消費税“減税”のときだけ出てくる「財源はどうするんだ論」のウラに潜む、財務省「税制支配」の恐ろしい実態
食料品減税が認められると財務省の鉾が崩れるので強硬に反対し破壊工作を裏で講じているのが現実。
消費税の食料品減税をめぐる雲行きが怪しくなっています。減税の話になると決まって現れる「財源はどうする論」ですが、令和の期間だけで税収は26兆円も増えているのが実態です。それでもなお減税が実現しないのはなぜなのか。『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では、著者で元国税調査官・作家の大村大次郎さんが、消費税を税制支配の象徴として守り続ける財務省の思惑と、その代弁者のように減税へ反対する野党の愚かさを、歯に衣着せぬ筆致で読み解いていきます。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです
消費税は財務省の牙城
消費税の食料品減税の雲行きが怪しくなっていますね。
自民党の前首相の石破氏なども今ごろになって「財源はどうする」などというたわ言を吐き始めています。
この消費税減税のときだけ生じる「財源はどうする?論」には、本当に腹が立ちます。
このメルマガでも何度も触れましたが、この2~30年の間に、高額所得者や大企業の税金は何回も行われているのです。
しかし、高額所得者や大企業の節税が行われる際には「財源はどうする?」など言われたためしがありません。
消費税のときだけ、なぜか「財源はどうする論」が巻き起こるのです。
これはつまり、財務省が消費税の減税は認めないということなのです。
税収は26兆円も増えている
また消費税減税の財源がないなどというのは、絶対に嘘なのです。
下の表をみてください。
令和の期間だけで税収は年間20兆円の増収になっているのです。
令和元年 58.4兆円
令和3年 67.0兆円
令和5年 72.1兆円
令和7年 84.2兆円
財務省公表資料より
令和元年と令和7年を比べれば、約26兆円も税収は増えているのです。
なのに、たった年間5兆円の消費税減税がなぜできないのでしょうか?
なぜ「財源はどうする論」が出てくるのでしょうか?
石破前首相などは、去年の衆議院選挙前には、自民党の公約に反対などしていないのです。
自分や自分の仲間たちは、自民党の公約によって当選しているのです。
そして当選した後には、公約だった消費税減税にケチをつけるとは、どこまで無責任で利己的な政治家かということです。
なぜ高市首相は消費税減税の国民会議を開いたのか?
また高市首相が招集した与野党の国民会議では、野党からも食料品減税に反対する声が続出しています。
選挙で圧倒的多数を獲得した高市政権は、その議席数を使えば消費税減税など簡単にできるはずです。
それなのになぜ高市首相は、消費税の食料品減税にあたって「国民会議」なるものをつくったのでしょうか?
端的に言えば財務省の攻撃に対抗するためです。
消費税というのは、財務省が旧大蔵省時代から作り上げてきた巨大なプロジェクトです。
財務省はこの消費税を税収の中心にするという方針を半世紀以上前に決定し、この半世紀間、強固にその方針を守り続けてきたのです。
政治家や政党が、どれほど消費税の廃止や減税を叫んでも、財務省はことごとくその動きを封じてきました。
財務省に屈した政党の末路
かつて社会党は、消費税導入に大反対して議席を伸ばし、90年代にはついに政権を取りました。
しかし、政権を取った途端、財務省(旧大蔵省)に言いくるめられ、消費税を容認し、ついには消費税増税のゴーサインまで出してしまいます。
このため社会党は、世間の信用を失い、現在ではほとんど壊滅状態になっています。
またかつて民主党は、消費税増税に批判的な立場を採ってきましたが、これも政権をとった途端に財務省に言いくるめられ、消費税増税のゴーサインを出しました。
当然、民意は離れ選挙で惨敗し、政権を奪われたあげく解党に追い込まれました。
あの安倍元首相も、消費税の増税を先延ばしにする際に、わざわざ衆議院を解散して総選挙を行なっています。
増税を延期するのに国民は反対するはずがないのですが、わざわざ衆議院を解散して国民の声を明確に数字で表し、財務省からの圧力をはねのけようしたのです。
