ワクチン3回目接種まずは18歳以上 職域でも実施へ 副反応は…?
2021年11月10日 20時54分
新型コロナウイルスワクチンの3回目接種は来月にも始まる予定です。厚生労働省はファイザーのワクチンの使用を承認する方針を決め、接種を始める時点では対象を18歳以上にするということです。
また職域接種でも行われる方針も決まり、来年3月をめどに始まる方向です。気になる3回目接種の副反応や有効性も含め、最新の情報をまとめました。
■ファイザーワクチン承認了承 対象は18歳以上に
3回目の接種について、厚生労働省は2回接種しておおむね8か月以上たった人を対象にする方針で
▽医療従事者は来月から
▽高齢者は来年1月から
接種が始まる予定です。
10日は厚生労働省の専門家部会が開かれ、3回目の接種に使うファイザーのワクチンを承認することが了承されました。
厚生労働省によりますと、海外の治験で接種から1か月後にウイルスの働きを抑える中和抗体の値を調べたところ、3回目の接種後は2回目に比べておよそ3.3倍に上昇したことが確認されたということです。
一方、18歳未満に対する有効性や安全性のデータが不足していることから、接種を開始する時点では対象を2回目までの12歳以上から18歳以上に引き上げることになりました。
また2回目の接種から少なくとも6か月が経過していることも条件としています。厚生労働省は11日にも正式に承認する方針です。
早ければ来年2月には18歳未満で3回目の接種の対象になる人がいると見られ、厚生労働省はファイザーから追加のデータが提出され次第、対象年齢の引き下げを検討することにしています。
<副反応>“2回目接種と同程度”
ファイザーなどの発表によりますと、海外で行った治験では3回目の接種後の副反応は2回目までと同じ程度だったということです。
▽2回目の接種を受けた16歳から55歳の2682人と
▽3回目の接種を受けた18歳から55歳の289人について
それぞれ接種から7日以内の症状を分析した結果です。
▽けん怠感は2回目が61.5%、3回目は63.7%
▽頭痛は2回目が54%、3回目は48.4%
▽筋肉痛は2回目が39.3%、3回目は39.1%
▽38度以上の発熱は2回目が16.4%、3回目は8.7%の人で
確認されたということです。
<有効性>海外でさまざまな報告
海外ではファイザーのワクチンを3回接種した場合の有効性をめぐってさまざまなデータが報告されています。
1. “死亡 入院 重症化リスク↓” イスラエル研究
このうちイスラエルで行われた大規模調査では、3回目の接種から7日以上たった人は2回目の接種から5か月以上たった人に比べ
▽死亡するリスクが81%
▽入院するリスクは93%
▽重症化するリスクは92%
それぞれ低下したとする研究結果が報告されています。
2. “3回目を受けなくても効果持続” 米研究
熊本 阿蘇山 現在の様子は
ワクチン3回目接種まずは18歳以上 職域でも実施へ 副反応は…?
2021年11月10日 20時54分
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新型コロナウイルスワクチンの3回目接種は来月にも始まる予定です。厚生労働省はファイザーのワクチンの使用を承認する方針を決め、接種を始める時点では対象を18歳以上にするということです。
また職域接種でも行われる方針も決まり、来年3月をめどに始まる方向です。気になる3回目接種の副反応や有効性も含め、最新の情報をまとめました。
■ファイザーワクチン承認了承 対象は18歳以上に
3回目の接種について、厚生労働省は2回接種しておおむね8か月以上たった人を対象にする方針で
▽医療従事者は来月から
▽高齢者は来年1月から
接種が始まる予定です。
10日は厚生労働省の専門家部会が開かれ、3回目の接種に使うファイザーのワクチンを承認することが了承されました。
厚生労働省によりますと、海外の治験で接種から1か月後にウイルスの働きを抑える中和抗体の値を調べたところ、3回目の接種後は2回目に比べておよそ3.3倍に上昇したことが確認されたということです。
一方、18歳未満に対する有効性や安全性のデータが不足していることから、接種を開始する時点では対象を2回目までの12歳以上から18歳以上に引き上げることになりました。
また2回目の接種から少なくとも6か月が経過していることも条件としています。厚生労働省は11日にも正式に承認する方針です。
早ければ来年2月には18歳未満で3回目の接種の対象になる人がいると見られ、厚生労働省はファイザーから追加のデータが提出され次第、対象年齢の引き下げを検討することにしています。
<副反応>“2回目接種と同程度”
ファイザーなどの発表によりますと、海外で行った治験では3回目の接種後の副反応は2回目までと同じ程度だったということです。
▽2回目の接種を受けた16歳から55歳の2682人と
▽3回目の接種を受けた18歳から55歳の289人について
それぞれ接種から7日以内の症状を分析した結果です。
▽けん怠感は2回目が61.5%、3回目は63.7%
▽頭痛は2回目が54%、3回目は48.4%
▽筋肉痛は2回目が39.3%、3回目は39.1%
▽38度以上の発熱は2回目が16.4%、3回目は8.7%の人で
確認されたということです。
<有効性>海外でさまざまな報告
海外ではファイザーのワクチンを3回接種した場合の有効性をめぐってさまざまなデータが報告されています。
1. “死亡 入院 重症化リスク↓” イスラエル研究
このうちイスラエルで行われた大規模調査では、3回目の接種から7日以上たった人は2回目の接種から5か月以上たった人に比べ
▽死亡するリスクが81%
▽入院するリスクは93%
▽重症化するリスクは92%
それぞれ低下したとする研究結果が報告されています。
