CDで可聴域外の周波数を除外したのが間違い、実は音は耳だけでなく全身で聴いている。全身器官では可聴域外の音を捉えている。
まず中学生時代の私の思いで話をさせていただきます。
興味のない方は、この部分をスキップしていただければと思います。
中学校の同級生にK君がいて、彼は(いわいる)ラジオ少年と言われる人でした。
ラジオの受信部分であるチューナー回路を自ら設計し、秋葉原のジャンク街(中古の電気製品と部品を売っている)で買ったジャンク品から部品を取り外し、それらを組み合わせてチューナーを完成させるという、当時の私にとってスーパーマンのような存在でした。
K君は夏休みになると、秋葉原までの電車の定期を買って、ほぼ毎日通うぐらいのマニアでした(今の秋葉原はアニメの聖地でもありますが、当時は純粋な電気街でした)。
そんな友人を見ていると、自分でも何か作れそうな気がしてくるから不思議です(若さゆえでしょうか)。
レコードで音楽を聴くのが好きだった私は、ステレオアンプなるものを作ってみようと思い立ったのです。
もちろん電気回路の知識はゼロです。
当時の私は、負荷(ふか)を「ふに」と呼んで、K君を驚かせたぐらいです。
本屋で買ったステレオアンプの作り方の本を眺めているうちに、「よし!、いっちょ真似して作ってみよう」と一念発起しました。
電気回路の知識はゼロでも、本に載っていることを完璧に真似すれば動くはずだと思ったのです。
お金が無かった私は、新聞配達をしてお金を貯めました。
2万円ほど貯まったので、新聞配達を止め、アンプ作りに専念することにしました。
秋葉原で買ったプリント基板に油性ペンで回路を書き込み、塩化第二鉄の溶液に浸します。しばらくすると油性ペンで描いた部分以外は溶けて、電気配線の回路が浮かび上がります。そこに、トランジスタ、抵抗、コンデンサを挿し込む穴をドリルで空けます。
完成した回路に部品を差し込み、はんだ付けします。
本体となるシャーシ(電子機器を組み込むためのフレームや筐体)にも可変抵抗を付ける穴などを空け、完成したプリント版と配線します。
そうした作業を毎日、夢中で続けました。
それで一応完成したのですが、電源をオンするまでに、何度も何度も配線のチェックをしました。
なにしろ電気回路の知識はゼロです。音が出なくても修理する知識がありません。配線を間違って、煙を吹くかもしれないのです。
試運転の音源は、秋葉原のジャンク街で買った中古のFMチューナーにしました。
FMチューナーの出力をアンプの入力に繋ぎ、アンプの出力はこれもジャンク街で買った裸の小さなスピーカーに繋ぎました。
そして、覚悟を決めてアンプの電源をオンにしたのです。
果たして、音は出たか……。
出ました!
電源オンの前はドキドキしたのですが、いったん音が出ると、ああ、こんなものか……、という感じでした。
今にして思うと、作る工程が一番楽しくて、完成してしまうと興味が無くなってしまうのだと思います。
その後、レコードプレーヤーを買って、当時流行っていたフォークソングや、サイモンとガーファンクルの曲などを聞いていました。
この中学生のステレオ体験は、私にとって忘れられないものとなっています。
すみません、長々と話してしまいました。
私にとって手作りのステレオアンプから流れるレコードの(アナログ)音は特別な想い出となったのですが、時代の流れで、レコードプレーヤーは急速にCD(デジタル)にとって代わられました。
今週は、そうしたアナログ、デジタルの変遷の話です。
先週に続き、『アナログの逆襲』(船瀬俊介著、ヒカルランド)から抜粋して紹介させていただきます。
・・・<『アナログの逆襲』、p38~p40から抜粋開始>・・・
1982年CDデビュー、5年でLPを駆逐
●透明な音貿・繊細な再現
CDの登場は革命的だった。
まず、オーディオマニアが狂喜した。
クリアサウンド。透明な音質。繊細な再現力……。
その称賛は、限りない。
そもそもCDとは、いったいどんな音なのか……?
「……レコードは、人間が聞き取れる可聴域(20~20000ヘルツ)以外の音も記録しますが、CDでは記録を最適化しており、可聴域間の音のみを取り出して、デジタル処理(サンプリング)して記録しています」(『オーディオTOPICS』)
つまり、自然音をデジタル処理して、再生する。それがCDなのだ。
だから、人工音である。ただし、細密にデジタル処理するので、細密な音まで再現可能。これは、デジタル映像にも通じる。デジタル情報量を極大にする。すると、画像は……4K……8K……と驚くほど精彩になる。
「……肉眼で見えないものまで、見える……!」
大画面で見ると、4K、8K……。迫力は言葉にできないほどだ。
同様にCDデジタル音源は、それまで聞き取れなかったような音まで再現する。
指揮者の腕時計の音まで……は、さすがに、ありえないが……。
最初にCD再生音に接したマニアの驚嘆が伝わってくる。
つまりは、限りなく透明なクリアサウンド--。
●爆速普及わずか5年でレコード市場は壊滅
CDの起源はアメリカ発明家J・ラッセルに起因する。
彼は1965年、音楽用光学メディア・テクノロジーを考案する。この画期的発明に着目したのがソニーとフィリップス。2社は1979年、共同開発をスタートさせる。
開発の歴史は意外に新しい。1981年、ドイツでカラヤン指揮の交響曲が世界で初めてCD録音された。こうして、1982年、CDは世界的にデビュー。そして、ソニー、日立、日本コロムビアなどから続々とCDプレーヤーが発売された。
まさに、CD時代の到来である。それは、爆速という表現がふさわしい。
発売からわずか5年後には、それまでのレコード売り上げを追い抜いてしまった。
アッという間である。昔懐かしいSPやLPは、一瞬でCDに駆逐されてしまった。
