財務省の「財政ヤバい」にダマされるな! “増税必要なし”の納得の理由

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財務省 税金

財務省の「財政ヤバい」にダマされるな! “増税必要なし”の納得の理由

「増税しない」という岸田総理の言葉は信用できない

政府は通勤手当や給与所得控除、さらには退職金も狙った”サラリーマン大打撃”の増税を検討中――そんな報道が流れるや、批判の声が岸田政権に殺到。官邸はそれを否定したが、増税の気配はまだ濃厚に漂っている。

そもそも、景気回復の途上である日本で増税は必要? その疑問に強く「否!」と答える人たちがその理由を語った!

■本当に増税しない?

今年6月末に政府税制調査会(首相の諮問機関、政府税調)が4年ぶりにまとめあげた中期答申が話題になった。

政府税調は税率の上げ下げや新しい税金の創設などを議論・提案するための機関。財務省の影響下にあり、同機関が出す基本方針は財務官僚の意向が強く反映されている。ここが数年ごとに中長期的な税制の方向を示すのが「中期答申」だ。

そして、答申には通勤手当や社宅の貸与への課税、退職金控除の見直しといった、サラリーマンにダメージを与える項目が頻出。また、失業手当や給付型の奨学金、生活保護給付などにも課税拡大を検討すべきだとの提言が並んでいたのだ。自民党の国会議員の秘書A氏はこう振り返る。

「答申の分厚さには驚きました。あらゆる増税の可能性を詰め込んだという感じで200ページ以上。財務省の増税熱がひと目で伝わってきました。奨学金まで対象になっているのはやりすぎと思いましたよ」

ただ、この答申が「サラリーマン増税だ」と騒ぎになると政権は火消しにかかる。「(サラリーマン増税は)まったく考えていない」。報道によると、岸田文雄首相は7月25日に官邸で面会した自民党税制調査会の宮沢洋一会長にこう伝えたという。

 

果たして本当に増税はしないのか? ジャーナリストの鈴木哲夫氏に聞いた。

 

「額面どおり受け取ることはできません。その直前の週末に報道各社が内閣支持率調査の結果を発表しましたが、どこも政権維持の”危険水域”である30%に迫る数値でした。官邸関係者は支持率下落の最大の要因を増税への動きと考えたのではないでしょうか。それで慌てて、増税否定の火消しにかかったのでしょう。

今、自民内では毎年9月頃にある党人事が今年は8月に前倒しになるとの観測があります。岸田首相は、内閣改造と党内人事で支持率を再上昇させてから解散・総選挙に突入したいのでしょう。選挙で勝利すれば、改めて増税への動きを加速させると思います」

鈴木氏が続ける。

「財務省の影響が色濃い岸田政権は”増税政権”だと私は考えています。第2次安倍政権の約9年間(2012~20年)は経産省の官僚を重用していたし、続く菅政権も経産省、総務省の影響が強かった。

この10年間は、省庁のトップを自任する財務省にとって大きな恥辱でした。それが岸田政権で影響力を取り戻した。約10年間にわたり『やれなかったことをやりたい』というのが財務省の本音です」

鈴木氏は岸田政権の用いる言葉に注意を促す。

「岸田政権は『増税』という言葉を巧みに回避して、『税体系の見直し』や『公平化』といった言い回しで国民負担率が高くなる政策を進めてくるので注意が必要です。財務省と政権の動きを追う際には、国民負担率がどうなるかを考えるようにしたほうが政策の性質がわかりやすい」

ちなみに昨年度の国民負担率は47.5%。2000年度が35.6%なので、約20年間で10%超も増えたことになる。

「政府が収穫米の5割を上納することを強いて農民の一揆(いっき)を招いた江戸時代の負担率『五公五民』に近づいている。今後、この負担率がさらに上がるのか、それとも下げるための施策を打つのか、政府の税制を評価するひとつの軸にしてみてください」(鈴木氏)

それでは先述した増税メニュー以外で、どんな増税(実質的なものも含む)を狙っているのか。経済アナリスト・森永卓郎氏はこう話す。

「まずは扶養控除、配偶者控除の圧縮。いちばん大きいのは給与所得控除(課税対象となる所得から差し引く必要経費のこと)の圧縮です」

事実、先述した中間答申でも「給与所得控除の見直し」が言及されていた。それによると、”(日本では)給与所得控除により(中略)給与収入総額の3割程度が控除されるが、給与所得者の必要経費は約3%程度と試算されており、主要国との比較においても全体的に高い水準”とある。

現状、例えば年収500万円のサラリーマンだと約30%の給与所得控除(144万円)が発生する。これがもし中間答申が指摘するところの3%に下げられた場合、控除額は15万円になる。いきなり3%にすることは現実的ではないかもしれないが、仮に数%の下げ幅であっても、手取りに与える影響は決して小さくない。

このほかにも、こんな増税もあるという。

「来年から森林環境税の徴収も始まります。これは森林環境を守るために用いられるとういう名目で、住民税に上乗せされるようです」(森永氏)

 

■実は借金は「0円」?

