「働いたら負けの政策では」SNSで不満噴出の“所得連動型給付”は誰を救う?
年収270万円上限なら対象は約1割のみ「中間層の恩恵がない」「所得だけで切るのはかなり乱暴」エコノミストが指摘
税や社会保障について議論する社会保障国民会議において、与野党は所得の額に応じて現金を給付する「所得連動型給付制度」を2029年4月から導入することで合意した。
【映像】「所得連動型給付」の対象者(画像まとめ)
しかし、この制度の導入が報じられると、SNS上では「大半の子育て世帯は増税になるのではないか」「働いたら負けの政策では?」「中間層をどんどん弱くする」といった不満の声が噴出している。
ニュース番組『わたしとニュース』では、この所得連動型給付制度の具体的な中身や課題を検証。エコノミストの崔真淑氏を交え、現役世代が直面する不公平感や、制度設計に潜む致命的な問題点について考えた。
■平均年収の半分「270万円」で線引き?数字だけで区切る日本独自の制度設計に違和感
所得連動型給付制度の仕組みは、年収が一定の基準(下限案として53万円、74万円、106万円の3案)に達したところから給付が始まり、年収に応じて給付額が増加、その後一定額となり、さらに年収が上がると給付が減っていくというものだ。
最大の争点となっているのが、給付対象から外れる「年収の上限額」だ。国民会議では具体的な上限額は未定とされているが、すでに同様の制度を導入しているアメリカやイギリスなどの海外事例を参考に、有識者の間では「日本の平均年収(約540万円)のおよそ50%」にあたる年収270万円程度が妥当ではないかという意見が出ている。
上限が270万円に設定された場合、対象となるのは全国民のおよそ1割の低所得者層のみとなり、多くの現役世代である中所得者層は給付の対象外となってしまう。崔氏は、この線引きの乱暴さについて強い懸念を示す。
「当初、いろいろ調べても中間所得者層も元気にする政策が出てくるのかなと思っていた。しかし、この年収が仮に270万円という数字になってくると、明らかに中間所得者層の人たちではなくなってくる。しかも今回、まだ政策の概要がはっきり決まっているわけではないので、何とも言えないところはあるが、所得だけで切るのもかなり乱暴だと思う」
(崔氏、以下同) 「やはりアメリカやイギリスなどの事例を見ても、いろいろな家庭のタイプがあり、子どもがいる、介護している、結婚している、結婚していない、単身世代など、属性に応じて金額も変えている。(今回の制度は)金額についても、所得だけで切ろうとしているのかなという点も驚きだ」
■東京と地方の格差を無視した一律基準…「世帯属性」に合わせた上限引き上げが必要
さらに、崔氏は「所得の額だけで切るのが乱暴」である理由として、日本の地域ごとの所得や生活コストの格差を挙げる。 「地域によって平均所得は全く違う。日本全国で見たら、確かに400〜500万円台かもしれないけれど、例えば東京都の平均所得は600万円近辺という数字もある。かつ、その270万円での生活が、地方のかなり素朴な地域なのか、東京なのかでも全然違う。物価などもすべて違うので、地域によって手当をどうするかを考えないと、かなり不公平感が残ってしまう」
また、18歳以下の子供がいる場合は人数に応じて加算される項目があるものの、「配偶者が高所得の場合は対象外」という要件も波紋を呼んでいる。高所得の定義が平均年収の540万円を超えた水準とされた場合、共働き世帯への新たな労働の足かせになりかねない。 「配偶者に関しても、最近働きやすいように壁をどう撤廃するかという話があるが、配偶者の所得が540万円でもらえませんという話になると、新しい壁ができるだけで、540万円も高額所得ではない。私たちが一般的に思うような常識と、政策意思決定者の方々の常識がちょっとズレている感じはどうしても否めない」
中間層が「もっと働いて生活を潤わせたい」と思える制度にするために、崔氏は独自の対案として「単身世帯なら300万円台後半」「子どもがいる世帯なら600万円台」など、世帯構成や属性に応じた上限額の引き上げを提言する。
■「控除はどこへ行った?」給付付き税額控除から“バラマキ”へのすり替え
そもそも、この議論はかつて高市早苗総理が悲願として掲げた「給付付き税額控除」の導入から始まったはずだった。しかし、いつの間にか減税や控除の議論は影を潜め、現金給付だけが一人歩きしている現状がある。
崔氏も、この議論のすり替えに疑問を投げかける。 「みんなが欲しいのは減税で控除だが、その話がいつの間にかなくなって、日本が得意の給付、お金を配ることにフォーカスされてしまっているので、そこもちょっとナンセンスだし、考え方がすり替えられてしまった感じはある」
税や社会保険料の手取りへの影響が「見える化」されないまま、複雑な給付金だけを提示されても、国民は負担軽減の実感を持つことができない。崔氏は「例えば1万円、10万円給料が増えたら、社会保険料も加味して手取りがどう増えるのかを見える化し、それとセットで給付を考えるべきだ」と指摘する。
さらに、来年4月から実施される食料品の消費税率1%への引き下げについても、2年後に元の8%に戻った際、急激な負担増となる懸念がある。 「かなり負担増になると思う。ヨーロッパの各国で、コロナの時に消費税や付加価値税を下げたケースがあるが、結局インフレが進んでいるので価格転嫁してほとんどメリットはなかったという研究はかなり多い。だから手取りは一時的にピンポイントで増える時はあるかもしれないけれども、基本的には増税のスタンスが変わらないのだろう」
(『わたしとニュース』より)ABEMA TIMES編集部
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控除や減税がいつ間にか消え去って給付のみというのはいかにも財務省の思惑通りと
いう感がします。
財務省は決して減税を認めないというのがスタンスであり、さすがの高市氏も強硬
突破ならずというところでしょう。
しかも、年収で細分化し上限270万円というのはあまりにも雑であり、様々な収入
や世帯、勤務状況を考慮していないもので、中間層は逆に増税負担が重くのしかか
ることでしょう。
また、給付金が収入に加算されるかどうかも不透明です。加算されれば増税になり
給付金の意味がなくなります。



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