このまま進行すれば、ホルムズ海峡の開放など夢の彼方へと
フィンランドの経済学准教授の主張が少しずつ現実に
最近の中東の状況を見ていると、2023年にフィンランド・ヘルシンキ大学の経済学准教授であるトゥオマス・マリネン氏が述べた世界へますます近づいているように感じます。
マリネン准教授の主張は、こちらの In Deep 記事にあります。この時には、あくまでもガザ侵攻の後のイスラエル・パレスチナ戦争の発展の中での話でしたが、マリネン准教授の主張から 2年半経ち、その内容が現実化しつつあります。
マリネン准教授は、イスラエル・パレスチナ戦争の「最悪のシナリオ」として以下のように主張していました。
マリネン准教授が2023年10月10日に上げた10の最悪のシナリオ
1. 紛争は地域戦争にまでエスカレートし、米国も直接関与することになる。
2. OPECは石油禁輸で対抗。
3. イランがホルムズ海峡を封鎖。
4. 原油価格は 1バレルあたり 300ドルに達する。
5. ヨーロッパは LNG 不足により本格的なエネルギー危機に陥る。
6. エネルギー価格の大幅な高騰はインフレを再活性化し、中央銀行もそれに応じて対応する。
7. 金融市場と世界の銀行セクターは崩壊する。
8. 米国は債務危機に見舞われ、連邦準備制度はさらなる金融市場救済策の制定を余儀なくされる。
9. オイルダラー貿易は崩壊する。
10. ハイパーインフレが発生する。
現実としては、たとえば日本やいくつかのアジアの国々のように、「石油や天然ガス由来の原材料(ナフサやヘリウムなど)」の不足により、医療や食糧供給(パッケージなど)、建築などに壊滅的な影響を与えつつある」(あるいは、すでに影響が出ている)という、マリネン氏の推測にはなかった事態も起きています。
あるいは、マリネン氏は、上の「2」で、「OPECは石油禁輸で対抗」と書かれていましたが、現実に起きたことのひとつとして、
「アラブ首長国連邦が OPEC を脱退する」
という混沌とした展開さえ作り出しています。
さらに、その後、起きたこととしては、
「アラブ首長国連邦に残された唯一のパイプラインによる石油輸出拠点の港が攻撃」
されています。
アラブ首長国連邦はイランへの軍事対応を検討
イランが行ったことかどうかも明確ではないですし、損傷の程度も不明ですが、爆撃されたアラブ首長国連邦 (UAE)のフジャイラという地帯は、ホルムズ海峡の外側に位置しており、原油を1日あたり約100万バレル輸出していた場所であり、事実上の同国の唯一の石油輸出拠点だったようです。
黒煙を上げるフジャイラ石油産業地帯
thehindu.com
以下のように報じられています。
UAEは、イランがドローンで石油輸出施設を攻撃したと発表した
イランがアラブ首長国連邦のフジャイラ石油輸出地帯をドローンで攻撃したと、同地帯の関係者が 5月4日に発表した声明で明らかにした。
アラブ首長国連邦政府が運営するフジャイラ・メディア・オフィスは、アラビア語で書かれたXの投稿を英語に翻訳し、イランから発射されたドローンが原因とされる「火災の発生」を確認した。
フジャイラは、UAE 国内で唯一の石油輸出地域だ。ホルムズ海峡の外側に位置するフジャイラは、アラブ首長国連邦のムルバン原油を 1日あたり約 100万バレル輸出する拠点であり、これは世界の需要の約1%を占めている。
Epoch Times 2026/05/05
このフジャイラ地帯が完全に機能を失った場合、UAE は、石油の輸出拠点を失うことになります。
また、ホルムズ海峡や周辺海域での「船舶への攻撃」も活発となっていまして、英国海上交通局(UKMTO)によれば、2026年5月に入ってからの船舶への攻撃は 6件となっていまして、ほぼ毎日のように船舶への攻撃が起きていることになります。
これも「誰が攻撃しているのか」が明白な事案はないです。
このような中で、アラブ首長国連邦は、
「軍事対応を検討する」
と報じられています。すでに、アラブ首長国連邦は「すべての学校で、授業をオンラインに切り替える指示」を出しています。
UAEが軍事対応を警告
UAEによる新たな公式声明:
「アラブ首長国連邦は、ミサイル、ドローン、巡航ミサイルを用いて国内の民間施設を標的としたイランによる新たな攻撃を強く非難する。この攻撃により、インド国民 3名が負傷した」
