯をして、ベランダに干そうとした時だった。
「カーテンを開けてベランダに出たら、あたりに煙が立ち込めていました。自分の部屋はアパートの2階なんですが、下を見てみたら、アパートの同じ階に住んでいる大学生が、友人たち4~5人とアパート前の道路でBBQをやっていたんです」
葛木さんが住むアパートがあるのは、袋小路の突き当たり。車の通りはほぼなく、人通りもアパートの住人程度のもの。そうした立地のためBBQ場所として選ばれたようだった。
「非常識だなあと思いましたよ。煙のせいで週末にまとめてやっている洗濯もできないですし。ただ、文句を言うのも面倒なので、昼下がりには終わるだろうと思って我慢することにしました」
◆意を決して注意するも、事態は悪化
だが、BBQは14時ごろになっても終わらなかった。それどころか参加者が増え、騒ぎ声が不快に思われるようになっていった。
「平日の疲れが残っていたので昼寝しようと思ったんですが、うるさくて眠れなくて……。段々とイライラが募ってきたので、注意することにしました。といっても叱りつけたりしたら逆効果になると思ったので、あくまでも穏やかに、『悪いけど、ここでBBQをするのはダメだと思うし、音が気になって休めないからそろそろお開きにしてもらっても良いかな』と伝えたんです」
住人は「わかりました……」と答えたので、これで静かになるものと思われた。
「いやあ、甘かったですね。注意したことを馬鹿にするように、大きな音で音楽までかけはじめて、騒ぎは悪化してしまったんです。自分では無理だと思ったので、管理会社に電話することにしました」
◆やむなく警察に通報した結果…
担当者は「すぐにBBQをしている住人に連絡をとる」と約束してくれた。
「ですが、しばらく待っても変化はありませんでした。あらためて管理会社に電話してみると『BBQはもうやめると言っていたんですが、まだやめてないんですか?』とのことでした。もう一度注意してやろうとベランダに出たら、逆に声をかけられ『管理会社に言いつけたみたいですけど、ここは公道なのであなたに注意される筋合いはありませ~ん』と煽られる始末でした」
腹に据えかねた葛木さんは、警察に通報することにした。
「大事にはしたくなかったんですが、そうするしかないと思いました。警察官はすぐに来てくれたんですが、酔っ払った大学生たちは警察官にも食ってかかったんです。『ここは公道だから文句を言われる筋合いはない』と。当然、警察官に『公道でBBQが許されるわけがないだろ!』とこっぴどく叱られていました」
ようやくBBQはお開きになった。
「女性陣は警察官に名前を控えられたのが気に食わなかったらしく。住人の大学生に『ここならOKって言ったよね!?』と責められていました。そうしたこともあってしょげたのか、その後は静かになり、報復されるようなこともありませんでした」
いや、報復がなかったのは別の要因かもしれない。以後、例の大学生の部屋の集合ポストはボコボコにされ、部屋のドアの前にもゴミがばら撒かれることが度々あったらしい。
ほかのマンションの住人たちもBBQ騒ぎを苦々しく思ったのか、はたまたほかにも恨みを買っていたのか――。
ともあれ、ハメを外したくなるほど楽しい時間こそ、周囲への思いやりを忘れぬようにするのが己のためにもなろうというものだ。
<TEXT/和泉太郎>
* * *
◆■「公道だから自由」は、けっこう大きな勘違い
葛木さんを煽った大学生は「ここは公道なのであなたに注意される筋合いはありませ~ん」と言い放ちました。気持ちはわからなくもないですが、この言い分、実はちょっと事情が違います。
街なかでよく見かける路上ライブや、お祭りの屋台、ロケで道路を封鎖している撮影クルー――あれらはすべて、事前に警察署で「道路使用許可」を取った上で行われています。実際、2024年5月には新宿駅前で無許可の路上ライブを行ったアイドルグループのメンバーや運営会社など計10人が、道路交通法違反の疑いで書類送検される事件もありました(最終的には不起訴)。マラソン大会も、選挙カーの停車も、引っ越しトラックの長時間駐車だって、本来は許可が必要な行為。つまり公道というのは、「みんなのもの」だからこそ、誰かが独占して使う時にはきちんと手続きを踏むのがルールなのです。
