これまでの科学で想定されている太陽嵐の被害想定は「あまりにも生ぬるい」
キャリントン級太陽嵐の被害は想定より大きくなな可能性がある
NASA ゴダード宇宙飛行センターの研究者たちが、最近、ネイチャー誌に、
「現在の科学は最悪の太陽嵐シナリオを過小評価している」
とする警告を含む内容の論文を発表していました。
以下の論文です。
平均への回帰は、地磁気嵐の飽和現象を説明できる
Regression to the mean can explain saturation of geomagnetic storms
nature.com 2026/07/15
ただDEATHネ…(いい加減にしろ ← いやあ、暑くて)。
このタイトルからしても、「意味がよくわからない」ように、実に難解な論文なんですね。
ちょっと論文から抜粋して日本語にしてみますね。
太陽風測定の不確実性
太陽風の駆動力を定量化しようとする太陽風結合関数はいくつかあり、重要なものの1つは太陽風の合流電場または合流地磁気有効場である。
この場はカン・リー電場としても知られており、ラグランジュ点L1のみの太陽風パラメータから計算される式において、Vsw は太陽風速度(km s⁻¹)である。
(苦笑)
「わかるわけねーだろ、こんなもん」と思っていましたら、複数の科学メディアや、あるいは米ゼロヘッジまでも、このことに言及した記事を書いていました。
簡単にいえば、
「 1859年のキャリントン事象のような太陽嵐が起きた場合の被害想定は過小評価されている」
ということを述べている論文のようです。
1859年のキャリントン事象というのは、過去数百年では最大規模の太陽嵐のことで、以下の記事などにあります。
記録上最大の1859年の太陽嵐を引き起こした「キャリントン事象」を超えるサイズに黒点が成長中。…暴力? 戦争? そして地震? あるいは?
In Deep 2024年5月9日
ともあれ、まずは、論文の内容を最もわかりやすくまとめていた、ゼロヘッジの記事をご紹介します。
NASAは科学者たちが最悪の太陽嵐シナリオを過小評価していると警告した
NASA Warns Scientists Understating Worst-Case Solar-Storm Scenario
zerohedge.com 2026/07/21
米イスラエルによるイラン 戦争に起因する世界経済危機のリスクが高まっているだけでも十分懸念される状況であるのに、NASA ゴダード宇宙飛行センターの研究者たちは、計算ミスや誤った前提によって、太陽嵐の最悪の影響を大幅に過小評価していた可能性があると警告している。
太陽嵐とは、太陽がエネルギー、荷電粒子、磁場の大規模な爆発を起こす現象のことだ。太陽フレアからコロナ質量放出(CME)まで、これらの爆発は携帯電話、コンピューター、自動車からガソリンスタンド、飛行機、発電所など、あらゆる種類の電子機器に危険をもたらす。
記録に残る歴史上最悪の事例は、 1859年のキャリントン事象 (日本では、1859年の太陽嵐という名で知られます)である。これは、原子爆弾 100億個分に匹敵する威力があったと推定され、ヨーロッパ全土で電信網が麻痺した。
2003年に発生した、はるかに規模の小さい事件では、FAA(アメリカ連邦航空局)の航行コンピューターが 24時間以上にわたって機能停止に陥り、FAAは高高度飛行時に危険な放射線量を浴びる可能性があると警告を発した。
重要な点として、「太陽天気」に関する一般的な理論では、 地球の極電離層に注入できるエネルギー量には限界があるとされている。しかし、NASA の科学者たちは、地球に降り注ぐ破壊的なエネルギーにはそのような限界はないかもしれないと、憂慮すべき見解を示している。
彼らは、地球軌道上の NASAの探査機が太陽風を測定した 100万を超えるデータポイントから、この疑念を抱いた。
これらの測定結果は、太陽風の強さと上層大気の流れとの間に直接的な相関関係があることを示している。これは、より強力な力が理論上の上限に直面するにつれて相関関係が低下するというものではない。「現在、太陽風から極電離層に伝達されるエネルギーに上限があることを示唆する統計的証拠はない」と NASA の研究者たちは結論付けている。
今回の研究論文の共著者であるランカスター大学のマリア・ワラック博士は、次のように述べている。
地球の磁場は、宇宙天気による様々な影響から私たちを守る上で非常に優れた働きをしています。しかし、衛星が予期せず地球に落下したり、通信や GPS 信号が途絶えたりするような極端なケースも存在します。
地球の太陽風に対する反応に上限がないとすれば、極端なケースを想定したモデリングではこの点を考慮に入れる必要があり、宇宙天気の影響に警戒を怠ってはなりません。
幸いなことに、こうした極めて極端なケースは稀ですが、それは同時に、我々が利用できるデータが限られていることを意味し、1000年に一度の極めて極端な事象で何が起こるかは、時が経ってみなければ分からないということなのです。
1000年に一度のような最悪のシナリオはさておき、キャリントン事象と同規模の出来事が再び発生すれば、間違いなく大惨事となるだろう。
ロイズ・オブ・ロンドンがマサチューセッツ州レキシントンに拠点を置く大気環境研究所と共同で行った 2014年の調査では、これは「ほぼ避けられない」とし、2000万人から 4000万人が 16日から最長 2年間続く停電に耐えなければならない可能性があると結論付けた。
