日本が米国のATMを止めれば海外資産が日本に戻り、日本人の生活は豊かになる。
円キャリートレードの終焉
2026年から2027年にかけて、日本は重大な転換点を迎えることになります。
その背景にあるのは、米国がすでに巨額の債務危機へ向かっているという事実です。
そして、その危機を左右する重要な鍵が、日本銀行の利上げと円キャリートレードの巻き戻しです。
日銀が政策金利を2%程度へ引き上げれば、これまで続いてきた円売り・ドル買いの流れが逆転し、円高・ドル安へ向かう可能性があります。巨額の円キャリートレードが解消されれば、日本から海外へ流出してきた資金が国内へ戻ることになります。
これは日本にとって、単なる為替相場の変動ではありません。長年にわたって米国を支えてきた日本の資金循環を転換し、国民の購買力を取り戻すための重要な選択なのです。
1.米国の債務残高40兆ドルと、年間11兆ドルの国債発行
世界全体のドル金融システムは、2026年から危機的な状況に入りつつあります。
米国の政府債務残高は約40兆ドルに達し、名目GDPの約1.25倍に膨らんでいます。しかも、毎年約2兆ドルずつ増加する勢いです。
2026年度には、満期を迎える米国債が約9兆ドルあります。過去に発行された短期国債などの償還期限が到来するためです。
もちろん、米国政府が9兆ドルを現金で返済するわけではありません。新しい国債を発行して、満期を迎えた国債を借り換えることになります。いわば、債務の期限を先送りする仕組みです。
さらに、新規の財政赤字が約2兆ドルあります。
したがって、2026年度に必要となる国債発行は、借り換え分9兆ドルと新規赤字分2兆ドルを合わせて、約11兆ドルに達する計算です。
1ドル160円で換算すると、実に1,760兆円です。
日本の国債残高が約1,300兆円規模であることを考えれば、米国が1年間に必要とする国債発行額の巨大さが分かります。
ただし、問題は国債を発行できるかどうかではありません。
問題は、金利を上げずに11兆ドルもの国債を市場で消化できるのかということです。
国債を購入する投資家が十分に集まらなければ、米国政府は利回りを引き上げなければなりません。
ところが、金利が上がれば政府の利払い費が増えます。利払い費を賄うために国債を増発すれば、さらに金利上昇圧力が強まります。
財政赤字と利払い費が互いに拡大していく、いわゆる「ワニの口」の構造です。
米国の国債利払い費は、年間約1.4兆ドルという規模に膨らんでいます。1ドル160円換算で約224兆円です。
国債残高40兆ドルに平均3.5%の金利を掛ければ、年間1.4兆ドルになります。
軍事費もイラン戦争によって大きく膨張し、約1.4兆ドルという規模が問題になっていますが、国債利払い費もそれに匹敵する負担となっているのです。
米国政府にとって、国債金利をこれ以上上昇させないことは、財政運営上の最重要課題になっています。
2.海外に依存する米国債と、金利上昇の悪循環
米国が日本と大きく異なるのは、国債の相当部分を海外投資家が保有していることです。
海外が保有する米国債は約11兆ドルに達し、米国債全体の約3割を占めています。
最大の保有国は日本で、その残高は約1.2兆ドル規模です。
かつて最大の保有国だった中国は、2014年頃から米国債の保有を減らし、現在では約6,000億ドル規模まで縮小しています。
一方、日本国債の海外保有比率は約8%程度とされ、国内の金融機関や投資家による消化が中心です。
米国は、海外に国債を購入してもらわなければ財政を維持しにくい構造になっています。
さらに、米国の対外純負債は約26兆ドル、円換算で約4,160兆円という規模に達しています。
米国は国内に巨額の政府債務を抱えるだけでなく、国全体として海外に対しても巨額の純負債を持つ国家なのです。
海外からの資金流入が止まれば、米国の財政と金融市場は深刻な問題に直面します。
そして、米国債の利回りはすでに大きく上昇しています。
2026年の金利水準として、10年国債は約4.7%、30年国債は約5.2~5.3%という状況です。
2022年と比較すると、10年国債、30年国債ともに利回りが約3ポイント以上上昇しています。
ここで重要なのは、国債の利回りが上昇するということは、既発国債の市場価格が下落するということです。
例えば、平均残存期間を7年とし、利回りが3.2ポイント上昇した場合、簡易的な割引計算では次のようになります。
\[ \frac{1}{(1.032)^7}\fallingdotseq0.80 \]
