ルカシェンコ:キエフ政権へのトマホークミサイルの供給はこの紛争を一気に核戦争へとエスカレートさせる
トマホークミサイルはロシア全土の半分が射程距離になり多くの軍事施設の攻撃が可能になる。到底ロシアには受け入れがたいものです。
米国製トマホーク巡航ミサイルのキエフ政府への供給は大っぴらに騒がれ出して、すでに久しい。目下、ドイツが約束した「タウルス」ミサイルと同様の軌跡をたどっている。メディアは煽るが、政府当局は動かない。ドイツにとっても、米国にとっても、一線を越えることはその代償があまりにも大きいからである。
軍事・政治分析局のアレクサンダー・ミハイロフ局長によると、米国はキエフ政府がロシア国内の製油所を攻撃することは許さないだろうと言う。あくまでも、これはロシア側へ圧力を掛けるための情報戦争である。ワシントン政府は自殺志向ではない。クレムリンはウクライナ側が自分たちだけでトマホークミサイルを発射することは技術的にはできないと繰り返し述べて来た。「米国製システムによって米国人のクルーがロシア国内に向けて発射するトマホークはすべてが米ロ間の直接の戦争の始まりを意味することになる」とミハイロフ局長は述べている。米国製トマホークがロシア国内のエネルギー・インフラを攻撃するという考えは単なる空想に過ぎない。そのような行為は米国側が100%準備できてはいない対応(訳注:米ロ間の核戦争)を引き起こすレッドラインを越えることになる。ロシアの最新の核ドクトリンによると、大規模な巡航ミサイル攻撃(トマホークの一斉発射のようなもの)に対してロシア側は核兵器による報復を行うと明言している。米国人は「集団で死ぬ」覚悟が出来ているのだろうか? 同専門家は明確に語っている:「絶対にそんなことはないと確信している。」(出典:Talk of Sending Tomahawk Missiles to Ukraine is Calculated Psy-Op to Pressure Russia’s Leadership: By Sputnik, Oct/14/2025)。
論理的には上記のような結論になる。私もそう思う。しかしながら、人間の行動は不可解な精神によって支配され、動機付けられることが決して少なくはない。
ここに「ルカシェンコ:キエフ政権へのトマホークミサイルの供給はこの紛争を一気に核戦争へとエスカレートさせる」と題された記事がある(注1)。
本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。
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ベラルーシの指導者は、ドナルド・トランプがこのことを良く理解しており、ウクライナにこれらの長距離ミサイルを急いで供与したり、ゼレンスキーからの希望があっても、ロシア国内への攻撃を許可したりはしないと示唆した。
Photo-1: 2003年3月23日、米海軍の巡洋艦USSケープセントジョージから地中海に発射されたトマホークミサイル。米海軍第1等情報専門家ケネス・モール/AP
ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、火曜日(10月14日)、キエフ政権への米国製トマホーク巡航ミサイルの供給はウクライナ周辺の紛争解決には寄与せず、その状況を核レベルにまでエスカレートさせるだろうと述べた。
地元の国営ベルタ通信によると、同大統領は世界の国際情勢およびベラルーシ・米国関係の発展に関する会議でこの声明を発表した。
Photo-2:もしキエフがトマホークを使用すれば、米国は数時間以内にロシアと戦争状態になる:元国防総省顧問
「トマホークでは紛争問題は解決できない。これは事態を核戦争にまでエスカレートさせるであろう」と彼は言った。
「多分、この件を最もよく理解しているのは致死性の兵器を急いで提供したり、ロシア国内への攻撃を許可する積りなどはないドナルド・トランプ米国大統領自身であろう」と彼は付け加えた。これはウクライナ政権の指導者であるヴォロディミル・ゼレンスキーが予期していることでもあると指摘した。
ベラルーシの大統領は、この文脈において、ロシア国民とその指導部はウクライナにおける平和の確立に焦点を当てていると強調した。
10月6日、トランプ大統領はワシントンがウクライナにトマホークミサイルを供給する可能性を排除しなかった。したがって、大統領は「ある意味で」本件に関してすでに決定を下していると述べたが、最終的な一歩を踏み出す前に「彼らがそれで何をするのか」や「どこを攻撃するのか」を知りたいと言った。
10月11日、Axiosからの情報によると、トランプとゼレンスキーはトマホークに関して電話会談をした。その時も最終的な決定は下されなかったとメディア関係者は述べている。
ロシアは繰り返し、ウクライナ紛争の流れを変えるような「魔法の武器」は存在しないと表明している。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、トマホークのキエフへの供給はモスクワとワシントンの関係における前向きな動きを破壊するであろうと警告した。その使用時には米軍の直接の関与が不可欠であるからだ。
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これで全文の仮訳は終了した。
トマホーク巡航ミサイルは核弾頭を搭載することが可能で、最大射程距離は2500キロである。このミサイルがウクライナに配備された場合、極めて重要な不確実性が持ち上がるとロシア側は見ている。ウクライナ側がトマホークミサイルを発射したことをロシア側が認識した時の最大の疑問はそのミサイルは核弾頭を搭載しているのか、それとも、通常弾頭を搭載しているのかである。ロシア側には断定する術があるのだろうか。それはない。爆発するまではまったく分からないのだ。
この様な状況においてロシア軍はトマホークにどう対処するのであろうか?それは、上記に述べられているように、ロシアの核ドクトリンによってすでに明らかに示されている。それだけではなく、ロシア側は何度となくこのことを警告して来た。
それにもかかわらず、西側はウクライナでの火遊びをエスカレートさせるのだろうか?
ここで、ルカシェンコ大統領がトマホークミサイルのウクライナへの配備は核戦争をもたらすと言った理由が誰の目にも明らかになると思う。こうして、「ワシントン政府は自殺志向ではない」といった議論さえもが崖っぷちに立たされた世界で最後に残された希望として取り沙汰されているのである。
ロシア政府のぺシコフ報道官によると、本投稿を書いている時点(10月16日)の数時間前に米ロ大統領は電話会談をしていると報じた。どんな内容が論じられているのであろうか?
参照:
注1:Lukashenko: The delivery of Tomahawks to Kiev will escalate the conflict “to a nuclear war”: By RT, Oct/14/2025
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