人気者に異常事態「餃子の王将」今年から“怒涛の客離れ”を起こしていた
3ヵ月連続「売上高マイナス」に陥った理由
「好きな中華チェーン」と聞いて、真っ先に「餃子の王将」を挙げる人は多いはずだ。全国に多くの店舗を展開し、味の安定感はもちろん、コスパやメニューの豊富さ、それに料理の提供のはやさなど、総合的に評価されている人気チェーン店だ。
その絶大な人気ぶりは同チェーンの売り上げを見ても明らか。2026年3月期(2025年4月~2026年3月)通期の直営全店売上高は1066億7200万円と過去最高を更新し、これで5期連続で増収を達成。ライバルと目される「日高屋」の売上高が622億5200万円(2026年2月期)なので、“ダブルスコア”近く大差をつけている形だ。
そんな中華チェーン界の“絶対王者”に異変が起きつつある。今年に入って、明らかな不調ぶりが数字として浮かび上がってきているのだ。さらに「値上げ以降、客足が戻ってこない……」との悲痛な叫びも――。
はたして「餃子の王将」に今、何が起きているのか。外食企業の動向に詳しい中村コンサルタント代表・中村清志氏が解説する。
3ヵ月連続「売上高マイナス」の衝撃
1967年に創業した「餃子の王将」は今年で59年目を迎えるなど、すっかり老舗チェーンとして貫禄すら出てきています。長らくその安定成長ぶりから順風満帆にも見えていましたが、2026年に入ってから客数と売り上げの伸びの“鈍化”が目立つようになりました。
とりわけ驚いたのが、これまで51ヵ月連続で達成していた「直営既存店売上高の前年超え」という記録が、2025年12月を最後に途切れてしまったことです。今年1月に前年同月比99.9%と、わずかながらに下回ると、そこから再び回復に向かうと思いきや、2月は99.5%、最新の3月も98.1%と、これで3ヵ月連続、前年割れから抜け出せない状況に陥っています。
今までの「餃子の王将」であれば、値上げ(2025年2月に実施)によって伸び悩んだ客数を、客単価の上昇によって売上高を維持できていました。実際、売上高の伸び率がマイナスに転じるよりずっと前、昨年5月頃からすでに既存店の客数減は起きていました。
ひとえに「餃子の王将」ほどの人気チェーンだからこそ、しばらく耐えられたというわけですが、今年に入っても客足は戻らず、1月には直近1年間で最も低い、前年同月比95.6%を記録し、2月も97.2%と低調です。したがって、ついに客単価の上昇でも抑えきれなくなったと言えるでしょう。
冒頭にあります通り、たしかに直営全店売上高は過去最高を更新しています。ですが、これは売り上げが立ちやすい新店(「餃子の王将」では、オープンから15ヵ月以内の店舗、前年・本年同月の改装店舗を指す)を含めた数字。ベースとなる既存店はかなり厳しい、というのが実情なのです。
王将ですら「気楽に行ける店」ではなくなりつつある
一連の売上高のマイナスについて、「餃子の王将」を運営する王将フードサービスは以下のように、その要因を説明しています。
1月は前年もメディア露出による大幅な客数増加(前年同月比+10%)によって、直営全店売上高が+18.6%という異常に高い実績だったことへの反動、および今年は記録的な寒波による客数への影響があったこと。2月は、積雪などの天候不順による外部要因があり、それを除けば達成可能だったこと、3月は土曜日が1日少なく、曜日差を考慮すれば達成していた、としています。
まとめると「いずれも明確な外部要因によるもので、それがなければ売上高はプラスにできていた」として、自信を見せています。ですが、本当にそう簡単にいくのでしょうか。筆者の意見として、「餃子の王将」が以前と違って、「気楽に行ける店」ではなくなったことが、やはり一番の要因と考えています。
《早い・安い・うまい》といった大衆路線で不動の地位を確立してきたのが、ここにきて約2年の間に5回もの値上げを実施した「餃子の王将」。もちろん「今までが安すぎた」と理解を示してくれる常連客も多かった一方で、不満の声があったのも事実です。
定食やセット商品を注文すると1000円を軽く超え、「餃子の王将」の客単価は1300円近くまで跳ね上がっています。本来ならブランドロイヤリティの高い常連客を囲んでいることが同チェーンの強みで、多少の値上げでは揺るがない顧客基盤を有していましたが、節約志向が高まる昨今では、その強みでも太刀打ちできない状況にある、というわけです。
「餃子の王将」はこの客数減に対して、商品・販促などの施策を積極的に講じていくとしています。来年には節目となる創業60周年を迎えるにあたって、何とか持ち直すことができるのか、今後の動向にますます注目です。



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