消費者がCDに殺到したのは“クリア”な音質以外にも訳があった。
まず、CDは直径12センチとコンパクト。直径30センチ余りのLPより、取り回しや収納が楽だ。LPなどは溝に針を下ろすのが面倒……。しかし、CDはディスクをトレイに置くだけ。あとは自動収納でクリアな音が楽しめる。加えて、CDは各曲の頭出しがワンタッチOK(AMS:オートマチック・ミュージック・センサー)。加えて、全曲/一曲/部分の3パターンを選曲できる!(リピート・プレイ機能)……など。
当初CDプレーヤー価格は16万円前後と、かなり高額。それでも、飛ぶように売れた。こうして、CDは音楽業界……いや、音響業界に一大革命をもたらした。
古臭い旧式LPプレーヤーは、一瞬で姿を消した。街からはLP専門店も消滅した。
昔懐かしい……どこか人間臭い音源は、もう二度と帰って来ることは、ないだろう……。
・・・<抜粋終了>・・・
愛着のあった手作りアンプとレコードプレイヤーですが、就職して4畳半一間のアパートに住むことになり、とても置くスペースがないので、持っていたレコードも含めて人にあげてしまいました(今にして思うと、レコードだけでも取っておけばよかったと後悔しています)。
学生の頃と違い、就職するとのんびり音楽を聴く暇もなくなってしまいました。
それゆえ、世の中が急速にレコードからCDになったことを実感できず、気がついたらレコードが無くなっていたという感じです。
しかし、その無くなったはずのレコードが復活しているというのです。
・・・<『アナログの逆襲』、p40~p45から抜粋開始>・・・
見よ! 世界の音楽業界で始まったアナログの逆襲
●2022年、米国でLPがCDを追い抜く
……と、だれもが思っていた。
しかし、しかし--。
だれもが思わぬことが出来(しゅったい)した。まさに椿事(ちんじ)である。
だれもが気づかぬまにLPプレーヤーの売り上げが、CDプレーヤーを追い抜いたのだ。
LP盤の売り上げがCD盤を追い抜いた。
エ、エエ……! ウッソー。いつのまに……。だれもがキョトン、唖然とする。
耳を疑う。目を疑う。そんなことあるの? あるのである。
それは、日本だけではない。全世界で、珍現象が起こっている。
たとえば、米国レコード協会の発表によれば、2022年売り上げ枚数でLPなどのレコードがCDを追い抜いている。
この年、アメリカ国内でのCD売り上げ枚数は3300万枚、LPレコードなどは4100万枚。なんと800万枚(+24%)もの大差で、ぶっちぎり。驚異の逆転で、アナログがデジタルを抜き返したのだ。
まさに……アナログの逆襲……。
「……1988年にレコードがCDに抜かされて以来、初の快挙となる」(『オーディオTOPICS』前出)。
●“温もり”“本物”vs“冷たさ”“偽物”
この動きは、アメリカ国内だけの現象ではない。
日本を含め、全世界的な現象なのだ。
日本でも、1998年をピークにCDの売り上げは急減している。
それに反比例して、アナログレコードの生産は右肩上がりで急増。
その売り上げも2020年から急角度で激増している。まさに、ロケット状態だ。
たとえば、2023年の年間生産量は前年比126%増の269万1000枚。
金額は前年比145%の62億6700万円。これは、1989年以来、34年ぶりの60億円超えとなった。レコード完全復活である。
まさに、デジタルからアナログへ……。
その回帰現象の典型的な現れというべきだろう。
この逆トレンドの背景には、音楽ファンたちの逆カルチャーショックがある。
デジタル音響に耳を慣らされてきた人々は、はじめてLP音響を聴いて驚愕する。
「……ここに、本物のサウンドがある!」
「なんなんだ! この温もりとやさしさは」
米国のテックメディア『ザ・ヴァージ』は、こう解説する。
「……多くのオーディオマニアたちは『レコード盤にはデジタル盤に比べて“温かみ”があり、より本物らしい』と口を揃えている」
“温もり”“本物”らしさ--。
これがキーワードだ。
逆にいえば、彼らはCDに以下を感じていた。
“冷たさ”“偽物っぽさ”--これが敗因なのだ。
同記事は、さらに以下のように続ける。
「……レコードの黄金期を生きた人々が、再びノスタルジーに駆られていることに加え、若い世代もレコードを購入している」
●CDプレーヤー壊滅、LP装置にシフト
若者世代にとって、LPは“古いどころか”新しい体験だ。
かれらの口調を借りれば「ナニこれ?」「チョー温けーじゃん!」「カッケー!」
若者たちは、大ぶりLP装丁にも魅かれている。
グラフィックなテイスト。大判ならではのアート感覚。インテリアとしても決まる。
ちなみにアメリカで2022年、レコード盤で最大ヒットしたのは女性歌手テイラー・スウィフトで約170万枚。
これは、かつてのビートルズの55万3000枚の3倍超という売り上げ枚数だ。
そして、わが国でも異変が起きている。
それが“オンキョー”“サンスイ”などかつて栄華を極めたオーディオ専門メーカーの低迷だ。まさに、昔日の影もなし。重ねて、家電量販店などでもCDプレーヤー売り場が、いつのまにかLPプレーヤーに取って代わられてしまっている。
まさに、まさに、いつのまに……。
外国映画などを観ても、大富豪の居間のシーン。ブランデーグラス片手に、美女にめくばせして主人公は豪華なオーディオ機器のLP盤にダイヤモンド針を落とす。温かい音楽が流れ、美女はうっとりと流し目を送る。これが、もはや、あたりまえのシーンなのだ。CDをトレイに載せて挿入などは、ムードぶちこわしでダサイのだ。
文字通り驚異ともいえる逆転劇……。だれもが目を疑うアナログの復活だ。
はたして、このような事態を予想した市場関係者、音楽関係者がいただろうか?