つまり、100万円の国債の価値が約80万円に下落するというイメージです。
実際の国債価格はクーポンや残存期間によって異なりますが、金利上昇が既発国債に大きな評価損をもたらすことは変わりません。
100万円で購入した国債が80万円になれば、保有者には20万円の評価損が発生します。
日本の金融機関、とりわけ国債を大量に保有する信用金庫などでも、金利上昇による評価損が問題になります。
米国でも同じことが起こっています。
既発国債の価格が下がれば、投資家は損失を抱え、新たな国債を購入する余力や意欲が低下します。
買い手が減れば、国債価格はさらに下がり、利回りは一段と上昇します。
国債市場は株式市場よりはるかに大きく、金融システム全体を支える基盤です。その国債市場で価格下落と金利上昇が続くことは、株価の下落以上に重大な意味を持ちます。
米国政府が直面しているのは、まさにこの悪循環です。
3.米国債の買い戻しでも止まらない長期金利
2026年8月には、米財務省が長期国債の買い戻しを実施し、市場の金利上昇を抑えようとする動きがありました。
短期国債を発行しながら長期国債を買い戻すことで、長期国債市場の需給を改善しようとするものです。
買い戻し規模として約40億ドルという数字も挙げられています。
しかし、30年国債利回りは5%を超え、長期金利の上昇圧力は収まっていません。
それだけ米国債への売り圧力が強いということです。
背景には、米国の財政悪化に加え、イラン戦争を経た米国への国際的な信用低下があります。
国債を購入する側は、政府の返済能力だけでなく、将来受け取るドルの価値も考えます。
たとえ額面どおりに償還されても、その時点でドルの購買力が大きく低下していれば、投資家は実質的な損失を被ります。
したがって、米国債の金利上昇は、単に財政赤字が増えたという問題ではありません。
ドルという通貨そのものへの信用が問われ始めているのです。
4.日米の中立金利と、円キャリートレードの仕組み
円キャリートレードを理解するためには、日米の金利差を確認する必要があります。
中央銀行の金利政策を考える際には、テーラールールという考え方があります。
潜在成長率、目標インフレ率、期待インフレ率などを使い、経済を過度に刺激も抑制もしない金利水準を考えるものです。
日本の潜在成長率を0.5%、目標インフレ率を2%、期待インフレ率を4%とし、インフレ率の乖離に対する係数を0.5とすれば、
\[ 0.5+2+0.5\times(4-2)=3.5\% \]
という金利水準になります。
一方、日本の政策金利は1.0%という低い水準にあります。
仮に0.25ポイント利上げして1.25%になっても、この計算上の3.5%を大きく下回ります。
日本は、依然として強い金融緩和を続けていることになります。
これに対し、米国の潜在成長率を1.8%、目標インフレ率を2%、期待インフレ率を4%とすれば、
\[ 1.8+2+0.5\times(4-2)=4.8\% \]
となります。
米国の10年国債利回り4.7%は、この水準に近いものです。
もちろん、テーラールールによる政策金利の試算と長期国債利回りは厳密には別のものですが、日米の金融環境の違いを考えるうえで重要な数字です。
日本では円の金利が低く、米国ではドル建て資産の利回りが高い。
そのため、円を借りてドルを買い、米国債などに投資する取引が成立します。
これが円キャリートレードです。
日本の10年国債利回りが2.9%、米国の10年国債利回りが4.7%なら、差は1.8ポイントです。
為替リスクを考慮しなければ、米国債の方が高い利回りを得られます。
この金利差が、長年にわたり円売り・ドル買いを促してきました。
円を売れば円安になり、ドルを買えばドル高になります。
その結果、日本の資金が米国へ流れ、ドルの価値を支える構造が続いてきたのです。
5.実質実効為替レートが示す日本円の下落
日本円の価値がどれほど低下したかを考えるうえで、重要なのが実質実効為替レートです。
これは、特定の一通貨に対する為替相場ではなく、主要貿易相手国の通貨との関係や物価の違いを考慮した通貨の実力を示す指標です。
日本円は1970年から1995年にかけて大きく上昇しました。
1995年には1ドル78円という円高を記録しています。
当時、日本は貿易黒字と経常黒字を積み上げ、国際的な通貨価値を高めていました。
ところが、その後は状況が逆転しました。
特に2013年のアベノミクス以降、円の実質実効為替レートは大幅に下落しています。
かつて150程度に達していた指数が60程度まで低下したとすれば、円の実質的な価値はピーク時の約40%になった計算です。
