【打撃】ガソリンだけでなく、医療現場や豆腐店にも影響…中東情勢悪化で“値上げラッシュ”この先どうなる?
私たちの暮らしを“未来予測”
長引く物価高に国民が頭を悩ませる中、さらに今、追い打ちをかけているのがイラン情勢の緊迫化です。戦闘終結が見えない中、原油価格の高騰はいつまで続くのでしょうか。野村総合研究所のエグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏を交え、私たちの暮らしへの影響について“未来を予測”します。
■原油不足で食品や住宅業界、医療現場にも影響が…

世界を取り巻く“原油危機”
イラン情勢の緊迫化により事実上の閉鎖が続くホルムズ海峡は、世界の原油の2割超が通航していて、そのうち約8割がアジア向けです。その結果、アジア広域で原油不足となっていて、原油の9割以上を中東からの輸入に依存している日本では現在、燃料費、ナフサ、食料品が高騰しています。

東京都内の豆腐店も値上げ
東京都内の豆腐店には「来月から値上げ」の張り紙が…。5月から焼豆腐やおぼろ豆腐などを30円値上げするということです。店にとって3年ぶりの値上げの理由は、豆腐の容器やフィルムなどの原料となる石油製品、ナフサの価格の高騰で、容器の価格が大幅に上がるだけでなく、今後、必要な量を供給できなくなるおそれがあると、仕入れ先から通知が来ているためだといいます。 また豆腐メーカーは容器代を抑えるために、こんな策も…。

太田食品工業 広報・田中雅浩さん
(太田食品工業 広報・田中雅浩さん) 「パッケージの厚みや、色数を減らしたりとか、あと面積を減らしたり…」 本来、売り場で目立つようにカラフルにしていたパッケージを、色を減らし、少しでも経費を節約したいといいます。

マンションの工事にも影響
一方、住宅業界にも影響が出ています。マンションの修繕工事を行う東京都内の現場では、ナフサから作られる防水剤が入ってこないため、屋上の塗装作業を一時断念する事態に陥っています。

特に深刻なのは医療現場
そして、原油高の影響が特に深刻なのが、医療現場です 東京都内のクリニックが直面していたのは、医療用手袋の値上がりや在庫不足です。医療現場では、石油由来の製品が幅広く使われており、透析や点滴など、命に関わる場面でも…。 (いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤 博道 院長) 「点滴のボトルから注射針の所までのチューブ、この輸液セットが、今まで1800円だったものが、3300円になりました」 医療資材の不安定な状況が続くと、「(医療資材の)在庫が尽きて、例えば処置や点滴はあまりしない、あるいは全くしないというクリニックが増えてきて、場合によっては、閉鎖や休診にする、そういう選択肢が出てくるのでは」と伊藤院長は話します。
■石油備蓄は215日分…ガソリン補助金いつまで?

「供給を確保できるメドがついた」
中東情勢の悪化が、あらゆる産業や暮らしを直撃する中、この先の日本はどうなっていくのでしょうか? 現在、石油備蓄については4月19日時点で合計215日分あるということです。高市首相は「備蓄放出量を抑えながら、年を越えて供給を確保できるメドがついた」と表明しています。

レギュラーガソリン平均価格(1Lあたり)
レギュラーガソリンの1リットルあたりの平均価格を見てみると、イランへの攻撃が始まったあと、一時190.8円まで上がりましたが、補助金の支給が再開されまして4月20日は169.5円でした。ただし補助金がなかった場合は205円です。(資源エネルギー庁HPより)

ガソリンの補助金いつまで…
木内さんの試算によると、4月22日時点で補助金の予算残高は、推計8200億円だということです。もし情勢が悪化して、1リットルあたり50円の補助金が必要になると6月ごろまで、標準的な1リットルあたり30円ほどの補助金なら7月ごろまで、情勢が安定して、1リットルあたり20円の補助金であれば8月ごろまでもつだろうということです。

野村総合研究所のエグゼクティブ・エコノミスト 木内登英氏
Q.何をもって「情勢が安定する」か「しない」か、もうわからないですね? (野村総合研究所のエグゼクティブ・エコノミスト 木内登英氏) 「今や、アメリカとイランの交渉にパキスタンも入って、ちょっと分からないです。政府にとっては、やはりガソリン価格・原油価格がどうなるのかが重要で、日本のガソリンの卸値は海外の原油価格と連動しています。これが上がると、それと170円の間を埋めるのが補助金なので、自動的に補助金の額が増えて、予算が足りなくなる時期が前倒しになってきます」

NNN・読売新聞の世論調査(4月17日~19日)
NNN・読売新聞が行った最新の世論調査の結果をみてみると「イラン情勢を受けて節約や節電をする必要があると思うか?」の質問に対し、「必要があると思う」と答えた人が72%でした。 木原官房長官は4月20日に「短期的に電気・ガスの安定供給に支障を生じることはない」と話し、高市首相も「エネルギー節約、需要抑制に取り組むべきだと思うか?」という質問に対し、「あらゆる可能性を排除せずに、臨機応変に対応していく」と答えています。
■<1か月後>電気やガス料金が値上げ 旅行も負担増?

未来予測(5月・6月)
木内氏の“未来予測”では1か月後、ナフサ由来の製品が値上げ・品薄になったり、電気・ガス料金が値上げしたりする可能性があるということです。 Q.電気やガスが値上げされると国はまた補助金を出すのでしょうか? (木内氏) 「おそらく出すと思います。補助金を出さなければ、電気代は6%くらい上がる計算なんですが、生活への影響が大きいので、ガソリンと同じように補助金を一時的に出すのではないかと思います。ただ、そうすると節約が進まなくなってしまう、という弊害もありますので、あまり長く続けると問題かなとは思います」

燃油サーチャージも値上げ
GWや夏休みの旅行にも影響が出そうです。航空券(国際線)の負担額には、運賃とは別に“燃油サーチャージ”がかかりますが、変動で加算されます。4月20日、全日空と日本航空は、5月から6月発券分について、今回の影響を受け、最大2倍ほど値上げすると、発表しました。

燃油サーチャージの価格
実際に燃油サーチャージの価格を見てみると、韓国行きが全日空は3300円が6700円に、日本航空は3000円が6500円に、ヨーロッパ・北米行きでは倍近くに負担が上がります。
■<3か月後・半年後>サプライチェーンに大打撃、高騰&品薄加速も?

未来予測(7月・8月)
3か月後、中東情勢の影響で日本はさらに衣類や野菜・果物なども値上がりするのでは、と木内氏は予測します。 半年後には、供給不足が加速し、自動車や電力の使用規制などが始まるかもしれないということです。最悪のシナリオとしては、アジア諸国の生産拠点が止まり、サプライチェーン(供給体制)に大打撃となるかもしれない、ということです。

サプライチェーンに大打撃の可能性も…
Q.日本はかなりのものを輸入しているので、日本だけなんとかなっても、アジア・東南アジア諸国がだめになると、そのサプライチェーンに大きな打撃があるということですね? (木内氏) 「そうですね。ほかの国のほうが事態は厳しいので、政府はアジアの他の国に資金を提供しました。日本の輸入が滞りなくできるようにっていう考えだと思います」 Q.ただ、今の状況だと悪いインフレにどんどん進んでいくということになりますよね? (木内氏) 「そうなるリスクはあります。やっぱり需要面で少し節約していくのが重要なので、緩やかな形で働きかけていく、段階的に進めていく必要があるんじゃないかと思います」 (「情報ライブミヤネ屋」2026年4月23日放送)



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