次々と現れる”増税検討”メニューに、どうにも憂鬱(ゆううつ)な気分になる。しかし、森永氏はこう断言する。

「そもそも増税自体、必要ありません。今年度の基礎的財政収支は黒字になる可能性が高い。しかも、今年度中に国の借金が実質ゼロになる可能性も大です。なのに、財務省はなお増税しようとしている。むしろ減税しないとおかしいんですけどね」

でも、財務省発行の『これからの日本のために 財政を考える』(23年4月)を読むと、イヤというほど「(国の)借金」が強調されていて、「普通国債残高は、累増の一途をたどり、2023年度末には1068兆円に上ると見込まれています」(6ページ)と書かれていますよ?

「その分、日本は資産もたくさん持っています。世界の投資家もグロス(負債総額)ではなくネット(負債総額-資産総額)で見ているので、国の借金を考えるときは、こっちで考えたほうがいいでしょう。

すでに公表されている21年度の連結貸借対照表を見てみます。これは国の資産と借金の目録みたいなもの。それによるとこの年の負債総額は国債が1103兆円、その他の借入金などを合わせて負債総額は1514兆円(①)です。

これに対し、資産総額は943兆円(②)なので、【①-②=571兆円】となります。これが日本の本当の借金額です。21年の名目GDP(国内総生産)は約550兆円なので、ほぼ同額。先進国ではこのくらいが普通です」(森永氏)

それでも借金は残っている。

「残りは『通貨発行益』で相殺されると考えています。国債を発行して日銀に買ってもらうと、実質的には借金ではなく利益になる。国債には償還期限があるからいずれ返済しなければならないのですが、その際に同額の国債を発行して、借り換えればいいのです。

それを繰り返せば元本を返済する必要はなくなります。もちろん利息は払わなければなりませんが、日銀が得た利益は、出資者への配当等を引いて国民の財産として国庫に納められる(国庫納付金)ので、結局は国民に戻ってくる。

今年4月の時点で日銀が保有する国債の残高は581兆円。これを通貨発行益と考えると、借金はゼロになります。

ただ、この考え方を財務省は絶対認めない。同省は前身の大蔵省のときから『歳出は税収の範囲内に抑えるべき』という財政均衡主義に縛られているからです。今後も変化は望めません」(森永氏)

 

■自民党内の”財政抗争”

そんな財務省にべったりの岸田政権だが、自民党の中には抵抗勢力もいるようだ。ある自民党関係者が内情を語る。

「党内では税制についてふたつのグループが争っています。ひとつは財務省の言いなりで、借金を減らすために歳出を抑え税収を上げようとする緊縮財政派。もうひとつは需給ギャップを埋めるためにも国が支出を増やすべきと考える積極財政派です。こちらは安倍派の議員が多いです」

需給ギャップとは従業員や設備といった経済の供給力と、消費や設備投資といった総需要の乖離(かいり)のこと。プラスのときは需要が供給を上回り、物価を押し上げる圧力になり、マイナスなら需要不足で物価を下げる圧力になる。

マイナスの場合、企業は従業員や設備が過剰で、解雇や投資の先送りに動くため、景気を悪くし、持続的なデフレを招く。内閣府によると日本の23年1~3月期の需給ギャップはマイナス0.7%だった。

コロナ禍の20年7~9月期がマイナス4.0%だったことを踏まえると、かなり回復してきたが、積極財政派はこの数値をさらに押し上げ景気の好循環を促進するためにも、国が減税などで企業を支援すべきだとする立場だ。

「ここ数年は毎年6月、骨太の方針が作成される時期になると、両グループが水面下で激しくぶつかり合います。

どちらかの本部が部会を開いてこんな提言をぶち上げるらしいとの情報が入ると、そこにぶつけるようにもう一方の本部が対抗するようにやはり部会を開き、反対あるいはカウンターとなる政策提言をぶち上げる。時間が違うだけで、同じ日にふたつの部会が開かれることも珍しくありません。

とにかく財務省は予算を削り、税収を増やすことだけに熱中している。そんな財務省が増税を諦めるわけがなく、しかも、岸田首相はそれに乗っかっている。景気回復途上でそんなことをしたら、日本経済が中折れするのは間違いない。なんとしても増税への動きを食い止めたいと思います」(前出・自民党関係者)

そして国民としては、やがて迎える選挙のときに投票で岸田政権に「NO!」を突きつけるのが、やはり一番の増税への抵抗になるだろう。

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