警察庁によれば、根拠となるのは道路交通法第76条・77条。許可なく道路で行事や設営をすると違反となり、罰則は3か月以下の懲役または5万円以下の罰金です。当然、アパート前の道路で勝手にBBQを始めるなんていうのも、申請して許可が下りるはずもない行為。「公道だから何をしてもいい」どころか、「公道だからこそ勝手に占有してはいけない」というのが正しい理解です。
(出典:警察庁「道路使用許可の概要、申請手続等」)
それにしても、葛木さんの動き方は冷静でした。最初は穏やかに直接お願いし、ダメなら管理会社、それでもダメなら警察――感情的にぶつかるのではなく、段階を踏んで第三者を頼っていく流れは、こういうトラブルへの向き合い方として、なかなかのお手本かもしれません。
「自分は正しい」と強気に出る人ほど、いざ法律や警察を前にすると、急に大人しくなってしまう。今回の大学生たちも、名前を控えられた途端にしょげ返ったといいます。その後、彼らの部屋ではポストの破損やゴミの放置といった嫌がらせも続いたそうですが、こちらはこちらで器物損壊などにあたる立派な違法行為。腹が立つ相手であっても、報復に走るのは別の話です。とはいえ、ハメを外した楽しさの代償が、思っていたよりちょっと高くついたのは確かなのかもしれません。
<再構成/日刊SPA!編集部>
環境省の調査によれば、全国の自治体に寄せられる騒音の苦情件数は、令和5年度で19,890件。年によって増減はあるものの、ここ20年ほぼ横ばいで推移しており、簡単には減らない悩みごとであることが見て取れます。
今回ご紹介するのは、過去に大きな反響を呼んだ実録エピソードから、休日のアパートで思わぬ騒動に巻き込まれた会社員男性の話。アパート前の道路で大学生集団がBBQを始め、注意した男性に返ってきたのは「あなたに注意される筋合いはありませ~ん」という煽り文句。最終的に警察に通報した結果は――。
記事の後半では、そもそも『公道でBBQ』が法律的にどう扱われるのか――道路交通法の条文にも触れながら、紹介します。
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◆休日の昼前に目を覚ましたら…
人材会社で営業職として働く葛木晃平さん(仮名・32歳)も、休日にとんでもない騒音被害に見舞われた一人である。
「数年前の夏の話です。わりと普段から帰宅が遅くなることが多いんですが、金曜の夜に深夜まで飲んでから帰宅し、翌日の土曜は昼前まで眠っていたんだと思います。
で、目を覚まして、今日は一日のんびり過ごそうと思っていました」
ゆっくりと洗濯をして、ベランダに干そうとした時だった。
「カーテンを開けてベランダに出たら、あたりに煙が立ち込めていました。自分の部屋はアパートの2階なんですが、下を見てみたら、アパートの同じ階に住んでいる大学生が、友人たち4~5人とアパート前の道路でBBQをやっていたんです」
葛木さんが住むアパートがあるのは、袋小路の突き当たり。車の通りはほぼなく、人通りもアパートの住人程度のもの。そうした立地のためBBQ場所として選ばれたようだった。
「非常識だなあと思いましたよ。煙のせいで週末にまとめてやっている洗濯もできないですし。ただ、文句を言うのも面倒なので、昼下がりには終わるだろうと思って我慢することにしました」
◆意を決して注意するも、事態は悪化
だが、BBQは14時ごろになっても終わらなかった。それどころか参加者が増え、騒ぎ声が不快に思われるようになっていった。
「平日の疲れが残っていたので昼寝しようと思ったんですが、うるさくて眠れなくて……。段々とイライラが募ってきたので、注意することにしました。といっても叱りつけたりしたら逆効果になると思ったので、あくまでも穏やかに、『悪いけど、ここでBBQをするのはダメだと思うし、音が気になって休めないからそろそろお開きにしてもらっても良いかな』と伝えたんです」
住人は「わかりました……」と答えたので、これで静かになるものと思われた。
「いやあ、甘かったですね。注意したことを馬鹿にするように、大きな音で音楽までかけはじめて、騒ぎは悪化してしまったんです。自分では無理だと思ったので、管理会社に電話することにしました」
