「地球規模のシステミック・メルトダウン」

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ニューヨーク州最高裁判所 金融

「地球規模のシステミック・メルトダウン」

意図的なしかけによる倒産劇

米国のスタートアップ企業の半数に重大な危機が

前回、破綻したシリコンバレー銀行について少し書きました。

[記事] 銀行の破綻の連鎖が始まる(かもしれない)。米シリコンバレー銀行の取り付け騒ぎでは、「24時間で 5兆6000億円」が引き出された
 In Deep 2023年3月11日

なぜ破綻したのかはともかくとして、直後からいろいろな話が出てきています。

シリコンバレー銀行の最重役である CEO (最高経営責任者)、CAO (最高総務責任者)、そして CMO (最高マーケティング責任者)の 3人が、破綻前の過去 2週間で、日本円で 6億円ほどの同社株を売却していたことが明らかになったり。

破綻したシリコンバレー銀行のCEOなど上級幹部が、過去二週間で「約6億円分」の同社株を売却していた (2023/03/11)

破綻前 2週間で重役が売却した金額

・CEO 売却額 357万8666ドル (約 4億8000万円)

・CAO 売却額 57万5180ドル (約 7800万円)

・CMO 売却側 29万2872ドル (約 3900万円)

Genevieve Roch-Decter, CFA

あるいは、破綻したシリコンバレー銀行の CAO が、

「破綻した元リーマンブラザースの重役だった」

ことがわかったり。以下は、米 FOX ニュースの記事を翻訳したものです。

破綻したシリコンバレー銀行の最高総務責任者 (CAO)は、リーマンブラザーズの最高財務責任者 (CFO)でした (2023/03/12)

いろいろなことが出てきていますけれど、最も深刻なのは、この銀行との資金の結びつきが最も強い「スタートアップ企業」と呼ばれる新興企業への影響です。

 

米ベンチャーキャピタルファンド社長のギャリー・タンという人はこれについてツイートし続けていますが、昨日は以下のように書いていました。

ギャリー・タン氏のツイートより

これはスタートアップ企業にとっては「絶滅レベル」のイベントであり、スタートアップとイノベーションを 10年以上後退させることになる。

ビックテックはこのようなことは気にしない。彼らは他の場所に現金を持っている。

しかし、次世代の Google や Facebook になるはずだった企業など、すべての小さなスタートアップは、解決策が見つからなければ消滅してしまう。

Garry Tan

すでに、56,000 人を超える従業員を代表する 1,200人を超えるスタートアップ創業者や CEO たちが、嘆願書への署名を呼びかけています。

緊急: 今すぐ嘆願書に署名してください。「何千何万というスタートアップ企業がリスクにさらされています」
Urgent: Sign the petition now

(嘆願書より)

> 私たちは、シリコンバレー銀行の預金者である中小企業、新興企業、およびその従業員への差し迫った重大な影響に対する救済と注意を求めます。

> シリコンバレー銀行には 37,000を超える中小企業があり、預金額は、どの企業も 250,000ドルを超えています。FDIC のウェブサイトによると、これらの残高は現在利用できず、さらなる介入がなければ、数か月から数年は預金にアクセスできない可能性があります。

ycombinator.com

あと、太陽光、水素、新興エネルギー企業などの資金、これは「ソーラー ファイナンス」と呼ばれるそうですが、シリコンバレー銀行は、アメリカ全土のソーラー ファイナンスの「 60%」に関与しているそう。それが壊滅のリスクにあります。

このシリコンバレー銀行は、「気候銀行」とまで言われていたそうです。

気候銀行の死

Death of a Climate Bank
HEATMAP 2023/03/10

シリコンバレー銀行が現金を使い果たし、連邦預金保険公社に引き継がれたため、アメリカは 3月10日、 2008年以来最大となる銀行破綻を目撃した。

その名の通り、この銀行はテクノロジーエコシステムと北カリフォルニア経済の中心だった。シリコンバレー銀行は、アメリカのベンチャー支援スタートアップ企業の半分を顧客としていると主張していた。