・・・<抜粋終了>・・・
レコードの復活は、昭和世代の中高年がノスタルジアに浸っただけではないようです。
レコードを知らない若い世代が、レコードの音を聞いて魅かれているというのです。
若い世代にとっては、レコードは“新しいツール”と映ったようです。
・・・<『アナログの逆襲』、p47~p52から抜粋開始>・・・
●人類の“本物への目覚め”
「……収益ベースでは、レコードは2020年の時点ですでにCDを抜いていた。2022年のレコード売り上げは前年比17%増の12億ドルで、16年連続で売り上げを伸ばしている」)『オーディオTOPICS』前出)
これはもはやブームという名では片付けられない。
まさに“アナログの復活”だ。というより、人類の“本物への目覚め”というべきかもしれない。
「……近年アメリカでは、ソニーやオーディオテクニカなどから、ブルートゥース接続など最新技術に対応したレコードプレーヤーが登場している。レトロブームに乗り、レコードへの回帰は、まだまだ続きそうだ」(同)
10年で売り上げ23倍!
レコード再燃を支える若者たち
●アナログ盤は“新しいツール”
「……いまや、音楽の楽しみ方といえば、デジタルの配信サービスが主流だが、数年前からアナログレコードの売り上げが大きく伸びている。米国では、CDの売り上げを超え、日本でもこの10年で約23倍という爆発的な売れ行きだ。しかも、米国のレコード購入者の約6割は30代前半以下。レコードを知らない世代が、アナログ盤を“新しいツール”として所有する」(『集英社オンライン』)
このトレンドを、まったく知らないのが皮肉なことに中高年世代なのだ。
「CDプレーヤー売り場がLPプレーヤーに変っちゃったよ」
「エエー、嘘だろう。ありえねぇよ」
昭和レトロ世代が、逆に流れに取り残されている。
しかし、音楽業界ではもはやCD全滅。LP復活。これは常識なのだ。
図版5は、LP販売専門店の展示コーナー(管理人注:写真は略)。
カラフルな表装LPが壁一面にズラリ。人気のアナログレコードは、入荷するとすぐに完売するという。
●“ぜいたく”“心地好い”“楽しみ”
「……米国では2020年に、アナログ盤の売り上げが34年ぶりにCDを超えた。英米よりも配信サービスの普及が遅れたため文化が根強く残り、とくに“ガラパゴス”と揶揄される日本でも、レコードに関しては同様の傾向が見られる。アナログレコードが底をついた2010年の1億7000万円から2021年、約23倍、39億円と爆発的な伸びを見せている」(『集英社オンライン』)
渋谷には、国内最大級のアナログ専門店もオープン。音楽販売大手タワーレコードが経営している。その名は“タワー・ヴァイナル・シブヤ”。7万枚ものレコードを常備、展示している。店内はお目当てのレコードを探す若者たちでごった返している。
「……20代の男子大学生は、『1~2年前、好きなアーティストがレコードを出したことを機に聴くようになった』という。『レコード店に通ううち、他のアーティストや古い曲にも興味が出てきた。とくに昔の曲は音が“ぜいたく”で、“心地好く”感じる。夜にリラックスできるので聴いている』と話す」(『JIJI.COM』)
LPの温かい音楽に癒されている姿が、目に浮かぶようだ。
他の男子学生も同様にアナログレコードの魅力を語る。
「……『デザインが“かっこいい”ので、ジャケットを部屋に飾っています。レコードをセットして、針を落として……と準備に手間がかかる分、聴くのが“楽しみ”になる』と語った。半年前に、(LP)プレーヤーを購入し、ロックやジャズなどの20枚ほどを集めたという。この日は、5000円ほどの海外ロックバンドのアルバムを選んだ。『少し高いけれど、好きなのでこれからもコレクションを増やしたい』」(同)
●レコードを選ぶアーティストたち
タワーレコードも、11年から21年にかけて、レコード売上は25倍に跳ね上がった。
関係者もピックリだろう。
「……10年前の客層は40代以上が大半だった。しかし、近頃は30~40代が中心で、高校生や大学生も増えている」
また、あえてレコードで楽曲を出すミュージシャンも増えている。
邦盤でも、2022年は462タイトルもレコード盤で録音、販売されている。
10年前は、わずか38タイトルだから、12倍もLP盤やSP盤が売られているのだ。
70代の私には、まったく信じられない現状だ。
オーディオのプロは、解説する。
「……若手アーティストの動きが盛んになったのは、この2、3年のこと。デジタルとは異なる“音の良さ”や、昔のレコードで再発売する先輩を見て“かっこいい”という雰囲気が生まれたよう。レコードのジャケットを使って自分の音楽を表現する楽しみを味わいたい、という思いもあるのでは……」
●外国客が一人10枚以上買う!