そして、安倍元首相は総選挙で圧勝したため、財務省としても対抗できず、消費税の増税は2年間先延ばしにすることができました。
安倍元首相は、本当は2年だけではなく消費税の増税自体をやめさせたかったのですが、財務省があの手この手で抵抗したため、結局、2年後には消費税増税に踏み切らざるを得ませんでした。
高市首相は、安倍元首相のその経緯を間近で見て知っているので、選挙で圧勝した上に、わざわざ国民会議を開いて、与野党が結集して財務省に足を引っ張らせないようにしようと思ったわけです。
高市首相を攻撃する野党の愚かさ
ところが野党は高市首相の意図を汲むことなく、ここぞとばかりに高市首相の足を引っ張りだしたのです。
総選挙で大敗北した野党たちは、少しでも失点を取り戻したい。
高市首相の支持率がこれ以上、伸びるのを阻止したい。
そのため野党は「財源はどうする?」とか「食料品減税は効果がない」などと、財務省の代弁のようなことを言いだしたのです。
はっきり言っておきますが、消費税の食料品減税をつぶすことは、財務省の思う壺です。
消費税はこれまで完全に財務省主導によって、導入されてきたものであり、政治家には絶対に手を出させなかったのです。
消費税は財務省の税制支配の象徴のようなものなのです。
政治家によって食料品だけでも減税されるようなことがあれば、財務省の税制支配の一角が崩れるのです。
消費税の食料品減税は、次のような流れになっています。
高市首相は食料品減税を実現させたいけれど、財務省が陰に陽に邪魔をする、だから、与野党を結集して国民会議を開き、国民の総意として食料品減税を実現させようとしたのです。
しかし、野党は財務省の味方になったように、食料品減税に反対するようになりました。
そして、現在、食料品減税の実現は怪しくなってきています。
もし実現できなければ財務省の思う壺になるのです。
高市首相は食料品減税を実現させたい
↓
しかし財務省が足を引っ張る
↓
財務省に対抗するために与野党を結集して国民会議をつくった
↓
しかし野党も足を引っ張る
↓
食料品減税がつぶれる
↓
財務省の思う壺
なぜ野党は減税に反対するのか?
それにしてもなぜ野党は食料品減税に反対するのでしょうか?
消費税の食料品減税はそもそも立憲民主党が提案していたものです。
それを高市政権が2025年の選挙のときに、自民党の公約に組み込んだのです。
そして高市政権は選挙で圧勝しました。
また参政党や国民民主党などは早く消費税一律5%を提案していました。
だから立憲民主党、参政党、国民民主党などが面白くないことはわかります。
しかし、だからといって高市政権の消費税減税の足を引っ張るというのは、党利党略以外の何物でもなく、まったく国民の事を考えていない鬼の所業です。
5%減税より食料品減税が現実的
参政党や国民民主党は、自説の消費税5%減税に固執するあまり「食料品減税案は効果がない」などと言いだしています。
消費税5%減税と食料品ゼロ減税には、それぞれ一長一短がありますが、消費税5%減税には「実現性」において著しく劣っているのです。
まず消費税5%減税を主張している議員の人数の少なさがあります。今の議席の現状では、絶対に消費税5%減税が実現するわけはありません。
その事実に参政党や国民民主党は目をそらさずに直視すべきです。
しかも消費税を一律5%にする場合、食料品だけをゼロにする案よりも倍以上の減収になってしまいます。
食料品をゼロにする場合は5兆円程度の減収で済みますが、消費税一律5%にする場合は10兆円以上の減収となります。
それこそ「財源はどうするか論」で、財務省に簡単につぶされてしまうでしょう。
食料品減税の方が実現性は絶対に高いのです。
食料品減税をつぶしたところで、消費税5%案が実現するのは今の段階では不可能なので、国民のためを思うのであれば食料品減税を実現させた方が絶対にいいのです。
そして参政党、国民民主党などは「食料品の消費税をゼロにしても効果はない」などと主張していますが、そんなことは絶対にないのです。
近年日本はエンゲル係数が上昇しており、28、6%という先進国の中ではかなり高い数値となっています。
アメリカは16%台、ドイツは18%台、イギリスは22%台、フランスは24%台なので、日本が突出しています。
日本では収入のほぼ3割が食費に使われているのです。