しかし、それほど注目されていないのは、シリコンバレー銀行が気候技術セクターにとって特に重要だったことだ。

アメリカ全土のソーラーファイナンスの 60 %以上にシリコンバレー銀行が関与している

シリコンバレー銀行は、数十の気候およびエネルギー技術企業の銀行家としての役割を果たし、日常的に現金を保有し、大規模なプロジェクトを支援するために数十億ドルの融資を発行していた。このセクターに不可欠な銀行だった。

破綻の預金の保護あるいは返還の金額は 25万ドル (約 3400万円)までですが、これらの新興企業のほぼすべてが、それ以上をシリコンバレー銀行に預けていたようです。

これは無保険扱いとなり、基本的にはすぐには(あるいはずっと)返還されません。

資金がなければ、事業はそれまでです。

先週のメルマガは…まだシリコンバレー銀行が破綻する以前のものでしたが、そこでご紹介した、

「 2023年に、スタートアップ企業の大量絶滅イベントが発生する」

としてご紹介した記事から一部を抜粋します。


ベンチャーキャピタルファンドは、2023年のスタートアップの「大量絶滅イベント」を見ている:「それは金融危機をジョークに見せるだろう」

VC Funds See “Mass Extinction Event” For Startups In 2023: “It Will Make The Financial Crisis Look Quaint”
zerohedge.com 2023/03/08

主要なベンチャーキャピタルファンドの投資家が、比較すれば、2008年の世界的な財政崩壊が「軽妙な響きに見える」ようになるとして、初期段階および中期段階のスタートアップ企業の

「大量絶滅イベント」

を予測している。

新しい調査によると、初期段階のスタートアップ企業の 81% が 2023年に失敗に直面していることがわかった。

2022年8月から 10月にかけて、アメリカとヨーロッパのスタートアップ創業者 450人を対象とした国際調査が、調査会社のジャニュアリー・ベンチャーズ社によって実施された。

回答者の 61%がアメリカから、32%がヨーロッパからだった。

調査に参加した創業者は、スタートアップの資金調達のレベルによっても分類された。回答者の 48% はプレシード資金を調達したと述べ、32% はシード資金を調達したと述べ、16% は資金調達を開始していないと述べた。

(※) 「シード」とは、創業の準備中の段階のことで、その前を「プレシード」と呼ぶそうです。

調査によると、5社中 4社のスタートアップが、今年失敗のリスクにさらされており、残りの「バーンレート」(猶予)は 12か月未満だ。

初期段階の新興企業の 80% 以上が消滅する絶滅イベントは、2008年に住宅崩壊という形で大波が世界の金融システムを襲って以来、最大のものとなるだろう。

ジャニュアリー・ベンチャーズ社の調査結果が発表された後のツイッターへの投稿で、ロサンゼルスに本拠を置く、ベンチャーキャピタル会社アップフロント・ベンチャーズ社のパートナーであるマーク・サスター氏は、調査結果に同意し、5,000の初期段階のスタートアップ企業の半分を見積もった。

サスター氏の会社は過去 4年間に資金を提供しており、現在廃業の危機に瀕している。

サスター氏は、市場が余剰資本であふれているため、スタートアップの失敗の数は過去 7年間で「人為的に低く抑えられてきた」と述べたとロンドンに本拠を置くインベストメント・モニター社が報じた。

「過去 7年間の損害率は、過剰資本のために人為的に低く抑えられている。IM のレポートによると振り子が反対方向に大きく振れすぎるだろう」とサスター氏は述べている。

同じツイッターのスレッドで、シリコンバレーに本拠を置く投資会社 IVP 社のベンチャーキャピタリストであるトム・ロベッロ氏は、2008年の壮大な崩壊 (金融危機)よりも悪い、初期段階および中期段階のスタートアップの「大量絶滅イベント」を予測した。彼は以下のように書いた。

予測:初期および中期段階の企業に大量絶滅イベントがやってくる。2023年後半から 24年にかけて、スタートアップにとって 2008年の金融危機が軽妙な出来事に見えるだろう。

