「全額自己負担になるかも薬品リスト」”大バズり”国の医療費減っても“家計の負担は大幅増”の見方も
社会保険料引き下げのために市販薬を買わされるOTC医薬品
いまインターネットやSNSで話題になっている「全額自己負担になるかもしれない医薬品リスト」。
SNSでは転載が繰り返され、いわゆる「バズって」いる状態だ。
参院選の争点の一つである「社会保険料の引き下げ」の一環として、一部の党が公約にも掲げる「OTC類似薬の保険除外」問題。
「OTC類似薬」という聞きなれない言葉のせいか、今一つ関心が薄いように感じていたが… 「実際に保険から除外されそうな薬のリストを見ると、自分にも関係がありそうなものが並んでいて、多くの方が興味を持ったのではないでしょうか」 と話すのは、このリストをXに投稿した張本人、「全国保険医団体連合会」の事務局次長・本並省吾さん。詳しく話を聞いた。
■処方箋なのに「類似薬」?
【全国保険医団体連合会 本並省吾さん】
「OTC医薬品」とは、Over The Counter(オーバー・ザ・カウンター)の略で、ドラッグストアなどで医師の処方箋なしに購入できる医薬品、つまり『市販薬』のことです。
一方、「OTC類似薬」は、医師の診断を受けて処方される薬の中で、「OTC医薬品(市販薬)」と成分や効果が似ている薬のことです。 保険適用となるため自己負担は1~3割、市販薬より安価で入手できます。
政府は、国の医療費を削減するため、「OTC類似薬」を保険適用から除外し、全額自己負担の「OTC医薬品(市販薬)」を購入するように検討、早ければ2026年度から実施しようとしています。
■「子育て世帯」も「中高年」も負担“大幅増”
処方箋でもらう薬(3割負担)と市販薬の支払い金額比較表(全国保険医団体連合会が維新・猪瀬直樹参院議員のWEBコラム(note)より作成)
市販薬は処方箋に比べて格段に高く、試算では10~40倍ほど個人の負担が増加します。
そのため、「治療が続けられなくなる」と患者団体などから反対の声があがっていますが、影響を受けるのは特定の患者だけではありません。
例えば、中高年に多い「ひざ痛(変形性膝関節症)」。 炎症を抑え、痛みをやわらげるためにロキソニンなどが使われますが、4日分の薬代は「病院で処方箋をもらうと(3割負担で)40円」に対し「市販薬700円」と約18倍の価格差があります。
厚労省発表の患者数は、自覚症状のある人が約1000万人、潜在的患者数は約3000万人です。 患者数の多さでいえば、「花粉症を含むアレルギー性鼻炎」も大きな影響が考えられます。 2019年の全国疫学調査で、国民の2人に1人が罹患していると発表され、患者数は年々増加しています。 28日分の薬代で計算すると「処方箋(3割負担)170円」に対し、「市販薬2000円」と12倍の価格差です。
そしてOTC類似薬の保険外しで大きな影響を受けるのが、子育て世代です。 保険から外そうとしている薬には、「咳止め」や「熱さまし」、「皮膚の保湿剤」などがあります。 風邪や皮膚トラブルは、多くの子供によく起こりますから、特に小さいお子さんのいる家庭の負担は大幅に増加します。 保険外だと子ども医療費助成制度も適用されなくなるので、まさに「子育て世代の家計を直撃」です。
便秘の薬として多くの妊婦に処方される「酸化マグネシウム」も、保険外しのリストに入っていますし、妊娠中のお腹のかゆみや妊娠線の予防に必要な保湿剤も、保険外しの対象です。
■日常生活が送れない 患者さんの訴え…
先日、「全国保険医団体連合会」宛に変形性関節症の患者さんから、「OTC類似薬が保険適用除外になると日常生活が送れなくなる」との訴えが寄せられました。
この方は、両膝、両股関節、両足首の6か所に症状があるため人工関節などは利用できず、車いすや装具を利用しつつ、消炎鎮痛剤(ロキソニンテープ、ボルタレンゲル軟膏など)や医薬品を併用して日常生活を過ごされています。 保険適用から除外され、市販薬の購入が必要となると、負担が大幅に増えて治療の継続が困難になると訴えられています。
治療を必要とする患者さんが安心して治療できる制度の継続を強く希望します。
(全国保険医団体連合会 本並省吾さん)関西テレビ


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政府に騙されてはなりません。
国民医療費に占める薬剤費の割合は全体の17%しかなく、その中のOTC医薬品を市販薬に
切り替えたところで社会保険料の減額は数%にとどまるからです。
たいした低減効果が得られないのでむしろがっかりするでしょう。
その一方で市販薬購入に切り替えられ医療費負担の増大にあえぐ人が増えることでしょう。
最近病院倒産の危機が叫ばれ多くの病院倒産が報告されています。
2024年の病院・診療所の倒産・休廃業・解散件数は過去最多となり、経営状況の厳しさが浮き彫りになりました。主な原因としては、受診控えや医療材料費・人件費の高騰、診療報酬の改定、そして経営者の高齢化と後継者不足が挙げられます。
2024年は倒産件数、休廃業・解散件数合わせて786件となったが、2026年には同件数は1000件に達する可能性が高まっている。
その倒産要因として大きいのは人件費と医科材料の増大です。この増加に診療報酬が追い
付いていないために負債が増し倒産危機に陥っています。加えて病院間の競争による患者
数の減少が拍車をかけているということになります。
その中でも人件費は病院収入の60%を越えることがあり、そうした場合一気に倒産指数が
増加します。しかし、人件費の削減は医師や看護師の確保があ困難になる、モチベーション
の低下など影響が大きく慎重にならざるを得ないようです。
しかしながら、医療人の人件費自体が他の職種に比べてかなり高いのが現実です。
最近の賃金アップの傾向に従い給与を上げた病院も多いと思われ、そうした場合医院経営が
かなり厳しいものになっているようです。
最近、私の住む市の病院経営が赤字に陥っているという内容が地元の新聞に掲載されて
いましたが、その原因を患者数の減少などの焦点を充てていましたが、何のことはない
赤字になっている原因は市であるために公共企業体として国の人件費が上がったのでそれ
に合わせて人件費を上げたのが赤字の最大の原因でした。これは市会議員の報告会で出さ
れた資料で初めてわかったことです。
しかるに国民医療費に占める病院経営の人件費問題のウエイトが大きく安易に診療報酬を
下げられない要因になっていて、それが毎年診療報酬を引き上げてきた原因であり、国民
医療費の増大を招いた最大の要因だと思われます。
従って、OTC医薬品の市販薬の切り替えは小手先に過ぎず、拡大する社会保険料増加に
対する有効な策とはならないという事です。
そして、こうした市販薬への切り替えは皆保険制度崩壊へと繋がって行く可能性があり
ここで阻止しないと米国のような日本の数十倍になるような医療費の請求に繋がることが
あり得ます。
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