mRNAワクチンのbooster接種後1-2か月でオミクロン株にブレイクスルー感染した7例の検討

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mRNAワクチンのbooster接種後1-2か月でオミクロン株にブレイクスルー感染した7例の検討

ワクチンを2回接種しようが3回しようが関係なし

●mRNAワクチンのbooster接種後1-2か月でオミクロン株にブレイクスルー感染した7例の検討 →プレプリントですが、興味深いので取り上げます。 南アフリカで感染したドイツ人7人で、6人は20代です。 booster接種は6例がファイザー、1例は半量ではなく全量のモデルナで行っています。 

 

基礎疾患もなく、若年者の高いワクチン反応性もあり、重症化リスクが限りなくゼロに近い7例の検討。 結果はブレイクスルー感染は高い中和抗体価でも起こっており、発症7日目でも全例で何らかの症状が残存。 鼻咽頭ウイルス量は非常に高く、恐らくは他者への感染源になり得ます。 

 

乾性咳嗽の頻度が高いですが、胸部X線での評価はなされておらず、上気道の炎症を反映した症状か、あるいは肺炎があるのかは不明です。 検討症例数は少ないですが、現行ワクチンのbooster接種でオミクロン株の流行拡大を止めるのは難しい可能性がありそうです。 

 

オミクロン株が世界中に急速拡散している今、何らかの理由で重症化率の低下している事を祈るのみです。 Breakthrough Infections with SARS-CoV-2 Omicron Variant Despite Booster Dose of mRNA Vaccine papers.ssrn.com/sol3/papers.cf 

 

・最近登場したオミクロン株の免疫逃避能は、その遺伝子情報から当初より予想されていた。初期の疫学データも再感染事例の増加を確認している。これらの事実により、booster接種を含んだワクチン接種プログラムの強化の必要性が叫ばれるようになった。 

 

今回、mRNAワクチンによるbooster接種を完了したにも関わらず、南アフリカ滞在中にオミクロン株に感染したドイツ人旅行者のクラスター事例を報告する。 

 

平均年齢27.7歳(25-39)の白人7人(女性5人、男性2人)からなるグループであり、全例が基礎疾患を保有していなかった。4人は現地の異なる病院での臨床選択科目として参加(participating in clinical electives)しており、他の3人は休暇のために南アフリカに滞在していた。

 

・11月前半の到着時に、全例がSARS-CoV-2のPCR陰性証明、booster接種を含むワクチン接種証明を提出していた。ワクチン接種は欧州推奨に従って行われており、5例が同種、2例が混合の形でbooster接種を完了していた。

 

6人はファイザーワクチン接種完了者であり、うち5人は2021年10月または11月初旬にファイザーワクチンで、1人は10月初旬にモデルナワクチン全量(0.5mL)でのbooster接種を受けていた。 

 

残りの1人は初回はアストラゼネカワクチン、2回目およびbooster接種はファイザーワクチン接種を行っていた。全例でSARS-CoV-2の感染既往はなかった。 

 

・11月30日から12月2日にかけて、7人は軽い呼吸器症状で発症した。発症翌日に現地のの認定診断機関において、PCR検査よりSARS-CoV-2感染が診断された。 ・Stellenbosch大学の倫理委員会の承認を受け、7人からのインフォームドコンセントを得た上で、今回の検討を実施した。 

 

・臨床検体は発症2-4日の早期に採取された。鼻咽頭スワブを採取した後、1.5mLのリン酸緩衝生理食塩水に懸濁した。検体からのRNA抽出後にゲノム配列決定およびウイルス量の測定を行った。血液検体を用いて、SARS-CoV-2の抗spike IgGレベルを検討した。 

 

・患者は国内において隔離され、症状日誌を用いて臨床経過を記載した。初期症状は咽頭痛85.7%、倦怠感71.4%、頭痛57.14%、乾性咳嗽42.9%、胸部圧迫感、副鼻腔痛(sinus pressure)、鼻炎、吐き気はいずれも28.6%の頻度で見られた。寝汗は1人でのみ最初の3日間で見られた。 

 

疾患の進行に伴って全例が乾性咳嗽を呈し、副鼻腔痛85.7%、鼻炎71.4%が見られた。嗅覚消失および味覚異常は1例で一過性(発症3日のみ)に見られた。発熱は14.3%で見られた。 

 

・観察期間終了時点(day 7)で、乾性咳嗽100%、鼻炎71.4%、咽頭痛57.1%、息切れ42.9%が主要な症状だった。症状の程度は全般的に改善傾向にあった。全例が有症状のCOVID-19であったが、自己評価による臨床症状は軽度から中等度までにとどまっていた。 

 

入院を要した症例はなかった。全例で酸素飽和度は正常範囲に保たれていた。 ・5人の検体からオミクロン変異株が確認された。2人の検体では配列決定に失敗したが、他の感染者との疫学的リンクからオミクロン変異株であると推定された。 

 

・スワブ検体の溶出液のウイルス量は、1.41x 10E4から1.65 x10E8 copies/mL(平均4.16 x 10E7)であり、発症後4日目の検体が最もウイルス量が高かった(平均6.69x 10E7)。 

 

・抗spike 抗体レベルは平均で約23,000 AU/mLだった。彼らの抗体量は、Grupelらが報告している2回目のワクチン接種後4週目のレベルと同等であった。 

 

・このcase seriesはbooster接種を受けた症例における、オミクロン株によるブレイクスルー感染の特徴を記述した最初の報告である。booster接種はワクチン接種完了から5-10か月後に行われ、それから1-2か月後にブレイクスルー感染を起こしていた。全例が高いレベルで抗spike IgGを保有していた。 

 

ウイルス量の検討では、オミクロン株感染ではウイルス量が高い可能性を示しているが、まだ予備的なデータだと解釈すべきである。 

 

・1週間の経過における症状は軽度であった。これはbooster接種がCOVID-19の重症化に対する予防効果ある事を示唆しているが、観察期間が短いため、その後の悪化や長期後遺症発症の可能性は否定できない。 

 

・この一連の症例は、mRNAワクチンの3回投与を行っても、オミクロン株による感染および発症を予防するには十分ではないかもしれない可能性を示している。これは非薬物的介入(感染対策)が引き続き継続される必要性を強調するものである。 

 

・7例のワクチン接種歴 6例はmRNAワクチンを3回接種。 1例のみ初回Adベクターで残り2回はmRNAワクチンです。 7例中6例が20代。 

 

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・各症状の保有率の経時的推移 day 7を見ると、鼻炎、咽頭痛、副鼻腔痛が多く、上気道炎症が主症状の印象。 発熱の頻度も低い(14.3%)ですが、息切れ42.9%、頭痛42.9%、筋肉痛28.6%、皮疹14.3%は辛そうです。 症状がどの程度のレベルなのかイメージ的に良く分かりません。 

 

発症7日時点でもまだこの頻度で症状が持続しているわけです。 少なくとも風邪レベルではなさそうです。 (続く)

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