2. “3回目を受けなくても効果持続” 米研究
一方、3回目の接種を受けなくてもワクチンの効果は持続するという報告もあります。アメリカの研究では
◇入院を予防する効果について2回目の接種から1か月以内と5か月後以降で比べたところ
▽16歳から44歳では88%が90%に
▽45歳から64歳では91%が90%に
▽65歳以上では84%が83%と
同じ程度でした。
ただし
◇感染を予防する効果は
▽16歳から44歳では89%が39%に
▽45歳から64歳では87%が50%に
▽65歳以上では80%が43%に
低下したということです。
<専門家>「第6波の可能性高い 3回目を進めていくのは大事」
3回目の接種について北里大学の中山哲夫特任教授は「新型コロナに限らずほかのワクチンでも効果がいつまで続くかは分からないことが多いが、今までのワクチンでも効果は年単位で下がってきて抗体レベルが落ちてくると感染して重症化する人が出てくる。現在、感染者数は少なくなってきているが流行の『第6波』が起こる可能性は高く高齢者など重症化しやすい人や医療従事者に3回目のワクチンを進めていくのは大事なことだ。感染対策を進めるうえでの選択肢としても重要なものになると思う」と話しています。
また2回目までとは異なるワクチンを打つことや3回目の接種の副反応については「同じ会社のワクチンを2回打ったら3回目も同じものを打つのが原則だと思うが、同じ『メッセンジャーRNAワクチン』であれば効果や副反応に大きく違いがあるわけではないので異なるワクチンを打っても大きな違いはないと思う。副反応についても2回接種の際の頻度と同じかそれより軽いという報告が海外から複数あるため、あまり気にする必要はないのではないか」と話しています。
■職域接種も実施へ 来年3月めど
企業や大学などで行う職域接種についてです。
政府は当初、3回目の接種は原則自治体で行うことを検討していましたが、職域接種でも行う方針を決めました。条件が整えば職域接種が始まって8か月後の来年3月をめどに3回目の接種を始める方向で調整しています。
企業や大学などで行う職域接種についてです。
政府は当初、3回目の接種は原則自治体で行うことを検討していましたが、職域接種でも行う方針を決めました。条件が整えば職域接種が始まって8か月後の来年3月をめどに3回目の接種を始める方向で調整しています。
この会社では首都圏の1都3県で働く従業員およそ1万2000人に、ことし6月から9月にかけて1回目・2回目の職域接種を実施しました。
3回目の接種についてもこれまでと同様に丸の内の本社ビルなど合わせて2か所の会場で1日700人程度の接種を行う計画です。政府から接種の時期や条件など3回目の職域接種の具体的な内容が示されたら、会場の予約など具体的な準備を進める予定です。
明治安田生命の浅野芳一人事部長は「お客さまとの接点が多いことや従業員の利便性、安全確保の観点から職域接種は会社にとってもメリットが大きいので3回目が可能ならば速やかに対応したい。会場などの準備を進めるためにもスケジュールをなるべく早く示してもらいたい」と話していました。
■新型コロナ対策全体像 政府原案
そして次の感染拡大に備えた対策の全体像について岸田総理大臣は12日に示す考えを表明していて、その原案が判明しました。
1. ワクチン接種
ワクチン接種は
▽来月から3回目の追加接種を始め、2回の接種を受けてからおおむね8か月以上がたった対象者のうち希望者全員が接種を受けられるようにするとともに
▽職域接種については2回の接種を受けた人のほぼすべてが対象者として認められれば、来年3月をめどに3回目の接種を始めるとしています。
治療薬の開発に向けて1つの治療薬当たり最大およそ20億円の開発費用を支援し、軽症者向けの飲み薬については年内の実用化を目指すとしています。
2. 医療提供体制
医療提供体制を強化するため
▽今月中にことしの夏よりも3割多い患者が入院できる体制を構築したうえで
▽来月以降は毎月、医療機関ごとの病床の確保状況や使用率を公表するなど徹底的に「見える化」するとしています。
3. 検査・接種証明
▽健康上の理由などでワクチン接種を受けられない人を対象に、来年3月まで予約不要で無料のPCR検査などを受けられるようにするほか
▽感染が拡大している場合には、都道府県の判断で無症状でも無料で検査を受けられるようにするとしています。
このほか年内にワクチン接種証明書をデジタル化し、国内でも利用可能とする方針も盛り込まれています。
政府は12日に対策本部を開き、こうした内容を盛り込んだ新型コロナ対策の全体像を取りまとめることにしています。
■“1,2回目接種 5歳~11歳も” ファイザーが承認申請
一方、10日はこれまでワクチン接種の対象になっていなかった年齢層についても動きがありました。ファイザーは新型コロナウイルスのワクチンの対象をこれまでの12歳以上から、5歳以上に拡大するよう厚生労働省に承認申請しました。
ファイザーなどによりますと、1回目と2回目の接種について5歳から11歳も対象に加えるよう厚生労働省に承認を申請したということです。
国内で承認されているほかのワクチンは対象年齢が
▽モデルナは12歳以上
▽アストラゼネカが18歳以上となっていて
12歳未満を対象に承認申請が行われるのは初めてです。
厚生労働省はファイザーから提出された海外の治験のデータをもとに、有効性と安全性を審査したうえで承認の可否を判断することにしています。
ファイザーのワクチンをめぐっては先月、アメリカのFDA=食品医薬品局がそれまで12歳以上としていた緊急使用の許可の対象を変更し、5歳から11歳の子どもも対象に追加しています。
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