以下に、いつ、なぜ、どのように開始するかを説明し、迫り来る大量絶滅イベントを生き抜くための創業者たちへの詳細なアドバイスを提供したい。


ここまでです。

ここで問題とされているのは、今回起きたような銀行の破綻によるスタートアップの問題ではなく、

「それ以前にスタートアップ企業のほとんどは、事業がうまくいっていない」

ということが国際的な調査でわかったというものです。そこに、アメリカのスタートアップ企業の半数と関与しているという今回のシリコンバレー銀行の破綻が起きたということになります。

劇的な救済でもない限り、雪崩のように新興企業の崩壊が起きていく可能性も強まっています。

日本の企業でも、企業名は書かないですが、シリコンバレー銀行を通じて、スタートアップに多額の資金供与していた会社もありますし、日本にも波状に影響が広がる可能性もありそうです。

今日、アメリカの金融専門家のサブスタック記事を読みました。

グレゴリー・マナリノさんという方で、通常は動画で配信しているようなのですが、文章による投稿をしていました。

ルックス的には、眼光鋭いクールな方なんですが、ビデオを見ましたら、話しぶりが相当エキセントリックで、その狂気じみた熱い様子にむしろ信頼感が湧きました。

グレゴリー・マナリノさん

この方の最新の記事をご紹介しようと思います。

本当に彼が言っていることが正しいのかどうかは、専門家ではない私に判断することはできないですが、読み物として興味深かったですので。

ここからです。


偶発的な銀行システムの障害? そんなことを信じてははいけない

Accidental Banking System Failure? Don’t You Believe It
Gregory Mannarino 2023/03/12

シリコンバレー銀行 (SVB) の一夜にしての破綻は確かに多くの注目を集めたが、これは本当に驚くような出来事だろうか?

違う。それは絶対に違う。

SVB の崩壊は、中央銀行が意図的に助長している現在の世界経済の急落の兆候にすぎない。

私の記事を以前から読んでくださっていた読者の方なら、あなたはすでに今日、金融システム全体が崩壊していることを痛感しているはずだ。

そしてこれはアクシデントではない。私たちは、意図的なシステム障害の初期段階にいる。

今日、世界経済は加速する自由落下の中にあり、ナイフの刃で、新しいシステムを発行するためだけに既存のシステムをまとめて粉砕しようとしている中央銀行によって、意図的に金融の崖から押し出されている。

私が、アメリカの銀行が困難に陥っていることを警告し始めたのは、8ヵ月前だった。今は、あまりにも明白になりすぎて、銀行の現在の状況は、預金はない、ローンはない、取引はないの 3つのことだけに帰着する。

実際は困っているのは銀行ではなく、いつものように、私たち国民だ。

これは、SVB 崩壊の影響のほんの一部だ。 25万ドル (約 3400万円)以上の 預金者たちが完全に回復されることはない。

また、数日前まで、銀行に関するすべてが健全であると言われたばかりだった株主たちも同様だ。

失業したばかりの人々が多数発生するのは言うまでもないが、最大の脅威は、小規模銀行/地方銀行の崩壊により、メガバンクが権力を統合することができることだ。

アメリカの銀行規制当局はこれらすべてのどこにいたのだろうか?

なぜ彼らはこれが起こることを見ていなかったのだろう。

それとも、規制当局は、これが起こることを見ていた可能性があるが、彼らはただ目をつぶっただけだ。このことを覚えておいてほしい。

なぜ銀行規制当局は、アメリカで 16番目に大きな資産を持つ銀行であるシリコンバレー銀行が一夜のうちに崩壊したのを「許可」したのだろうか?

そして、今後、より多くの地方銀行や小規模銀行が破綻する可能性はあるのだろうか。

銀行の規制当局が単に無能だから起きた、と信じるべきなのだろうか?

さらに、現実のチェックとして、理解しておいてほしいが、連邦準備制度理事会も米国財務省も、ここに至るのを見ていなかったはずはない。

預金はない、ローンはない、取引もない。この「預金なし、ローンなし、取引なし」の状況が明白である場合、銀行規制当局、米国財務省、および連邦準備制度理事会はこれを完全に見逃しただけだとと思われるだろうか。

銀行規制当局、米国財務省、連邦準備制度理事会をあなたは信じますか?

