米国での寄生虫感染症数が急激に増加。そして、このサイクロスポーラ症は、エイズ患者や免疫力が低下した人が感染しやすい「日和見感染症」であるらしい
サイクロスポーラ症が日和見感染症であることを知り「この流行は免疫低下の問題かもしれない」と思う
少し前に、アメリカで、「サイクロスポーラ」(シクロスポラ)という寄生虫(原虫)による感染症の流行が起きていることについて記事にしました。
「最大1カ月間、爆発的な下痢が続く」寄生虫感染症がアメリカ各地で謎の流行
地球の記録 2026年7月1日
この時には、複数の州で 140人以上の症例が確認されていました。
しかし、その後の CDC (アメリカ疾病予防管理センター)の発表では、
「 18州で 400件以上の症例が報告されている」
という急激な症例数の増加が示されています。
以下は、ガーディアン紙の報道からの一部の抜粋です。
CDCは、米国18州で発生した「爆発的な」下痢を引き起こす寄生虫について調査を進めている
CDC investigates parasite that’s caused cases of ‘explosive’ diarrhea in 18 US states
Guardian 2026/07/03
アメリカ疾病予防管理センター (CDC)は、激しい水様性下痢を引き起こす寄生虫疾患の原因究明に取り組んでおり、18州で 400件以上の症例が報告されている。
寄生虫であるサイクロスポーラは、生の農産物や人間の糞便で汚染された水を介して広がり、腸疾患であるサイクロスポーラ症を引き起こす。
サイクロスポーラ症の症状には、腹痛、吐き気、倦怠感、食欲不振、微熱、嘔吐などがある。CDC によると、最もよく報告される症状は「頻繁で、時には激しい排便を伴う水様性下痢」だ。
CDCの集計期間外でも、ミシガン州の保健当局は「大規模かつ拡大中の流行」における異常に多い症例数を調査している。
同州の保健局によると、6月22日以降、金曜日 (7月3日)までに 300件以上の症例が報告されており、これは通常、同州で年間約 50件しか確認されないサイクロスポーラ症の症例数とは大きく異なる。
このように、平年と比べて、かなり多い症例が報告されています。
サイクロスポーラ症は、一般的に海外から輸入された野菜などの食べ物からの感染が多いようで、CDC などは、嵐の励行や野菜の洗浄などを勧告しています。
まあ、それはともかくとして、X の投稿で以下のようなものを見ました。
(Xへの投稿より)
> 過去 30年間のシクロスポラに関するジャーナル論文を読み進めると、ここにいくつかの印象的な引用があります:「シクロスポラは、HIV 患者や CD4 T細胞リンパ球が少ない患者で、より一般的に観察される。シクロスポラは珍しい病原体だ」 Laura Miers
CD4 というのは、「 CD4 陽性 T細胞」というもので、ヒトの免疫系において必要不可欠な白血球であり、疫系の司令塔として機能するものです。
そして、HIV というのは、免疫細胞であるこの CD4 に感染するのですね。
先ほどの投稿では、そのジャーナル、つまり論文のリンクがなされていなかったので、少し探してみますと、確かに数々の論文があります。
そのうちのひとつは 1994年、つまり 32年前の研究です。
ハイチにおけるサイクロスポーラの HIV 感染患者と、そうではない人の有病率を評価したもので、「結論」には以下のように書かれています。
> 結論: ハイチの HIV 感染患者において、サイクロスポーラ感染症はよく見られ、トリメトプリム・スルファメトキサゾール療法に反応し、再発率が高いが、長期的なトリメトプリム・スルファメトキサゾール予防投与により大部分を予防できる。 PubMed
また、2025年7月の論文「HIV/AIDS患者におけるサイクロスポーラ・カエタネンシスの世界的な疫学」という論文の概要には以下のようにあります。
この系統的レビューとメタ分析は、ヒト免疫不全ウイルス (HIV) / 後天性免疫不全症候群 (AIDS) 患者におけるサイクロスポーラの有病率と危険因子を評価することを目的とした。
2024年10月18日までに発表された研究を対象に、横断研究と症例対照研究に焦点を当て、国際データベースで文献検索を実施した。
…アジアとアフリカを中心に 22か国にわたる 13,986人の HIV/AIDS 患者と 3,559人の非 HIV/AIDS 対照群を含む 73の研究を分析した。
サイクロスポーラ感染の世界的な有病率は、HIV/AIDS 患者で 4%に対し、対照群では 1.8%であり、オッズ比は 3.5となり、HIV/AIDS 患者の方が感染しやすいことが示された。
…この結果は、サイクロスポーラ感染症が日和見感染症であることを裏付け、HIV/AIDS 患者におけるこの感染症に対する認識と診断の向上の必要性を強調している。
ここに出てくる「日和見感染症」とは、
「健康な状態であれば何の問題も引き起こさないような弱い病原体によって、免疫力が低下した際に発症する感染症」
のことです。
つまりエイズなど、免疫力が低下した人たち、あるいは免疫力が低下した状態で発症しやすいという感染症のことです。
この論文では、
> サイクロスポーラ感染症は日和見感染症である
と述べていますが、つまり、アメリカでサイクロスポーラ感染症が爆発的に流行している原因の背景には「免疫力の低下」がある可能性もあるのかもしれません。
ちょうど、今日、In Deep の記事で「病気の時代」のことについて書きました。
2021年から拡大し続ける「病気の時代」はいつ終わるのか? (あるいは終わらないのか)
In Deep 2026年7月5日
そこで、2021年以降、さまざまな病気や感染症が急激に増加しているということについて述べましたけれど、私自身は、
「コロナ、あるいはそのワクチン後に、人々の間に免疫低下の波が広がっているのではないか」
と考えています。
免疫抑制下の社会の現実:コロナ以外の世界の感染症の症例が「パンデミック前の10倍以上」に増加した…その理由
In Deep 2024年6月18日
アメリカのサイクロスポーラ症の流行は、通常 8月まで続くそうですので、今後さらに平年を大きく上回る流行が拡大するかどうかということによって、このあたりもわかってくるとは思います。



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