だから、一種のレトロブームも起こっている。過去作の再レコード化だ。
たとえば、山下達郎の1970~80年代のアルバム8作品をレコード盤にしたところすぐに売り切れ。追加生産した。その他、復刻版ヒットがあいつぐ。50年前の昭和のヒット作品なのに、飛ぶように売れている。
さらに驚きは、外国からの客がレコードに殺到していることだ。
たとえば前出の“ヴァイナル・シブヤ”では、客のほとんどを外国人が占める時間帯もある。彼らは円安もあって、一度に10枚以上のLPを買い漁る客も少なくない。
「……日本で売っているジャケットの保存状態がいいのは、海外でも有名」
来日するたびに、レコード店を訪れる、という外国人ファンも多い。
もはや、レコード過熱は一過性ではない。
世界中の若者たちに定着していることは確実だ。
・・・<抜粋終了>・・・
一度廃れたはずのアナログレコードがデジタルCDを凌駕してしまった……。
ではなぜこんな珍現象が起きたのでしょうか。
それには科学的な根拠があるというのです。
人間は耳で音を聞くだけでなく、細胞一つ一つに音を感知するセンサーを備えていることがわかったといいます。
つまり人は、音を“全身”で聴いているのです。
・・・<『アナログの逆襲』、p55~p61から抜粋開始>・・・
自然音に含まれる数万、数十万ヘルツ“倍音”
●自然音は“倍音”総合エネルギー
ピタゴラスは音響の科学にも深い関心を抱いていた。
彼は一本弦の琴(こと)を用いて音響の解明を試みた。そして、弦を弾いて発生する音は、一瞬にして、その倍数の周波数の音を生み出すことを知った。これが“倍音”である。
“倍音”の周波数は、整数倍で、倍音が倍音を次々に生み出し、自然音の発する周波数は、一瞬にして数万、数十万ヘルツの“倍音”まで生み出すのである。
つまり、自然音とは“倍音”の総合波動エネルギーなのである。
しかし、CDは自然音ではない。
なぜなら、人間の耳で聞こえる周波数は、限られている。これを可聴域という。
周波数なら20ヘルツ~2万2000ヘルツくらい、とされている。
個人差はあるが、これ以外の低周波、高周波は、耳には聞こえない。
だから、オーディオ技術者たちは、CDプレーヤーを製作するとき、これら非可聴域の周波数をカットしたのだ。
エンジニアたちは「耳に聴こえないから再生しても無意味」と思っていたのだ。
それも無理はない。「音は耳で聴くもの」という先入観があってあたりまえだ。
●全身で音を“聴いて”いた
しかし--。
実は人間は身体全体で“音”を聴いていたのだ。
それを解明したのが東北大学(医学部)チームだ。
その研究は画期的だ。
チームは「人体の全細胞には“音”を感知する“アンテナ”(絨毛:せんもう)を備えていることを発見した。
つまり、人体は耳だけでなく、全身で音を“聴いて”いることが解明された。
だから、CD再生のとき、“可聴域”でないからと非可聴域の低周波、高周波をカットしたのは、大きなまちがいだった。
「……音と周波数が、人間と、そして『この世のすべて』に与えている影響は、はかりしれないものであり、そこから考えると、『音(周波数)による医療』は非常に現実的な未来への展望だと思います」(ブログ『In Deep』)
●自然音で植物は数倍成長する
自然音で影響を受けるのは動物だけではない。
植物も同様に、音で影響を受ける。
たとえば、植物の葉、花、茎などへの実験で、低い周波の下での成長率は、無音の場合に比べて、数倍大きくなることが証明されている。
植物の成長に影響を与えるものは鳥のさえずり、せせらぎ、木々の葉が風にそよぐ音などである。これら自然音が“聞こえる”“聞こえない”で、植物の成長に数倍もの開きが生じる。
なら、動物である人間も自然音の影響を受ける。
植物を数倍成長させるパワーをもっている!
それなら、人間にも数倍もの生命パワーを与えるのが当然だ。
天才科学者ピタゴラスは、その“音”と“治癒”の関連を見抜いたのだ。
「……鳥のさえずり、木々の葉音などの可聴域を超える自然音こそが、病を癒す」
“倍音”を削除した有害なCDの人工音
●CDを聴いているとなぜか疲れる
CDで音楽を聴いていると、なぜか疲れる。
こんな体験の人が、あまりに多い。透明なクリアサウンドなのに、なぜ……?
理由もはっきりしている。非可聴域の周波数をデジタル処理の過程でカットしたからだ。
だから、人工音には自然音に含まれる調和のとれた“倍音”は含まれない。
それを、人間は全身の一つひとつの細胞で聴いている。
不自然な音を聴いていると、身体の体細胞は不自然な周波数に“共鳴”してしまう。
だから、極端にいえば、全身細胞は、不自然な周波数で振動を始める。
「波動医学」の根本原理は、生来の周波数の乱れが、病気をつくるということ……。
ここまでの説明で、ご理解いただけたと思う。
●アナログの“温もり”にたどり着く
なぜ、世界中の人々が、CDデジタル音から離れてLPなどアナログ音に、回帰しているのか?
その理由も解明された。世界中の人々は、不自然で有害なデジタル音から避難している。
デジタル処理された音は、どこまで行っても人工音だ。
これに対して、LPなどアナログ音には、自然音が含まれている。
なぜなら、それは自然音の振動を溝に刻んでアナログ振動で音を再生しているからだ。
それだけ、より自然音に近い。だから、CDデジタル音源に疲れた若者たちは、LPアナログ音源に、ホッとした安らぎを感じるのだ。
それを、彼らは“温もり”“やさしい”などと表現している。
音楽業界の人々にとって、いまだアナログ・シフトは謎なのかもしれない。
しかし、その根底には、次のような現象があった。
現代のデジタル文明への人々の“悲鳴”と、そこからの“逃避”である。
そして、かれらはレコードというアナログの“温もり”にたどり着いた。
それは、あらゆる“アナログの逆襲”に共通する流れなのだ。
・・・<抜粋終了>・・・
要約すると、CDは人間の可聴域といわれる20~22000ヘルツ以外の音域をカットしてしまった。