それとも「信じない」という選択もあるのだろうか。

別の質問をしましょう。

なぜ単一の大銀行が介入して SVB を救済しなかったのだろうか? 主流メディアの金融チャンネルのコメンテーターたちは、大手銀行が介入して SVB を「救う」ことを申し出なかった理由について、完全に困惑しているようだ。

さて… その理由はこれだ。

シリコンバレー銀行の破綻は、主要銀行に「特売」の機会をもたらす。SVB を救うために介入した大手銀行は 1つもない。

なぜなら、今回の崩壊は、この崩壊から資産をわずかな金額で手に入れることができる大きな機会を彼らメガバンクに与えているからだ。さらにいえば、大銀行は、地方銀行の破綻が増えるにつれてさらに大きくなり、より多くの特売での買い物を可能する。

SVB の一夜の崩壊に続いて、小規模/地方銀行の破綻が続くことを私は完全に予想している。

銀行システム全体の統合が加速し、力が増し、ウォール街のスーパーバンクに集中する資産が増えようとしている。地方銀行、小規模銀行の破綻に関する(シリコンバレー銀行の破綻からの)「伝染」は、Too Big To Fail (大きすぎて潰せない)機関がさらに大きくなるのを可能にする。

SVB の破綻までのどれかが偶然だと本当に信じるだろうか? そして、誰もこれが来るのを予測していなかったのだろうか。

より多くの地方/小規模な銀行が破綻する可能性に注意してほしい。


ここまでです。

グレゴリーさんは、こちらの記事で、動画でさらに詳しく説明しています。

動画では、「これはシステミック・メルトダウンで、国際的なメルトダウンだ」というように述べていました。

動画は英語ですが、日本語字幕で見てみましたら、途中オーバーアクションや早く話す分部分では、字幕が追いつかないところもありますが、おおむね日本語字幕でも見られます。

外国語の YouTube 動画に、日本語字幕をつける方法は、昨年のこちらのブログ記事でご紹介していますが、おおむね以下の手順で字幕がつけられます。なお、当然ながら、英語の字幕のほうが正確に内容が表示されます。

YouTube の外国語の動画に日本語字幕をつける方法

・動画下の右側にいくつかのアイコンがあります。
・その中央に灯油タンクのフタみたいなアイコン(設定)があります。
・その「設定」をクリックします。
・上から3番目に「字幕」という項目があります。
・その右側に「オフ」あるいは「英語(自動生成)」と書かれています。
・その「>」をクリックします。
・一番下に「自動翻訳」という項目がありますので、クリックします。
・言語一覧が出ますので「日本語」を選択します。
・先ほどの「設定」アイコンの左に「字幕」アイコンがあります。
・それをクリックすると、動画に日本語の字幕がつきます。

なお、前回の記事で米ゼロヘッジの記事を取りあげていまして、そのブログ記事ではふれなかったですが、以下の気になることが書いてあったんですよね。出典はブルームバーグです。

> JPモルガンチェースなどのメガ機関は、 自社の資産の安全性を宣伝することで、シリコンバレー銀行の顧客に資金を移動するよう説得しようとした。
zerohedge.com

破綻する少し前に、「シリコンバレー銀行から資金を引き揚げて、私たちのような安全なメガバンクに資金を移動しなさい」とアドバイスしていたようなのです。

その後、シリコンバレー銀行から、日本円で 5兆6000億円に達する資金の流出が起きたということのようです。

なお、破綻後の 3月10日のアメリカの株式市場の銀行セクターは、軒並み激しい株価の下落に見舞われたのですが、JPモルガンは「株価が上昇していた」ということもありました。銀行セクターでは、他にはほぼなかったはずです。

今後先行きはわからないですけれど、ただ、アメリカのスタートアップ企業が大変な状況に直面していることだけは事実なのかもしれません。

日本への影響はわかりようがないですが、週明けから何の波乱もないかもしれないですし、影響がやや見えてくるということもあるのかもしれませんが、やはりそれはわかりません。

マイコメント

これはアクシデントではない誰かの手によって意図的に引き起こされている。

冷静に霊性に見ていましょう。

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