欧米はホルムズ海峡で石油の輸送を止め、アゾフ海で穀物の輸送を止めた
世界の原油供給量が約20%減少、化学肥料の製造に不可欠な尿素の供給は30%減少する。
ウクライナ政府は7月14日、アゾフ海でロシアの船舶11隻をドローンで攻撃、過去9日間では116隻の船舶に打撃を与えたと発表した。海賊行為からテロへとステージが進んだと言える。ロシア側は当面の間、アゾフ海やドン・アゾフ運河におけるすべての海上交通、ならびにケルチ海峡の通航も停止。この海峡はアゾフ海から黒海、さらにその先へ船舶が出ていくためのルートであるため、アゾフ海沿岸にある大規模な穀物輸出港からの出荷も滞ることになる。NATO諸国は石油だけでなく穀物の供給も止めようとしている。
ロシアは世界最大の小麦輸出国で、世界全体の25%を占める。ロシアの小麦輸出量のうち約30%から40%はアゾフ海から黒海に至る航路が使われ、ここでの輸送が停止するということは、世界の小麦輸出全体の約10%が止まることを意味する。
こうしたウクライナの攻撃に対し、ロシアはオデッサ周辺にある貨物船が攻撃された。ユジュヌイ港、チョルノモルスク港、そしてオデッサ港が標的になったとされている。
ロシア産小麦の主な輸出先はアフリカ、アジア、中東の国々。アフリカを歴訪中のロシアのセルゲイ・ラブロフ外相はチャド外相と会談した後、アゾフ海や黒海におけるウクライナの行動について「もはや海賊行為ですらなく、純粋なテロリズムに当たる」としたうえで、ロシアは「アフリカの友人たちに対する食料供給の義務を、商業契約に基づくものであれ人道支援の一環であれ、彼らの要望に従い、いかなる状況下でも引き続き履行していくつもりだ」と述べた。
アメリカ軍とイスラエル軍は2月28日にイランの主要都市を奇襲攻撃して同国の最高指導者を務めていたアヤトラ・アリ・ハメネイ師を含む要人を殺害した。この「斬首作戦」をドナルド・トランプ米大統領はイスラエルやシオニストから早く攻撃を開始するよう強い圧力を受け、実行したと言われている。イスラエル単独でイランを攻撃することはできない。
トランプはこの斬首攻撃でイランの体制を簡単に転覆させられると考えていたのかもしれないが、軍事に関する知識が多少でもあれば、この作戦が失敗し、イランから報復され、ホルムズ海峡が封鎖される可能性が高いことを見通していたはずで、世界の原油供給量が約20%減少、化学肥料の製造に不可欠な尿素の供給は30%減少することも理解していたはず。その結果、世界経済が大混乱に陥り、恐慌へ突入する恐れがあることも予想できただろう。
タンカーを含む船舶は保険契約なしに航行することはないのだが、その保険は最終的にロンドンの保険市場、ロイズが引き受ける。原油の供給を金融が左右するとも言えるだろう。
西側の巨大資本はウクライナの穀倉地帯を狙っているが、2022年には約3分の1をカーギル、デュポン、モンサントの3社が所有、この3社は効率性を高めるため、コンソーシアムとして契約を締結して事業を開始した。このコンソーシアムは事実上、ウクライナの土地の半分以上を支配している。
カーギル、デュポン、モンサントの主要株主にはブラックロックのほか、バンガードやブラックストーンといった「闇の銀行」が名を連ね、ゼレンスキーはブラックロックのほかJPモルガンやゴールドマン・サックスと協力関係にある。
イギリスの強大な私的権力はソ連消滅後、ロシアの石油利権も狙っていた。その中心にいたのはジェイコブ・ロスチャイルドだ。ボリス・エリツィン時代のロシアでオリガルヒとして同国の資産を略奪していたミハイル・ホドルコフスキーによると、彼が所有していたロシアの石油会社ユーコスの支配権はジェイコブ・ロスチャイルドに渡ったという。
ウクライナの場合、資金の動きをコントロールしているのは巨大金融機関のブラックロックやJPモルガン。ブラックロックは2022年後半からウクライナ政府のコンサルタントを務め、ブラックロック傘下の企業はウクライナの戦略的資産の大部分を支配するようになったと報道されている。
なお、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相はブラックロックで監査役を務め、エマニュエル・マクロン仏大統領はロスチャイルド銀行で働いていた人物だ。
アングロ・サクソン系の強大な私的権力は19世紀以来、世界制覇を目指す長期戦略に基づいてい動いてきたが、短期的にみると、ウクライナやイランでの戦争は穀物やエネルギー資源の略奪、あるいは制御された投機バブルの崩壊を目指しているようだ。



コメント