認知症の真犯人は「アミロイドβ」ではない? 最新研究で浮上してきた「黒幕」の正体

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認知症の真犯人は「アミロイドβ」ではない? 最新研究で浮上してきた「黒幕」の正体

犯人はHSV(単純ヘルペスウイルス)説が有力

いまや日本に470万人もの患者がいるとされる認知症。研究が進むにつれて、その発症メカニズムもより詳細に判明しつつある。総合診療医で谷口医院院長の谷口恭氏に聞いた。

もはや定説になっていた「アミロイドβ仮説」

認知症の患者が増えるにつれて、「アミロイドβというペプチド(アミノ酸の複合体)こそがアルツハイマー型認知症の原因」という理解も広がってきました。しかし今後、その「常識」が覆るかもしれません。

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そもそも「アミロイドβ仮説」が実証に近づいたのは2006年のこと。ミネソタ大学のKaren H. Ashe氏らが科学雑誌『Nature』に論文を発表し、アルツハイマー型認知症を発症したマウスの脳に「Aβ*56」というアミロイドβが蓄積されること、かつAβ*56を注入すると記憶障害を発症することを明らかにしました。この論文は2500回以上も引用され、世界中の科学者がアミロイドβの研究に熱を入れたのです。

HSVが原因?

ところがアメリカの神経学者の指摘で、この論文に掲載されていた図に切り貼りがあると発覚し、2024年6月にNature誌は撤回に踏み切りました。世界を揺るがす大ニュースですが、一般向けのメディアではほとんど報じられていません。

ではいったい、何が認知症を引き起こしているのか。有力視されているのが、単純ヘルペスウイルス(HSV)です。HSVが体内で活性化すると、免疫が働いて脳内でアミロイドβがつくられます。これ自体は感染を予防するための反応ですが、免疫が過剰に作用すると余計なアミロイドβが脳に蓄積してしまい、アルツハイマー型認知症になるわけです。

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いまだにアミロイドβ仮説は根強いものの、このまま研究が進めば、HSVこそが「真犯人」と特定される日もそう遠くないかもしれません。

「週刊現代」2025年09月15日号より

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