安全性の向上はありがたい限りだが修理の時は高い!

 安全装備が続々と義務化されたり、義務でなくてもメーカーの方針として標準採用されていく昨今。この点についてはとても喜ばしいことだが、気をつけないといけないポイントがいくつかある。とくにぶつけた場合だ。今回は代表例を紹介しよう。

バンパー

 従来であればパンパー交換はとても簡単だった。色合わせは別として、構造としてはドンガラなので、内側から止めているネジ類を外していけば取ることができたし、取り付けも同様。しかし、最近はセンサーが内側に大量に取り付けられている。バンパーをよく見てもらうとわかるが、丸いものがいくつか表面に付いているのがわかるはず。これはソナーで、そのほかにもクルマによってはカメラも含めた各種センサーが付いている。グリルも同様だ。つまりぶつけるとこれらもダメになってしまう可能性も高く、さらにセンサーは使えたとしても位置を修正すると正しく働くかのチェックが大変。つまり費用がかさむというわけだ。

ボンネット

 最近のモデルには歩行者保護機能が付いている。歩行者を跳ねてしまった場合、ボンネットに落下してきたのを優しく受け止めるようにする機能で、具体的には少し持ち上がることで空間を作る。人を跳ねなくてもぶつけた衝撃で機能することもあって、一度持ち上がってしまうと元に戻せず、丸ごと交換となる。これがかなりの高額でネットを中心に悲鳴が上がっている。一部の車種にあるようにボンネット部分にエアバッグを仕込んである場合はさらに高くなる。

DIYも昔より難しくなっている

フェンダーなど

 機能が作動しないならいいと思うかもしれないが、油断してはダメ。最近はボディパネルの内側の構造も衝撃吸収に配慮している。そのため、ぶつけてパネルを交換したりする際も、メーカーの指示どおりに組み付けないと性能保証ができないのでダメ。実際に保険修理をメインとする板金工場にはメーカーからのマニュアルが常備されていたりする。バンパー同様、外して、新品パネルを付けて形を元に戻しておけばOKという時代ではなくなってきているのだ。

パネルの凹み

 こちらは上記と同じような部分だが、単純な凹みを直すのも高額化が進む。軽量化しつつ、衝撃を受け止めるために採用されているのが超高張力鋼板だ。メカ好きの方ならこの用語は目にしたことがあるだろう。簡単に言ってしまえば、薄くしても、張りが強いので形を維持することができるのが特徴で、張りが強いのがやっかいで叩いて元に戻すのは至難のワザ。結局、パネル交換で対応することが増えている。しかも溶接機もパテも専用のものを使う必要がある。職人不足も拍車をかけて、板金費用は高騰中。ちょっとぶつけただけだから安く済むと思ったら大間違い。