自然音は、それ以外の可聴域があるうえに、倍音の効果もある。そうした自然音を音を全身の細胞で聴く人間は、CDから流れる音に“不自然さ”を感じてしまったということのようです。
私は、もし今後の人生でチャンスがあれば、部屋にレコードプレーヤーとアンプを置いて、また音楽を聴いてみたいという気持ちになりました。
< おまけ >
私が若い頃によく聴いた、「サイモンとガーファンクル」の『コンドルは飛んでいく』です。
「ロバータ・フラック」の『やさしく歌って』です。
この曲を大口径のウーファ(低音域専用のスピーカー)を使ったステレオで大きな音量で聴いて、とても感動した体験があります。
当時はフォークソング全盛で、この『22才の別れ』に限らず、同世代の多くがギターを奏でました(私は『神田川』が弾けました)。
(2025年6月28日)
興味のない方は、この部分をスキップしていただければと思います。
中学校の同級生にK君がいて、彼は(いわいる)ラジオ少年と言われる人でした。
ラジオの受信部分であるチューナー回路を自ら設計し、秋葉原のジャンク街(中古の電気製品と部品を売っている)で買ったジャンク品から部品を取り外し、それらを組み合わせてチューナーを完成させるという、当時の私にとってスーパーマンのような存在でした。
K君は夏休みになると、秋葉原までの電車の定期を買って、ほぼ毎日通うぐらいのマニアでした(今の秋葉原はアニメの聖地でもありますが、当時は純粋な電気街でした)。
そんな友人を見ていると、自分でも何か作れそうな気がしてくるから不思議です(若さゆえでしょうか)。
レコードで音楽を聴くのが好きだった私は、ステレオアンプなるものを作ってみようと思い立ったのです。
もちろん電気回路の知識はゼロです。
当時の私は、負荷(ふか)を「ふに」と呼んで、K君を驚かせたぐらいです。
本屋で買ったステレオアンプの作り方の本を眺めているうちに、「よし!、いっちょ真似して作ってみよう」と一念発起しました。
電気回路の知識はゼロでも、本に載っていることを完璧に真似すれば動くはずだと思ったのです。
お金が無かった私は、新聞配達をしてお金を貯めました。
2万円ほど貯まったので、新聞配達を止め、アンプ作りに専念することにしました。
秋葉原で買ったプリント基板に油性ペンで回路を書き込み、塩化第二鉄の溶液に浸します。しばらくすると油性ペンで描いた部分以外は溶けて、電気配線の回路が浮かび上がります。そこに、トランジスタ、抵抗、コンデンサを挿し込む穴をドリルで空けます。
完成した回路に部品を差し込み、はんだ付けします。
本体となるシャーシ(電子機器を組み込むためのフレームや筐体)にも可変抵抗を付ける穴などを空け、完成したプリント版と配線します。
そうした作業を毎日、夢中で続けました。
それで一応完成したのですが、電源をオンするまでに、何度も何度も配線のチェックをしました。
なにしろ電気回路の知識はゼロです。音が出なくても修理する知識がありません。配線を間違って、煙を吹くかもしれないのです。
試運転の音源は、秋葉原のジャンク街で買った中古のFMチューナーにしました。
FMチューナーの出力をアンプの入力に繋ぎ、アンプの出力はこれもジャンク街で買った裸の小さなスピーカーに繋ぎました。
そして、覚悟を決めてアンプの電源をオンにしたのです。
果たして、音は出たか……。
出ました!
電源オンの前はドキドキしたのですが、いったん音が出ると、ああ、こんなものか……、という感じでした。
今にして思うと、作る工程が一番楽しくて、完成してしまうと興味が無くなってしまうのだと思います。
その後、レコードプレーヤーを買って、当時流行っていたフォークソングや、サイモンとガーファンクルの曲などを聞いていました。
この中学生のステレオ体験は、私にとって忘れられないものとなっています。
すみません、長々と話してしまいました。
私にとって手作りのステレオアンプから流れるレコードの(アナログ)音は特別な想い出となったのですが、時代の流れで、レコードプレーヤーは急速にCD(デジタル)にとって代わられました。
今週は、そうしたアナログ、デジタルの変遷の話です。
先週に続き、『アナログの逆襲』(船瀬俊介著、ヒカルランド)から抜粋して紹介させていただきます。
・・・<『アナログの逆襲』、p38~p40から抜粋開始>・・・
1982年CDデビュー、5年でLPを駆逐
●透明な音貿・繊細な再現
CDの登場は革命的だった。
まず、オーディオマニアが狂喜した。
クリアサウンド。透明な音質。繊細な再現力……。
その称賛は、限りない。
そもそもCDとは、いったいどんな音なのか……?
「……レコードは、人間が聞き取れる可聴域(20~20000ヘルツ)以外の音も記録しますが、CDでは記録を最適化しており、可聴域間の音のみを取り出して、デジタル処理(サンプリング)して記録しています」(『オーディオTOPICS』)
つまり、自然音をデジタル処理して、再生する。それがCDなのだ。
だから、人工音である。ただし、細密にデジタル処理するので、細密な音まで再現可能。これは、デジタル映像にも通じる。デジタル情報量を極大にする。すると、画像は……4K……8K……と驚くほど精彩になる。
「……肉眼で見えないものまで、見える……!」
大画面で見ると、4K、8K……。迫力は言葉にできないほどだ。
同様にCDデジタル音源は、それまで聞き取れなかったような音まで再現する。
指揮者の腕時計の音まで……は、さすがに、ありえないが……。
最初にCD再生音に接したマニアの驚嘆が伝わってくる。
つまりは、限りなく透明なクリアサウンド--。
●爆速普及わずか5年でレコード市場は壊滅
CDの起源はアメリカ発明家J・ラッセルに起因する。
彼は1965年、音楽用光学メディア・テクノロジーを考案する。この画期的発明に着目したのがソニーとフィリップス。2社は1979年、共同開発をスタートさせる。
開発の歴史は意外に新しい。1981年、ドイツでカラヤン指揮の交響曲が世界で初めてCD録音された。こうして、1982年、CDは世界的にデビュー。そして、ソニー、日立、日本コロムビアなどから続々とCDプレーヤーが発売された。
