米政府機関が一部閉鎖へ、2019年以来 与野党対立で予算失効
政府職員は社会保障や公的医療保険、安全保障など必須とされる業務を除いて一時帰休に入る。
【ワシントン=高見浩輔】米連邦政府の予算が米東部時間10月1日午前0時(日本時間同日午後1時)すぎ、失効した。トランプ政権と野党・民主党が対立し、期限までにつなぎ予算が成立しなかった。政府機関の一部は同日朝から閉鎖する。
対立が長期化すれば経済や市場への下押し圧力が強まる。
米連邦議会上院が9月30日につなぎ予算案を否決したのを受け、米行政管理予算局(OMB)のボート局長は各省庁に「秩序ある政府閉鎖の実行」を指示した。政府閉鎖は第1次トランプ政権が「国境の壁」の建設を巡って混乱した2018年12月〜19年1月以来となる。
政府職員は社会保障や公的医療保険、安全保障など必須とされる業務を除いて一時帰休に入る。国立公園や空港の運営から生活保護にあたる食料支援まで幅広い影響が懸念される。職員は一時的に無給になるが、議員への報酬支払いは継続する。
経済指標公表も延期
経済指標の公表も延期される。米労働省は10月3日に予定していた9月の雇用統計などの発表を遅らせると表明済みだ。米連邦準備理事会(FRB)を含め重要な政策判断に遅れやゆがみが生じる恐れがある。
予算の失効は26会計年度(25年10月〜26年9月)入りに伴うものだ。正式な予算案ができていないため、トランプ政権は前年度と同水準の執行を続けるつなぎ予算を成立させようとしている。民主は年末に期限を迎える医療保険補助の延長を盛り込むよう求めて協力を拒んでいる。
上院は9月30日夜、民主議員らの反対を受けてつなぎ予算案を可決できなかった。フィリバスター(議事妨害)を回避して法案を通過させるには定数100に対して60票が必要だが、民主の造反を含めても届かなかった。
政権側、民主に妥協迫る
政権と民主は政府閉鎖の不満が自らの政治的な逆風にならないよう、神経戦を繰り広げている。共和の下院トップ、ジョンソン下院議長は上院の法案否決後に米CNNに出て、政府閉鎖は無理な要求を掲げた民主の責任だと批判した。
ジョンソン氏は民主の上院トップ、シューマー院内総務が自らの保身のために強硬姿勢に出ていると非難した。政権に弱腰との批判で党内の急進左派から指導部の地位を追われつつあると主張した。
政権側は硬軟織り交ぜて民主に妥協を迫る。ホワイトハウスで開いた29日の協議では民主が主張する医療保険補助の延長について議論する姿勢を見せた。一方、OMBは政府閉鎖になれば政府職員の恒久的なリストラに踏み出すと表明し、早期決着に向け民主に圧力をかける。
26年11月に中間選挙を控える民主にとって、医療保険の維持は現政権との違いを明確にする重要な論点になる。与野党がどこで折り合うのか着地点は見通せない。
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