イラン戦争による不況がAI産業に大きな打撃を与え、世界的に壊滅的な複合危機を引き起こす可能性。
2026年は「地獄の夏」となるのか?
ほぼ全産業へのホルムズ海峡閉鎖の影響が表面化してきた
本題の前に最近の状況について少し書いておたいと思います。
相変わらず、どうなるのか先行きがわからないイラン戦争、というより、ホルムズ海峡の閉鎖ですが、日本を含むアジアでは現実的な影響が次々と表面化しています。
日本の X でも、さまざまな業種の方々が、「すでに問題が始まっている」ことを述べています。それも深刻な問題が多いです。
建築業界では、たとえば、5月からは塗料関連が 50%値上げになるという話があったり、断熱材が 40%値上がりしたという報道とか、そんなニュースばかりを見聞しますが、そもそも「現代の家」というのは、ほとんど石油に依存しているわけで、塗料、ユニットバス、壁紙、接着剤、水回りのパイプ、樹脂等すべてが石油由来であり、「木材」でさえ、乾燥させる時や包装材に石油が使われているのだそう。
建築価格が上昇するのは仕方ないとして、供給の事態が今より悪化した場合、「工事が止まる」というようなことにもなりかねません。
あるいは、住宅としての家だけではなく、この「石油に依存している」というのは、ビルなどを含めたすべての建物に言えることで、あるいは、メンテナンスにも石油由来の多くの材料が必要なはずです。
ここでは、建築の話を出しましたけれど、運送業や化学工業、食品加工業やハイテク企業、そして、農業、漁業……要するに、影響を受けない業種はないと。
ホルムズ海峡の閉鎖が続くと、場合によっては、
「新聞や雑誌の発行もできなくなる」
という事態でさえ絶対にないとはいえないです。インクとか、いろいろと石油由来のものが多く、代替はすぐには見つからなそうです。
こんなに全産業が影響を受ける危機は珍しいと思いますが、個人の生活の観点でいうと、
「この夏、電力も危うい」
ということもあります。
電力不足の問題はイラン危機のずっと以前から日本政府より発信されていた
日本は、発電の約 3割が天然ガスによるもので、それが火力発電の主力となっています。内訳は以下のようになります。
石油と天然ガスで約 4割となっていますね。次が、石炭…ですが、これがまた今高騰しています。
2022年のロシアのウクライナ侵攻の時には、石炭価格が 400ドルを超えたこともありましたけれど、仮にそんなことになれば、どんな発電スタイルでも、電力価格の高騰、あるいは「発電自体の危うさ」の心配がつきまといます。
日本の海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、今年 2026年夏にエルニーニョ現象の発生を予測しており、
「日本を含めて、世界全体で観測史上最も暑い年になる可能性」
を警告しています。
昨年も一昨年も、ムチャクチャ暑い夏だったわけですけれど、今年はそれ以上か、少なくとも同等の暑さにはなる可能性が出てきていまして、そんな中で、「停電のリスク」とかは勘弁してほしいですが、しかし、現実として、日本の経済産業省は、昨年 10月に…つまり、イラン危機が起きるずっと以前から、
「2026年の夏に東京の電力供給が「極めて深刻な」課題に直面すると予測」
しています。
東京エリアの電力供給余力は、「 3%を下回ると輪番停電のリスク」があるそうなんですが、2026年8月には 0.9% まで低下すると予測されています。
くどいようですが、これはイラン危機が起きる前の予測です。
「日本は、なんかいろいろと詰んでないか?」
と思わざるを得ない「地獄の夏」というようなことになりかねない状況が現実的となっています。
暑さだけは電力がなければ、それを回避する方法はあまりないですからね。しかも、停電すれば、冷蔵庫もアレだし、タワマンなどに住んでいる方は、エレベーターも動かない、何より高層に水が届かないというようなことにもなるわけで、いろいろと懸念されます。
仮にホルムズ海峡の閉鎖が解かれたとしても、この日本の電力の問題は、それとはまた別に存在するものです。
今から考えなければならないことは多いですね。
というわけで、タイトルにした AI の話に全然進んでいないですが、米メディアが、
「イラン戦争が本格的な不況に発展すれば、AI産業が激しい打撃を受け、壊滅的な複合危機を引き起こす可能性がある」
というタイトルの記事をリリースしていました。
