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【野田 洋人】クマ駆除の新制度《緊急銃猟》にハンター大激怒の理由「私はクマを殺すために猟友会に入ったわけじゃない」

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クマ 社会問題
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【野田 洋人】クマ駆除の新制度《緊急銃猟》にハンター大激怒の理由「私はクマを殺すために猟友会に入ったわけじゃない」

本当に熊を仕留められる腕を持つ猟師は50人に1人。絶対数が足りない。

連日クマによる人的被害が全国で相次ぐ中、その抑止策として新たに運用が始まった制度がある。「緊急銃猟」制度だ。

鳥獣保護管理法の改正により、今年9月から市街地や農地など人の生活圏にクマなどの野生動物が出没した場合、市町村長の判断の下、猟銃を用いて捕獲を行えるというもの。現在、各自治体では同制度のマニュアル策定、および緊急猟銃に協力してもらえる人員の確保に動いている。

いざという時に、速やかに発砲許可を出すことで、駆除までの時間を短縮できるという触れ込みだが、実際はどうなのか。当事者である猟師たちに詳しく聞くと、意外にも冷ややかな声が返ってきた。

あるひとりの猟師が語った、緊急銃猟制度に対する「本音」をお届けする。

警察が責任を自治体に押し付けているだけ

国内でも緊急銃猟制度を利用した駆除がようやく始まりました。この新しい制度でどのような効果が得られるのかなど、現段階では誰にも判断はつかないと思います。

制度が変わっても現場でやることは同じです。通報を元に出没した個体を確認し、危険が及ぶ可能性があればハンターを呼んで駆除する。それだけです。

緊急銃猟では役所の担当者が撃てる、撃てないなどの判断をするのですが、その場で決められず関係各所に電話して相談を仰ぐばかり。マニュアルなどが整備されていない中、どこでどう撃てば安全を確保できるのかなど彼らには判断できないので時間がかかるのはこれまでと同じです。

ようやく発砲許可が出て、我々が撃つとしても、熊が移動して撃つことができなかったりすることもありますし、発砲後に安全確保に不備があるとして警察が問題視すれば猟銃を取り上げられてしまうことになります。

長い時間とお金をかけて免許を維持してきたのに、皆のためだと出動した駆除で資格が失われる可能性がある。そんな馬鹿げたことに気持ちよく協力などできません。

これまでと違い警察の許可なしに役所の判断で発砲許可を出せるということですが、実際には警察が現場で発砲許可を含めて実権を握ることになります。ですから、警察にとっては発砲の責任を自治体に押し付けることのできる使い勝手の良い制度なのだと考えています。

本当に熊の駆除は猟友会の役目なのか

私自身も地域に住む住民です。地域の安全を守ることができるのであれば喜んで協力をしたいです。しかし、役所も警察もいつの間にか住民たちもが、熊の駆除は猟友会の役目だと思っていることに抵抗があります。

私たちは本業もあるし、単なる民間人であって、自分の趣味で鳥やウサギなどを撃っているだけの存在です。罠にかかった熊を殺すために許可を取ったわけではない。一方的な殺害は後味の悪い思いが残るだけです。そんなことをするために我々がいるのではありません。

国も自治体単位でも補助金を出して猟師を増やそうとしています。そのカネが生きた使い方であるのかどうかはっきりしません。補助金で購入したライフルが熊撃ちに適さない競技用ライフルだったりしたことがあるとも聞いています。

新しく猟友会に入っても忙しいからと山に来ない人は多いですし、猟銃を購入してもただ磨いているだけの会員もいます。そんな会員を増やすような意味のないことに貴重な税金を費やしては欲しくありません。

熊撃ちに関しては本場の東北であってもわずかな数の経験者しかいません。使い物になるのは会員50人に1人いるかいないかです。

10年経験しないとライフルは持てませんし一人前のクマ撃ちになるためには実際の山での経験値というものが大きく関わってきます。危険だから山には行きたくないなどという会員がいることは憂慮すべき事態なのです。

そんなことをするために免許を取ったのではないと強く言いたい――。それが現状に対する、猟師の切実な思いだった。つづく【後編記事】『なぜ猟友会のクマ駆除拒否”が頻発するのか…「我々を都合よく利用するのだけはやめろ」現役ハンター指摘』では、熊の駆除のあるべき姿とはどういうものなのかを、この猟師の言葉と共に紐解いていく。

【つづきを読む】なぜ猟友会の”クマ駆除拒否”が頻発するのか…「我々を都合よく利用するのだけはやめろ」現役ハンター指摘

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