レジリエント・ソサエティーズ財団のような組織は、太陽光による災害からアメリカの電力インフラを強化するための対策の実施を長年提唱しており、遮蔽されていない変圧器や送電システムは、サプライチェーン、医療サービス、社会秩序を守ることができず、人口のかなりの部分の生存を脅かすと警告している。
ここまでです。
この記事を読んでから、もう一度、ネイチャー誌の論文を読みました。
「……………」
やはり全然わからなかったので、安易に AI に聞いてみました(最近、その安易な解決法が多いぞ ← いやあ、暑くて ← 暑いと全部許されるのかよ ← まあまあ)。
中国製の AI である Kimi K3 に性能面で大きく超されてしまいましたけれど、低レベルの質問にはちゃんと低レベルで答えてくれる Grok です。
Grok への質問:このネイチャーの論文は内容が難解すぎて、よくわからないのですが、現在の科学は「太陽嵐の最悪の影響を過小評価していた可能性がある」というような感じでしょうか。
—
Grok の回答:
はい、その理解でほぼ正しいです。 この Nature 論文(2026年7月15日公開)は、まさに「これまでの科学が太陽嵐(特に極端な地磁気嵐)の最悪の影響を過小評価していた可能性が高い」という結論を示しています。
論文のタイトルと核心
タイトル:「平均への回帰効果が地磁気嵐の飽和を説明できる」の著者らは、「地磁気嵐の飽和」 と呼ばれていた現象が、実際の物理的な限界ではなく、測定データの統計的な偏り(平均への回帰効果) によるものだと示しました。
これまでの「常識」と問題点
・太陽風が弱い〜普通の強さのときは、地磁気活動が太陽風の強さに比例して強くなる(線形関係)。
・しかし、極端に強い太陽風のとき、地磁気活動がそれ以上に強くなりにくい、つまり「飽和」しているように見えていた。
・これを説明するため、物理学者たちは「磁気圏がエネルギーを吸収しきれなくなる上限がある」といった様々な理論を提案していました。
この論文が明らかにしたこと
著者らは25年間の観測データ(WIND衛星の太陽風データ + 地上の極冠指数など)を詳しく解析し、以下のことを示しました:
1. 飽和は見かけのもの
太陽風の測定には「タイミングのずれ」や「強さの誤差」(少なくとも30%程度の不確実性)がつきものです。特に極端な値の測定では、この誤差が大きいです。
2. 平均への回帰効果
極端に「強い」と測定された太陽風の値は、実際の真の値が平均に近づいている確率が高い。
→ 測定値が「過大評価」されやすいため、地磁気活動の反応が「それほど強くない」ように見えてしまう。
3. 補正すると線形関係が続く
この統計的バイアスをモデルで補正すると、太陽風の強さと地磁気活動の関係は極端な領域まで線形 のままです。
→ 物理的な「上限(飽和)」は存在しない。
4. 最悪の影響はこれまでよりずっと大きい
補正後の関係を外挿すると、極端な太陽嵐の影響はこれまで考えられていた値の約2倍になる可能性があります。
つまり何が変わるのか?
・これまでのモデルやリスク評価は、「飽和がある」という前提に基づいていたため、本当に極端な太陽嵐(キャリントン級やそれ以上)の被害を過小評価していたことになります。
・電力網、衛星、GPS、通信などへの影響が、想定より深刻になる可能性が出てきます。
・論文は「この効果は太陽嵐だけでなく、気候の極端現象や医療データなど、他の極端値解析全般にも当てはまる普遍的な問題だ」とも指摘しています。
ここまでです。
実際に、キャリントン級の嵐が発生してみないと何ともいえないということもまた言えるのだとは思いますが、想定以上の被害になる可能性もあるという認識でいいのだと思います。巨大な(あるいは超巨大な)太陽嵐が 地球を直撃した場合の影響の可能性は、これまでずいぶんと書かせていただきましたが、おおむね以下のようなものが影響を受けます。
「以下のようなもの」というか、現代文明のほぼすべてですね。
超巨大な太陽嵐が地球を直撃した際に想定されること
・電力送電網の破壊による完全な停電(短期の復旧は見込めない)
・通信(電話、スマートフォン、インターネット)の崩壊
・放送網(テレビ、ラジオ)の崩壊
・コンピュータに依存するシステム(軍事、銀行、医療、すべてのインフラ)の停止
・移動手段(車、電車、航空機等)の停止(短期の復旧は見込めない)
・輸送手段の停止による物流、食料供給の停止
これは、以下の記事などにもう少し詳しく書いています。
太陽、食糧、そして準備
In Deep 2022年2月24日
先ほどのゼロヘッジの記事にありましたように、2014年の調査では、
> 2000万人から 4000万人が最長 2年間続く停電に耐えなければならない可能性がある
というような被害想定が出されていたようですが、「さらに悪くなる可能性もある」ということなのかもしれません。
もちろん、実際に起きてみないと、それはわかりません。
その時期もわかりません。
最近の太陽活動は、かなり穏やかですので、直近で何かが起きるという話ではなく、「いつかは起きる可能性がある」という話です。
なお、今現在も大きな黒点が太陽表面にありますが、通常の X フレアくらいは発生するかもしれないですが、超巨大な太陽フレアが発生するには規模が足りないです。
現在地球を向いている黒点領域4493(幅は10万km)
spaceweather.com
いつかはキャリントン級の太陽嵐による大きな被害を受ける可能性があるということにはなりますが、それがいつかは誰にもわかりません。





コメント