それは私も何となく思っていたことですが、そもそも、 2025年のアメリカの経済成長は、「ほとんど AI 関連で達成した」ものでした。
米アトランティック誌の報道「多次元経済災害へようこそ」冒頭
世界経済は AI 産業に依存するようになっている。数兆ドルもの資金が AI 技術とその基盤となるインフラに投資されており、2025年の最後の数ヶ月間、事実上、米国の経済成長のすべてが AI 投資によるものだった。これは理想的な状況下でもリスクを伴う。そして、現状は理想的な状況からは程遠い。
この AI 分野が崩壊した場合、経済全体に壊滅的な影響を与える可能性は、今では複数の専門家やメディアから報告されていて、そういう可能性は「ゼロではない」と見られます。近代史上最大レベルの経済危機に発展する可能性を述べる専門家たちもいます。
非常に悪夢的でもあり、同時にエキサイティングでもある 2026年となる可能性があるわけですが、状況は日々変わります。しかし、今受けているような影響が、たちどころに解消するということは今のところ考えにくいようにも思います。
そんなわけで、イラン戦争が AI 産業に与える影響と、その崩壊が経済に与える影響についての米メディア記事をご紹介させていただいて締めさせていただきます。
トランプ政権のイラン戦争が本格的な不況に発展すれば、AI産業が激しい打撃を受け、壊滅的な複合危機を引き起こす可能性がある
If Trump’s War in Iran Spirals Into a Full-Blown Recession, It Could Crush the AI Industry and Spark a Catastrophic Polycrisis
futurism.com 2026/03/28
私たちのようなテクノロジーライターが利回り曲線をグラフ化したり、雇用統計を予測したりするのは論外だが、金融界の悲惨な状況に気づくのに、終身雇用の経済学教授である必要はない。
トランプ大統領によるイラン侵攻という悲惨な事態のおかげで、ガソリン価格は一部地域で 1ガロン 9ドルにまで高騰し、ダウ平均株価とナスダック総合指数は正式に調整局面に入り、ブルームバーグ TV のアンカーたちは、本格的な「景気後退」の可能性を放送で積極的に検討している。
彼らの予測が正しければ、アメリカ全土、いや世界中の人々が深刻な経済的苦境に陥るだろう。そして、もはや同情の余地はないものの、長らく金融バブル状態にあると指摘されてきたAI業界への影響は壊滅的なものになる可能性がある。
2月下旬に米国がイランへの戦争を開始するずっと前から、AI 業界にはすでに数兆ドル (数百兆円)もの資金が投入されていた。
まるで底なし沼のように、手当たり次第に資金を吸い込んでいくのだ。このゴールドラッシュが始まって数年経った今でも、AI は世界の金融関係者がいつか投資資金を回収できるどころか、利益を上げられる可能性すら示していない。
機械に投入される資本が増えるにつれ、経済の他の部分は、その最終的な成功にますます依存するようになる。どの経済学者に尋ねるかにもよるが、この猛烈なハイテク投資がなければ、米国は 2025年前半には事実上の景気後退に陥っていたであろう。
こうした状況下で何らかのきっかけで景気後退が引き起こされれば、設備投資は事実上「消滅」するだろう。
経済政策研究所のジョシュ・ビベンス氏が今月初めに発表したマクロ経済レポートで指摘した通りだ。マッテオ・ウォン氏とチャーリー・ワーゼル氏がアトランティック誌で論じているように、こうした暴落はあらゆる人にとって壊滅的な事態となるだろう。ハイテク企業、投資ポートフォリオ、銀行、そして民間金融機関が莫大な債務に苦しむ、まさに歴史に残る複合危機となる可能性がある。
このシナリオでは、データセンターの建設は完全に停止し、AI の将来の成長見通しは著しく停滞するだろう。さらに、安価な資本の過剰供給にあおられている企業では、雇用喪失も発生するだろう。
もし AI 産業が崩壊した場合、その瓦礫の中からどんな AI 産業が生まれるにせよ、それは間違いなく、ここ数年で私たちが経験してきたものとは大きく異なるものになるだろう。規模は小さく、より現実的で、そして願わくば、生きていること自体に感謝するようなものになるはずだ。







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