アイスクリームに含まれる「乳化剤」を妊娠中の女性が接種すると、お腹の赤ちゃんの腸内細菌環境に恒久的な悪い変化を与える
乳化剤全般があまり良いものではない模様
前回の記事で、「食品添加物としてのポリソルベート80」について書かせていただきました。
ポリソルベート80は、最近では、ワクチンの添加物(アジュバント)として知られるようになりましたけれど、食品中の乳化剤としてもよく使われるもので、その身体への影響が比較大きなものであることが最近わかり始めています。
そして、この記事を書いた後、もっと大きな括りで、
「乳化剤そのものが身体に影響する」
という論文を見ました。
正確には、「妊娠している女性が乳化剤が含まれている食品を摂取すると、赤ちゃんの腸内細菌環境が(悪い方向に)変化する」というもので、そして、
「その影響は、生まれた子どもに永続的に続く」
というような研究でした。
この研究で調べたのは、ポリソルベート80と共に、やはり乳化剤として多用されている「カルボキシメチルセルロース」という化合物です。
カルボキシメチルセルロースもまた食用でも医療用でも使われていますが、食品の場合は、「アイスクリーム、ソース、飲料、麺類などの増粘剤」などとして使われることが多いようです。
妊婦さんは、何を食べるのも大変な時代となってしまっていますが、「乳化剤不使用 アイスクリーム」などで検索すれば、無添加のアイスクリームも結構あることがわかります。
ただでさえ、最近の環境は、妊婦さんにはあまり良い状態ではない場合も多くなっているのが現実ですが、少しでも気をつけることは悪いことではないかもしれません。
論文を紹介していた医学メディアの記事です。なお、この論文のタイトルは、
「母親の乳化剤摂取は、子孫の幼少期の微生物叢と杯細胞機能を変化させ、長期にわたる疾患感受性につながる」
というものでした。
妊娠中の食品添加物の摂取は、胎児の腸内細菌叢を変化させ、炎症性疾患のリスクを高める可能性がある
Consumption of food additives during pregnancy can alter offspring gut microbiota and increase inflammatory disease risk
medicalxpress.com 2025/09/19
パスツール研究所とフランス国立衛生研究所(INSERM)の科学者たちがマウスを使っておこなった研究によると、母親が食品乳化剤を摂取すると、その子の腸内細菌叢に悪影響を及ぼす可能性があることがわかった。
乳化剤の母親の摂取が子孫の健康に及ぼす有害な世代間影響は、乳化剤への幼児期の直接曝露の影響に関するヒトを対象とした追加研究の必要性を浮き彫りにしている。これらの研究結果は、ネイチャー・コミュニケーションズ誌に掲載された。
乳化剤は、乳製品、焼き菓子、アイスクリーム、一部の粉ミルクなど、加工食品の食感や保存期間を向上させるために一般的に使用される食品添加物だ。しかし、乳化剤が人体、特に腸内細菌叢に及ぼす影響についてはほとんど知られていない。
パスツール研究所内のフランス国立衛生研究部門であるマイクロバイオーム・宿主相互作用研究室長であり、研究ディレクターのブノワ・シャサン氏が先行研究において、研究者たちは、妊娠前10週間、そして妊娠・授乳期を通して、一般的に使用されている乳化剤(カルボキシメチルセルロースおよびポリソルベート80)に雌マウスを暴露させた。
その後、これらの乳化剤を摂取したことのない直系の子孫の腸内細菌叢への影響を分析した。
結果は、乳化剤にさらされた母親の子どもは、母親が密接な接触による小児微生物叢の一部を伝播させ、生後数週間から腸内微生物叢に大きな変化が見られたことを示した。
これらの変化には、免疫系を活性化し炎症反応を引き起こすことが知られている鞭毛細菌の増加や、腸粘膜に接触する細菌の増加などが含まれる。
科学者たちは、この細菌の「侵入」によって、通常は細菌の断片が粘膜を通過して免疫系に認識され、腸内細菌叢に対する体の耐性が形成される腸内の特定の通路が早期に閉塞することを観察した。
乳化剤に曝露された母親の子では、曝露されていない母親の子よりも早くこれらの通路が閉鎖し、腸内細菌叢と免疫系間のコミュニケーションが阻害される。
成人期には、このような阻害が免疫反応の悪化と慢性炎症を引き起こし、炎症性腸疾患や肥満に対する感受性を著しく高める。
したがって、この研究は、マウスにおいて、子どもが乳化剤を直接摂取していない場合でも、妊娠中の女性が摂取することにより、子どもの微生物叢の早期の変化と、長期にわたる肥満や炎症性腸疾患などの慢性疾患に対する感受性の増加との間に関連性があることを明らかにした。
今回の研究結果は、食品添加物、特に粉ミルクの使用を規制することが非常に重要であることが浮き彫りにされている。
「私たちは、母親の栄養に食品添加物が含まれている場合と含まれていない場合の両方と、乳児が粉ミルク中のこれらの物質に直接さらされている場合の両方について、母親から乳児への微生物叢の伝播を研究する臨床試験を実施して、この研究を継続したいと考えています」と、この研究の最終著者であるブノワ・シャサン氏はコメントしている。
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