そして、エンゲル係数というのは、収入が低い人ほど高くなる傾向があるので、低収入の人では食費が4割、5割に近い人も多いはずです。
だから、今の日本で食料品の消費税をゼロもしくは1%にすれば、相当の効果があるはずです。特に低所得者の人はかなり助かるはずです。
「外食産業が打撃を受ける」という詭弁
また野党の中には「食料品の消費税を減税すれば飲食店が打撃を受ける」などという、取ってつけたような攻撃をしてくる者もいます。
これもまた甚だしい詭弁です。
そもそも日本では自炊と外食というのはほぼ価格競争はしていません。
日本では住宅にキッチンが標準装備されていたり、炊飯器などの調理器具が発達しているので、安く自炊することができます。
たとえば、外食産業の主要分野であるラーメンを見ればわかりやすいはずです。
現在、ラーメンは店で食べれば平均千円前後です。
しかし、家でつくれば100円以下で出来ますし、相当高級なインスタントラーメンでも300円程度で済みます。
これまで店舗のラーメンを食べていた人が、インスタントラーメンの価格が多少下がったからといって、ラーメン店に行くのはやめようとは絶対にならないはずです。
またごはん一杯を自炊すればだいたい50円から70円くらいで済みます。
しかし、外食ではもっとも安いファミレスでも250円程度します。
だから、そもそも自炊と外食では価格の面では競争にならないのです。
外食をする人というのは、それなりに美味しいものを食べたいとか、一人だから作るのが面倒くさいなどの理由で外食をしているわけです。
これまでごはん一杯70円だったものが消費税減税により64円程度になりますが、だからと言って外食をやめて自炊しようということにはならないはずです。
ごはん一杯70円でつくれるのに250円を出して外食していた人は、それなりの理由があって外食したわけだから、自炊ごはんが70円が64円になるからと言って、外食をやめるわけはありません。
外食産業というのは、コロナ禍以降、深刻な不況に見舞われ、廃業件数は過去最高になっています。
しかし、今、外食産業のためと称して食料品減税に反対している野党の連中が、これまで外食産業の救済に手を尽くしていたかというとまったくそうではありません。
ここ最近の外食産業のピンチにはまったく知らんぷりだったのに、食料品減税が脚光を浴びるようになってから、にわかに「外食産業を救え」などと言い始めたのです。
もう明白に「食料品減税をつぶしたいための強引な理由づけ」なのです。
食料品減税がつぶれれば国民の怒りは野党に向かう
食料品減税は2年間の限定なので、2年後には増税になると言って反対する人もいます。
しかし、食料品減税は「給付付き税額控除」ができるまでのつなぎということなので、2年後には「給付付き税額控除」が導入されるはずです。
もし「給付付き税額控除」が間に合わなかったとしても食料品減税だけを廃止するということできないと思われます。
それでは国民の大反対がおきるからです。
だから、食料品減税は「やらないよりやった方が絶対に国民のためになる」のです。
野党はつまらない政争をやめて、食料品減税には賛成すべきです。
そうすれば、国民生活をおざなりにしてきた財務省支配の一角を崩すことができます。
しかもこれまで絶対に減税はできないとされてきた消費税も減税できる、という既定事実が生まれます。
今後の税制改革に大きな可能性を見出すことができるはずです。
食料品減税をつぶして、結局、何の減税もできないとなれば、マジで国民は怒りますよ。
その怒りは高市政権よりも、それをつぶした野党に向かうはずです。
「高市首相は公約を守るために一生懸命減税をしようとしたが野党がつぶした」
という構図になるからです。
※消費税減税については拙書「改訂版・財務省の秘密警察~今度は高市早苗が危ない!~」に詳しく書いています。
(本記事はメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2026年7月16日号の一部抜粋です。そのほか「国税職員の詐欺ひっかかり事件」「生命保険は無駄な費用か?1」を含む全文はご登録の上ご覧ください。初月無料です)
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