まさに、CD時代の到来である。それは、爆速という表現がふさわしい。
発売からわずか5年後には、それまでのレコード売り上げを追い抜いてしまった。
アッという間である。昔懐かしいSPやLPは、一瞬でCDに駆逐されてしまった。
消費者がCDに殺到したのは“クリア”な音質以外にも訳があった。
まず、CDは直径12センチとコンパクト。直径30センチ余りのLPより、取り回しや収納が楽だ。LPなどは溝に針を下ろすのが面倒……。しかし、CDはディスクをトレイに置くだけ。あとは自動収納でクリアな音が楽しめる。加えて、CDは各曲の頭出しがワンタッチOK(AMS:オートマチック・ミュージック・センサー)。加えて、全曲/一曲/部分の3パターンを選曲できる!(リピート・プレイ機能)……など。
当初CDプレーヤー価格は16万円前後と、かなり高額。それでも、飛ぶように売れた。こうして、CDは音楽業界……いや、音響業界に一大革命をもたらした。
古臭い旧式LPプレーヤーは、一瞬で姿を消した。街からはLP専門店も消滅した。
昔懐かしい……どこか人間臭い音源は、もう二度と帰って来ることは、ないだろう……。
・・・<抜粋終了>・・・
愛着のあった手作りアンプとレコードプレイヤーですが、就職して4畳半一間のアパートに住むことになり、とても置くスペースがないので、持っていたレコードも含めて人にあげてしまいました(今にして思うと、レコードだけでも取っておけばよかったと後悔しています)。
学生の頃と違い、就職するとのんびり音楽を聴く暇もなくなってしまいました。
それゆえ、世の中が急速にレコードからCDになったことを実感できず、気がついたらレコードが無くなっていたという感じです。
しかし、その無くなったはずのレコードが復活しているというのです。
・・・<『アナログの逆襲』、p40~p45から抜粋開始>・・・
見よ! 世界の音楽業界で始まったアナログの逆襲
●2022年、米国でLPがCDを追い抜く
……と、だれもが思っていた。
しかし、しかし--。
だれもが思わぬことが出来(しゅったい)した。まさに椿事(ちんじ)である。
だれもが気づかぬまにLPプレーヤーの売り上げが、CDプレーヤーを追い抜いたのだ。
LP盤の売り上げがCD盤を追い抜いた。
エ、エエ……! ウッソー。いつのまに……。だれもがキョトン、唖然とする。
耳を疑う。目を疑う。そんなことあるの? あるのである。
それは、日本だけではない。全世界で、珍現象が起こっている。
たとえば、米国レコード協会の発表によれば、2022年売り上げ枚数でLPなどのレコードがCDを追い抜いている。
この年、アメリカ国内でのCD売り上げ枚数は3300万枚、LPレコードなどは4100万枚。なんと800万枚(+24%)もの大差で、ぶっちぎり。驚異の逆転で、アナログがデジタルを抜き返したのだ。
まさに……アナログの逆襲……。
「……1988年にレコードがCDに抜かされて以来、初の快挙となる」(『オーディオTOPICS』前出)。
●“温もり”“本物”vs“冷たさ”“偽物”
この動きは、アメリカ国内だけの現象ではない。
日本を含め、全世界的な現象なのだ。
日本でも、1998年をピークにCDの売り上げは急減している。
それに反比例して、アナログレコードの生産は右肩上がりで急増。
その売り上げも2020年から急角度で激増している。まさに、ロケット状態だ。
たとえば、2023年の年間生産量は前年比126%増の269万1000枚。
金額は前年比145%の62億6700万円。これは、1989年以来、34年ぶりの60億円超えとなった。レコード完全復活である。
まさに、デジタルからアナログへ……。
その回帰現象の典型的な現れというべきだろう。
この逆トレンドの背景には、音楽ファンたちの逆カルチャーショックがある。
デジタル音響に耳を慣らされてきた人々は、はじめてLP音響を聴いて驚愕する。
「……ここに、本物のサウンドがある!」
「なんなんだ! この温もりとやさしさは」
米国のテックメディア『ザ・ヴァージ』は、こう解説する。
「……多くのオーディオマニアたちは『レコード盤にはデジタル盤に比べて“温かみ”があり、より本物らしい』と口を揃えている」
“温もり”“本物”らしさ--。
これがキーワードだ。
逆にいえば、彼らはCDに以下を感じていた。
“冷たさ”“偽物っぽさ”--これが敗因なのだ。
同記事は、さらに以下のように続ける。
「……レコードの黄金期を生きた人々が、再びノスタルジーに駆られていることに加え、若い世代もレコードを購入している」
●CDプレーヤー壊滅、LP装置にシフト
若者世代にとって、LPは“古いどころか”新しい体験だ。
かれらの口調を借りれば「ナニこれ?」「チョー温けーじゃん!」「カッケー!」
若者たちは、大ぶりLP装丁にも魅かれている。
グラフィックなテイスト。大判ならではのアート感覚。インテリアとしても決まる。
ちなみにアメリカで2022年、レコード盤で最大ヒットしたのは女性歌手テイラー・スウィフトで約170万枚。
これは、かつてのビートルズの55万3000枚の3倍超という売り上げ枚数だ。
そして、わが国でも異変が起きている。
それが“オンキョー”“サンスイ”などかつて栄華を極めたオーディオ専門メーカーの低迷だ。まさに、昔日の影もなし。重ねて、家電量販店などでもCDプレーヤー売り場が、いつのまにかLPプレーヤーに取って代わられてしまっている。
まさに、まさに、いつのまに……。
外国映画などを観ても、大富豪の居間のシーン。ブランデーグラス片手に、美女にめくばせして主人公は豪華なオーディオ機器のLP盤にダイヤモンド針を落とす。温かい音楽が流れ、美女はうっとりと流し目を送る。これが、もはや、あたりまえのシーンなのだ。CDをトレイに載せて挿入などは、ムードぶちこわしでダサイのだ。
文字通り驚異ともいえる逆転劇……。だれもが目を疑うアナログの復活だ。
はたして、このような事態を予想した市場関係者、音楽関係者がいただろうか?