「外務省は声明の中で、これらの攻撃は深刻かつ無謀なエスカレーションであり、国家の安全と安定に対する明白な侵害であるとともに、国際法および国連憲章の原則に対する明らかな違反であると断言した」
そして UAE は、進行中の「侵略と挑発」に対して軍事的に対応する権利があると脅迫した。
UAE は、自国の安全保障と主権に対するいかなる侵略も容認しないこと、そして国際法に従い、国家安全保障と国民および居住者の安全を完全に保護する形で、これらの攻撃に対し全力かつ断固とした対応を取ることを強調した。
zerohedge.com 2026/05/05
続いて、小国バーレーンが「国家非常事態を宣言」しました。
バーレーンの場所
hugkum.sho.jp
ホルムズ海峡周辺は混沌とした戦争状態となりつつある
さらに、オマーンにも脅威が迫っていると報じられています。
アラブ首長国連邦、バーレーン、オマーンが脅威にさらされる
UAEの防空システムは本日 (5月5日)、イランからの複数のミサイルとドローンの脅威に積極的に対応しており、国防省は 4発の巡航ミサイルが同国に向かっているのが探知され、3発は領海上で迎撃に成功し、残りの 1発は海に落下したことを確認した。
防空システムが反応したため、ドバイ地域で爆発が報告され、国家緊急危機災害管理庁(NCEMA)が公共安全警報を発令した。
フジャイラでは、イランのドローンが石油産業ゾーンを攻撃し、UAE のホルムズ海峡バイパスの主要拠点である VTTI 施設を含む重要な石油輸出ターミナルで火災が発生した。
英国海事貿易作戦(UKMTO)は、ドバイの北約36海里の貨物船で不審な活動と火災が発生したと別途報告したが、原因は不明だ。
これらの事件は、ホルムズ海峡における米イラン間の緊張の高まりを背景に発生した。
zerohedge.com 2026/05/05
中東の湾岸諸国全体が戦争に引き込まれていく状況のようにも見えますが、そうなった場合、ホルムズ海峡の開放など、ずーっと先の夢のまた夢ということにもなり得るわけで、日本への影響も持続しそうです。
トランプ米大統領は 5月3日、米国「プロジェクト・フリーダム」を通じてホルムズ海峡で立ち往生している船舶の解放を支援すると発表していますが、大統領は相変わらず言うことが支離滅裂で、信用できる部分はまったくないですので、私自身は米国の主張は無視しています。
ちなみに、今日(5月5日)、アメリカ空軍の空中給油・輸送機が「緊急コードを発信しながら降下」したことが示されています。墜落したのかどうかは不明です。
以下に出てくる「スプーフィング」は、偽の衛星信号を送信して航空機の受信機を騙し、誤った位置や時刻を認識させるサイバー攻撃で、「ジャミング」は、GPS等の信号に強力なノイズを被せ、航空機の位置測定を妨害する行為です。
速報:ホルムズ海峡上空で信号喪失前の米 KC-135R ストラトタンカー航空機は一般緊急コードを発信しながら降下し、カタールに向かっていた。墜落したのか着陸したのかは不明。
また、過去1時間にわたり、ホルムズ海峡上空で強力な地域レベルのAIS/GPSジャミングおよびスプーフィングが確認されている。
この KC-135 機の動きを見ると、以下のように何だか無茶苦茶な軌道を描いています。
このスプーフィング(かもしれない状態)は、海路でも見られていて、ホルムズ海峡周辺の海域にいる船舶の動きがムチャクチャになっているようです。
ホルムズ海峡あるいは周辺海域とそこに面する国々での戦争色が濃くなっています。
厳しい夏になりそうです。
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このような状態だとホルムズ海峡封鎖どころかUAEなどの産油国からの原油輸出が
止まるばかりか日本は本当に原油不足に陥ります。
今は何とか備蓄でしのいでいますが、備蓄が尽きたら後はないでしょう。
ホルムズ海峡経由の原油に95%依存している日本が他国からの原油輸入に切り替え
を図ると言っても数か月で95%代替え出来るはずはありません。
このまま続けば来年の春前に原油が従来の5割以下に減ります。
5割減るということは経済活動が5割減るどころの話ではありません。
このまま座して見守るしかないのだろうか?




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