◆やむなく警察に通報した結果…
担当者は「すぐにBBQをしている住人に連絡をとる」と約束してくれた。
「ですが、しばらく待っても変化はありませんでした。あらためて管理会社に電話してみると『BBQはもうやめると言っていたんですが、まだやめてないんですか?』とのことでした。もう一度注意してやろうとベランダに出たら、逆に声をかけられ『管理会社に言いつけたみたいですけど、ここは公道なのであなたに注意される筋合いはありませ~ん』と煽られる始末でした」
腹に据えかねた葛木さんは、警察に通報することにした。
「大事にはしたくなかったんですが、そうするしかないと思いました。警察官はすぐに来てくれたんですが、酔っ払った大学生たちは警察官にも食ってかかったんです。『ここは公道だから文句を言われる筋合いはない』と。当然、警察官に『公道でBBQが許されるわけがないだろ!』とこっぴどく叱られていました」
ようやくBBQはお開きになった。
「女性陣は警察官に名前を控えられたのが気に食わなかったらしく。住人の大学生に『ここならOKって言ったよね!?』と責められていました。そうしたこともあってしょげたのか、その後は静かになり、報復されるようなこともありませんでした」
いや、報復がなかったのは別の要因かもしれない。以後、例の大学生の部屋の集合ポストはボコボコにされ、部屋のドアの前にもゴミがばら撒かれることが度々あったらしい。
ほかのマンションの住人たちもBBQ騒ぎを苦々しく思ったのか、はたまたほかにも恨みを買っていたのか――。
ともあれ、ハメを外したくなるほど楽しい時間こそ、周囲への思いやりを忘れぬようにするのが己のためにもなろうというものだ。
<TEXT/和泉太郎>
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◆■「公道だから自由」は、けっこう大きな勘違い
葛木さんを煽った大学生は「ここは公道なのであなたに注意される筋合いはありませ~ん」と言い放ちました。気持ちはわからなくもないですが、この言い分、実はちょっと事情が違います。
街なかでよく見かける路上ライブや、お祭りの屋台、ロケで道路を封鎖している撮影クルー――あれらはすべて、事前に警察署で「道路使用許可」を取った上で行われています。実際、2024年5月には新宿駅前で無許可の路上ライブを行ったアイドルグループのメンバーや運営会社など計10人が、道路交通法違反の疑いで書類送検される事件もありました(最終的には不起訴)。マラソン大会も、選挙カーの停車も、引っ越しトラックの長時間駐車だって、本来は許可が必要な行為。つまり公道というのは、「みんなのもの」だからこそ、誰かが独占して使う時にはきちんと手続きを踏むのがルールなのです。
警察庁によれば、根拠となるのは道路交通法第76条・77条。許可なく道路で行事や設営をすると違反となり、罰則は3か月以下の懲役または5万円以下の罰金です。当然、アパート前の道路で勝手にBBQを始めるなんていうのも、申請して許可が下りるはずもない行為。「公道だから何をしてもいい」どころか、「公道だからこそ勝手に占有してはいけない」というのが正しい理解です。
(出典:警察庁「道路使用許可の概要、申請手続等」)
それにしても、葛木さんの動き方は冷静でした。最初は穏やかに直接お願いし、ダメなら管理会社、それでもダメなら警察――感情的にぶつかるのではなく、段階を踏んで第三者を頼っていく流れは、こういうトラブルへの向き合い方として、なかなかのお手本かもしれません。
「自分は正しい」と強気に出る人ほど、いざ法律や警察を前にすると、急に大人しくなってしまう。今回の大学生たちも、名前を控えられた途端にしょげ返ったといいます。その後、彼らの部屋ではポストの破損やゴミの放置といった嫌がらせも続いたそうですが、こちらはこちらで器物損壊などにあたる立派な違法行為。腹が立つ相手であっても、報復に走るのは別の話です。とはいえ、ハメを外した楽しさの代償が、思っていたよりちょっと高くついたのは確かなのかもしれません。
<再構成/日刊SPA!編集部>



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