・・・<抜粋終了>・・・
レコードの復活は、昭和世代の中高年がノスタルジアに浸っただけではないようです。
レコードを知らない若い世代が、レコードの音を聞いて魅かれているというのです。
若い世代にとっては、レコードは“新しいツール”と映ったようです。
・・・<『アナログの逆襲』、p47~p52から抜粋開始>・・・
●人類の“本物への目覚め”
「……収益ベースでは、レコードは2020年の時点ですでにCDを抜いていた。2022年のレコード売り上げは前年比17%増の12億ドルで、16年連続で売り上げを伸ばしている」)『オーディオTOPICS』前出)
これはもはやブームという名では片付けられない。
まさに“アナログの復活”だ。というより、人類の“本物への目覚め”というべきかもしれない。
「……近年アメリカでは、ソニーやオーディオテクニカなどから、ブルートゥース接続など最新技術に対応したレコードプレーヤーが登場している。レトロブームに乗り、レコードへの回帰は、まだまだ続きそうだ」(同)
10年で売り上げ23倍!
レコード再燃を支える若者たち
●アナログ盤は“新しいツール”
「……いまや、音楽の楽しみ方といえば、デジタルの配信サービスが主流だが、数年前からアナログレコードの売り上げが大きく伸びている。米国では、CDの売り上げを超え、日本でもこの10年で約23倍という爆発的な売れ行きだ。しかも、米国のレコード購入者の約6割は30代前半以下。レコードを知らない世代が、アナログ盤を“新しいツール”として所有する」(『集英社オンライン』)
このトレンドを、まったく知らないのが皮肉なことに中高年世代なのだ。
「CDプレーヤー売り場がLPプレーヤーに変っちゃったよ」
「エエー、嘘だろう。ありえねぇよ」
昭和レトロ世代が、逆に流れに取り残されている。
しかし、音楽業界ではもはやCD全滅。LP復活。これは常識なのだ。
図版5は、LP販売専門店の展示コーナー(管理人注:写真は略)。
カラフルな表装LPが壁一面にズラリ。人気のアナログレコードは、入荷するとすぐに完売するという。
●“ぜいたく”“心地好い”“楽しみ”
「……米国では2020年に、アナログ盤の売り上げが34年ぶりにCDを超えた。英米よりも配信サービスの普及が遅れたため文化が根強く残り、とくに“ガラパゴス”と揶揄される日本でも、レコードに関しては同様の傾向が見られる。アナログレコードが底をついた2010年の1億7000万円から2021年、約23倍、39億円と爆発的な伸びを見せている」(『集英社オンライン』)
渋谷には、国内最大級のアナログ専門店もオープン。音楽販売大手タワーレコードが経営している。その名は“タワー・ヴァイナル・シブヤ”。7万枚ものレコードを常備、展示している。店内はお目当てのレコードを探す若者たちでごった返している。
「……20代の男子大学生は、『1~2年前、好きなアーティストがレコードを出したことを機に聴くようになった』という。『レコード店に通ううち、他のアーティストや古い曲にも興味が出てきた。とくに昔の曲は音が“ぜいたく”で、“心地好く”感じる。夜にリラックスできるので聴いている』と話す」(『JIJI.COM』)
LPの温かい音楽に癒されている姿が、目に浮かぶようだ。
他の男子学生も同様にアナログレコードの魅力を語る。
「……『デザインが“かっこいい”ので、ジャケットを部屋に飾っています。レコードをセットして、針を落として……と準備に手間がかかる分、聴くのが“楽しみ”になる』と語った。半年前に、(LP)プレーヤーを購入し、ロックやジャズなどの20枚ほどを集めたという。この日は、5000円ほどの海外ロックバンドのアルバムを選んだ。『少し高いけれど、好きなのでこれからもコレクションを増やしたい』」(同)
●レコードを選ぶアーティストたち
タワーレコードも、11年から21年にかけて、レコード売上は25倍に跳ね上がった。
関係者もピックリだろう。
「……10年前の客層は40代以上が大半だった。しかし、近頃は30~40代が中心で、高校生や大学生も増えている」
また、あえてレコードで楽曲を出すミュージシャンも増えている。
邦盤でも、2022年は462タイトルもレコード盤で録音、販売されている。
10年前は、わずか38タイトルだから、12倍もLP盤やSP盤が売られているのだ。
70代の私には、まったく信じられない現状だ。
オーディオのプロは、解説する。
「……若手アーティストの動きが盛んになったのは、この2、3年のこと。デジタルとは異なる“音の良さ”や、昔のレコードで再発売する先輩を見て“かっこいい”という雰囲気が生まれたよう。レコードのジャケットを使って自分の音楽を表現する楽しみを味わいたい、という思いもあるのでは……」
●外国客が一人10枚以上買う!
