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肌を露出しくねくねダンス炎上問題

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日清カップヌードル 社会問題

肌を露出しくねくねダンス炎上問題

日清カップヌードル「腹筋CM」炎上、大手ブランドのネット広告に見る「世間とのズレ」

日清食品「カップヌードル」の新商品CMが話題だ。腹筋を露出し、“エロ要素”を意識させる映像とあって、SNSでは否定の声が大きい。どうしてここまで燃えているのか。その背景を考えると、「ネットの反応」に重きを置くマーケティング手法の課題が見えてきた。

“エロ要素は不要”炎上したCMが制作された経緯

話題になっているのは、2026年4月6日から放送されている「僕がカプヌであなたが麻辣 篇」と題した動画だ。シンガーソングライターによるユニット「WHITE JAM(ホワイトジャム)」のSHIROSE(シロセ)さんと、高校生ボディービルダーとして知られる榎田一王さんが出演している。

これは新商品「カップヌードル 14種のスパイス麻辣湯」のCMで、SHIROSEさんの楽曲「磁石」の替え歌にのせたもの。腹筋を強調するような衣服に身を包み、腰を振り、時には舌を出しながら、商品の特徴を訴求。途中には、観客席らしき場所から舞台上を眺める女性たちの姿も映っていた。

日清食品公式サイトのCM紹介ページによると、「若い女性を中心に大人気の『麻辣湯』」の味が発売されるにあたって、「これは若い女性に伝えなきゃと思い、若い女性に大人気のアーティストSHIROSE(WHITE JAM)さんを起用しよう」となったという。

そして、“14種のスパイス”をアピールするために、「豊富な筋肉を映像内に登場させることで豊富なスパイスを表現できる」として、榎田さんも起用したと説明されている。

新商品「カップヌードル 14種のスパイス麻辣湯」のCM
豊富な筋肉が豊富なスパイスを表現しているという(出所:カップヌードル公式Xより)

このようなCMに対して、SNS上では批判の声が上がっている。「男女が逆だったら、大変なことになっている」や、「家族で食べる商品に、性的な要素を絡めないでほしい」といった内容だ。

筋肉を背景にカップヌードルがある映像に違和感を覚える(出所:カップヌードル公式Xより)

性的な表現で炎上した過去のCM事例

バッシングの多くは、そもそも「性的な文脈での訴求は、食品広告としてアリなのか」というものだ。たしかに過去を振り返ると、何度も炎上が起き、中には放送中止となったCMも存在した。

例えば、13年にはホクトのCMで、要潤さんが鈴木砂羽さんの背後に迫り、耳元で「普通のキノコと立派なキノコ」などとささやいたのが問題視された。16年には、鹿児島県志布志市のふるさと納税PR動画で、“特産品のウナギ”役を演じるスクール水着姿の女性を育てていくという描写に、「性差別では」との指摘が相次いでいる。

また、日清の広告が炎上したのは、今回が初めてではない。16年には矢口真里さんを起用したCMが「不倫騒動をネタにしているのでは」と炎上。19年に大坂なおみ選手をアニメ化したCMも、肌の色のトーンをめぐり問題視された。

一方で、攻めの広報戦略は、日清のお家芸でもある。カップヌードルで言えば、「hungry?」や「FREEDOM-PROJECT」などは、いまでも語りつがれるCMだ。その延長線上に、現在のPR戦術もあるのだろう。

麻辣湯のCMには腰をくねらせるダンスも(出所:カップヌードル公式Xより)

 

ここ数年よく見る“元ネタ乗っかり型”の広告

そこにやってきたのが、ネット広告の波だ。いかに効率よく認知拡大させるかと考えたとき、重要になるのが「拡散したくなるインパクト」。SNSで話題の動画素材を“元ネタ”にすれば、独自コンテンツを作らずとも、その恩恵を受けることができるため、近年よく用いられている手法だ。

ちなみに今回の元ネタと思われるのは、SHIROSEさんがライブで披露した「磁石」のパフォーマンスだ。YouTubeに公式動画があるので、興味のある読者は(自己責任で)見てもいいだろう。比べてみると、カップヌードル版は、これでも本家より、かなり控えめな印象を受けるはずだ。

こうした“元ネタ乗っかり型”の広告は、日清でここ数年よく見られる。23年には、ボーカロイド曲「強風オールバック」をシーフードヌードルに起用。プロモーションビデオを完全オマージュした映像も相まって、ネットユーザーに衝撃を与えた。