だから、一種のレトロブームも起こっている。過去作の再レコード化だ。
たとえば、山下達郎の1970~80年代のアルバム8作品をレコード盤にしたところすぐに売り切れ。追加生産した。その他、復刻版ヒットがあいつぐ。50年前の昭和のヒット作品なのに、飛ぶように売れている。
さらに驚きは、外国からの客がレコードに殺到していることだ。
たとえば前出の“ヴァイナル・シブヤ”では、客のほとんどを外国人が占める時間帯もある。彼らは円安もあって、一度に10枚以上のLPを買い漁る客も少なくない。
「……日本で売っているジャケットの保存状態がいいのは、海外でも有名」
来日するたびに、レコード店を訪れる、という外国人ファンも多い。
もはや、レコード過熱は一過性ではない。
世界中の若者たちに定着していることは確実だ。
・・・<抜粋終了>・・・
一度廃れたはずのアナログレコードがデジタルCDを凌駕してしまった……。
ではなぜこんな珍現象が起きたのでしょうか。
それには科学的な根拠があるというのです。
人間は耳で音を聞くだけでなく、細胞一つ一つに音を感知するセンサーを備えていることがわかったといいます。
つまり人は、音を“全身”で聴いているのです。
・・・<『アナログの逆襲』、p55~p61から抜粋開始>・・・
自然音に含まれる数万、数十万ヘルツ“倍音”
●自然音は“倍音”総合エネルギー
ピタゴラスは音響の科学にも深い関心を抱いていた。
彼は一本弦の琴(こと)を用いて音響の解明を試みた。そして、弦を弾いて発生する音は、一瞬にして、その倍数の周波数の音を生み出すことを知った。これが“倍音”である。
“倍音”の周波数は、整数倍で、倍音が倍音を次々に生み出し、自然音の発する周波数は、一瞬にして数万、数十万ヘルツの“倍音”まで生み出すのである。
つまり、自然音とは“倍音”の総合波動エネルギーなのである。
しかし、CDは自然音ではない。
なぜなら、人間の耳で聞こえる周波数は、限られている。これを可聴域という。
周波数なら20ヘルツ~2万2000ヘルツくらい、とされている。
個人差はあるが、これ以外の低周波、高周波は、耳には聞こえない。
だから、オーディオ技術者たちは、CDプレーヤーを製作するとき、これら非可聴域の周波数をカットしたのだ。
エンジニアたちは「耳に聴こえないから再生しても無意味」と思っていたのだ。
それも無理はない。「音は耳で聴くもの」という先入観があってあたりまえだ。
●全身で音を“聴いて”いた
しかし--。
実は人間は身体全体で“音”を聴いていたのだ。
それを解明したのが東北大学(医学部)チームだ。
その研究は画期的だ。
チームは「人体の全細胞には“音”を感知する“アンテナ”(絨毛:せんもう)を備えていることを発見した。
つまり、人体は耳だけでなく、全身で音を“聴いて”いることが解明された。
だから、CD再生のとき、“可聴域”でないからと非可聴域の低周波、高周波をカットしたのは、大きなまちがいだった。
「……音と周波数が、人間と、そして『この世のすべて』に与えている影響は、はかりしれないものであり、そこから考えると、『音(周波数)による医療』は非常に現実的な未来への展望だと思います」(ブログ『In Deep』)
●自然音で植物は数倍成長する
自然音で影響を受けるのは動物だけではない。
植物も同様に、音で影響を受ける。
たとえば、植物の葉、花、茎などへの実験で、低い周波の下での成長率は、無音の場合に比べて、数倍大きくなることが証明されている。
植物の成長に影響を与えるものは鳥のさえずり、せせらぎ、木々の葉が風にそよぐ音などである。これら自然音が“聞こえる”“聞こえない”で、植物の成長に数倍もの開きが生じる。
なら、動物である人間も自然音の影響を受ける。
植物を数倍成長させるパワーをもっている!
それなら、人間にも数倍もの生命パワーを与えるのが当然だ。
天才科学者ピタゴラスは、その“音”と“治癒”の関連を見抜いたのだ。
「……鳥のさえずり、木々の葉音などの可聴域を超える自然音こそが、病を癒す」
“倍音”を削除した有害なCDの人工音
●CDを聴いているとなぜか疲れる
CDで音楽を聴いていると、なぜか疲れる。
こんな体験の人が、あまりに多い。透明なクリアサウンドなのに、なぜ……?
理由もはっきりしている。非可聴域の周波数をデジタル処理の過程でカットしたからだ。
だから、人工音には自然音に含まれる調和のとれた“倍音”は含まれない。
それを、人間は全身の一つひとつの細胞で聴いている。
不自然な音を聴いていると、身体の体細胞は不自然な周波数に“共鳴”してしまう。
だから、極端にいえば、全身細胞は、不自然な周波数で振動を始める。
「波動医学」の根本原理は、生来の周波数の乱れが、病気をつくるということ……。
ここまでの説明で、ご理解いただけたと思う。
●アナログの“温もり”にたどり着く
なぜ、世界中の人々が、CDデジタル音から離れてLPなどアナログ音に、回帰しているのか?
その理由も解明された。世界中の人々は、不自然で有害なデジタル音から避難している。
デジタル処理された音は、どこまで行っても人工音だ。
これに対して、LPなどアナログ音には、自然音が含まれている。
なぜなら、それは自然音の振動を溝に刻んでアナログ振動で音を再生しているからだ。
それだけ、より自然音に近い。だから、CDデジタル音源に疲れた若者たちは、LPアナログ音源に、ホッとした安らぎを感じるのだ。
それを、彼らは“温もり”“やさしい”などと表現している。
音楽業界の人々にとって、いまだアナログ・シフトは謎なのかもしれない。
しかし、その根底には、次のような現象があった。
現代のデジタル文明への人々の“悲鳴”と、そこからの“逃避”である。
そして、かれらはレコードというアナログの“温もり”にたどり着いた。
それは、あらゆる“アナログの逆襲”に共通する流れなのだ。
・・・<抜粋終了>・・・
要約すると、CDは人間の可聴域といわれる20~22000ヘルツ以外の音域をカットしてしまった。
自然音は、それ以外の可聴域があるうえに、倍音の効果もある。そうした自然音を音を全身の細胞で聴く人間は、CDから流れる音に“不自然さ”を感じてしまったということのようです。
私は、もし今後の人生でチャンスがあれば、部屋にレコードプレーヤーとアンプを置いて、また音楽を聴いてみたいという気持ちになりました。
< おまけ >
私が若い頃によく聴いた、「サイモンとガーファンクル」の『コンドルは飛んでいく』です。
「ロバータ・フラック」の『やさしく歌って』です。
この曲を大口径のウーファ(低音域専用のスピーカー)を使ったステレオで大きな音量で聴いて、とても感動した体験があります。
当時はフォークソング全盛で、この『22才の別れ』に限らず、同世代の多くがギターを奏でました(私は『神田川』が弾けました)。
(2025年6月28日)
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