同商品のCMでは25年、女子レスリング金メダリスト・吉田沙保里さんによる「風船の連続割り」も披露された。こちらの元ネタは、バラエティー番組の風船割り企画で、吉田さんが驚異的な瞬発力と腕力を見せたこと。SNSで切り抜き動画として拡散されたことで、ネットミーム化したものだった。

“ネットウケ全振り”広告戦略の落とし穴

このように日清は近年、“ネットウケ全振り”の広告戦略を取っている。なお各社報道によると、創業者の孫にあたる現社長は、宣伝関係の会議で、細かいところまで議論を重ねているという。つまりこれらは、トップ公認と言えるのだ。

しかし、ネットメディア編集者の視点からすると、こうしたプロモーションには落とし穴があると感じる。それは「フットワークの軽さは、悪ノリにつながりやすい」ということだ。

広告である以上は、潜在顧客であるところの視聴者への訴求が重要。もし「制作側のやりたいことを押しつけているだけ」に見えてしまえば、購買にはつながらない。結局のところ、視聴者にどのような印象を与えるかが重要になる。

そして今回の場合は、「消費者を置き去りにしている」と感じさせた、もしくは「消費者はこういうのが好きなんでしょ?」という上から目線の印象を与えたことが、問題の根幹にあるのではないだろうか。

もちろん「わかる人にだけ刺さればいい」という場合もあるだろう。とはいえ、カップヌードルは、いまや国民食とも言える存在だ。すでに万人が味わっている商品にもかかわらず、あえてニッチな訴求をすることで、既存ファンがアンチに転じる危険性もある。今回の「家族みんなで食べるものなのに……」といった批判は、そうした違和感から生じたと推測できる。

焦って制作されている可能性

マスコミとネット空間には、「伝わり方の違い」が存在する。マスコミでは万人に向けてアプローチして、総意を形成する。それに対し、ネットではターゲットを絞り、一部の熱狂を原動力とする。そのため、同じ形を応用するのではなく、それぞれの文脈をくんだ訴求をしなければならない。

盤石な知名度を持つ“定番商品”と、それ以外も同様に、求められるコミュニケーションが異なる。認知拡大期にある商品であれば、多少悪目立ちしても、得られるメリットの方が大きい。しかし、知名度の高い商材では、デメリットの方が大きくなることもあり得る。

こうした違いがあるからこそ、「ネットミームに乗っかった定番ブランドの広告」は、アンバランスにならないように、慎重さが欠かせない。一方で、質の担保が難しい特性もある。ネットの流行は一過性で、わずか数日でも「過去の話」になってしまうため、焦って制作される可能性があるためだ。

日清と同様に、ここ最近ネット広告で攻勢をかけている企業として、「マクドナルド」がある。同じく定番ブランドであり、類似するリスクを抱えているのだが、こちらで先日、SNS動画をめぐった謝罪事例があった。

マクドナルド公式サイトは3月26日、ドーナツ商品のSNS投稿において、「制作過程を確認いたしましたところ、そのプロセスが不十分であった点がございました」として、「きつね(仮)様にお詫び申し上げました」と報告。今後は「正しいプロセスに則り、多くのお客様に楽しんでいただけるよう努めてまいります」としていた。

「世間の感覚」を意識する必要性

報告文だけを読むと、抽象的すぎて意味がわからないので、簡単に背景を説明しよう。マクドナルドが商品プロモーションの一環として、ネット上で人気の二次創作キャラクターを起用。しかし、そのキャラのデザインが、きつね(仮)さんの素材と似ているとの指摘が続出した――といった流れだ。

どのように「プロセスが不十分」であったかが示されていない以上、臆測で語るしかないが、もしかすると、ここには「焦りによるクオリティーコントロール不足」があったのではないか。

これらの事例を見ていると、そろそろ「大手企業によるネットミーム系広告」には限界が来ているのではと感じる。かつては「日清やマクドナルドほどの会社が、そのノリをやるとはwww」といった意外性があったが、ここまで乱発されると意外性もなくなる。

正直なことを言うと、筆者は今回の腹筋露出CMを見た当初、「またやってるな」と感じるだけだった。そこには肯定も、否定もない。まさに麻辣のように、刺激ばかりを浴び続けてきた結果、感覚がマヒしつつあるのかもしれない。

もしかすると制作サイドも、チキンレースのように「どこまで攻められるか」を繰り返すうち、一般常識とのギャップが広がっているのかもしれない。私自身も含めて、改めて「世間の感覚」を意識する必要があるな、と反省する事案だった。







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