一方、米国は貿易赤字を抱えているにもかかわらず、ドルの実質実効為替レートは上昇しました。
本来、経常的な赤字を抱える国家の通貨には下落圧力がかかります。
それにもかかわらず、ドルが高く、円が安くなったのはなぜでしょうか。
その大きな要因が、日本からの継続的な円売り・ドル買いです。
日本は自国通貨を売って米国の資産を購入し、ドルの価値を支えてきました。
その結果、黒字国家である日本の円が下落し、赤字国家である米国のドルが上昇するという、国際金融上の歪みが生じたのです。
しかも、ドルは円に対して上昇していても、金に対しては価値を下げています。
金価格が2012年以降に約4倍になったとすれば、金を基準にしたドルの購買力は約4分の1になったという見方ができます。
つまり、ドルは円に対して強くなった一方、金に対しては弱くなっているのです。
日本はドルを押し上げるために、自国通貨の価値を犠牲にしてきたのではないでしょうか。
この問題を抜きに、日本の円安を論じることはできません。
6.MMTと通貨増発の限界――トルコリラが示すもの
自国通貨を発行できる政府は、国債を自国通貨で発行する限り、財政破綻しないという考え方があります。
現代貨幣理論、いわゆるMMTです。
日本でも2015年頃から広く紹介され、支持する経済学者や評論家が増えました。
確かに、インフレが起こらない時期には、中央銀行が国債を購入して通貨供給を拡大しても、国内物価への影響は限定的な場合があります。
日本の異次元金融緩和がその例です。
日銀は大量の国債を購入し、マネタリーベースを500兆~600兆円規模にまで拡大しました。
しかし、国内物価は通貨供給の拡大に比例して上昇したわけではありません。
その一方で、円の対外価値は大きく下落しました。
ここが重要です。
国内物価がそれほど上昇しなくても、国際的な通貨価値は下がり得るのです。
では、インフレが進行している時期に中央銀行が通貨を大量発行すると、どうなるのでしょうか。
その実例がトルコです。
トルコのインフレ率は、2022年に約72%、2023年に約53%、2024年に約58%、2025年にも約35%という高水準でした。
一方、政策金利は2022年に14%程度、その後30%、45%へ引き上げられましたが、インフレ率に対して十分に高いとはいえない時期が続きました。
その結果、実質金利は大幅なマイナスとなりました。
通貨を保有しているだけで購買力が失われる状況です。
トルコリラは2022年の1リラ約8円から、2026年8月には約3.3円まで下落しました。
2018年には1リラ約30円だったことを考えれば、長期的な下落幅はさらに大きくなります。
トルコでは、リラで給与を受け取った後、価値を守るためにユーロなどの外貨へ交換する動きが起こります。
リラを売ってユーロを買えば、さらにリラ安が進みます。
これが通貨下落の悪循環です。
米国でも、インフレが続くなかでFRBが財政赤字を補うために国債を大量購入し、ドル供給を拡大すれば、同じような通貨下落圧力が生じる可能性があります。
仮にドルの価値が30%下落すれば、ドル建て預金の名目金額は変わらなくても、その国際的な購買力は大きく低下します。
国債を発行し、中央銀行が購入すれば財政問題がすべて解決するわけではありません。
通貨の増発によって名目上の債務を維持できても、通貨そのものの価値が失われれば、国民の資産と購買力が犠牲になるのです。
これが、インフレ下における通貨増発の限界です。
7.米国の資金不足と、トランプ政権の対外資金調達
米国は政府の財政赤字だけでなく、貿易赤字や民間企業の巨額投資によっても資金を必要としています。
米国の貿易赤字は年間約1兆ドル規模に達しています。
その背景には、米国企業自身が構築した海外生産体制があります。
例えば、NVIDIAはAI向け半導体を設計していますが、その製造は台湾のTSMCなどに依存しています。
AppleのiPhoneやパソコンなども、中国を含むアジアの生産拠点で製造されています。
米国企業が海外で製造した製品を米国内へ輸入するため、米国の貿易赤字が発生します。
これは単に外国企業との競争に敗れた結果ではありません。
米国企業自身が海外に生産拠点を移した結果でもあるのです。
さらに、AIデータセンターへの巨額投資が加わっています。
Google、Amazon、Microsoftなどのハイパースケーラーは、AIデータセンターの建設に巨額の資金を投入しています。
投資計画は約1.5兆ドルという規模に達し、年間の資金需要も
マイコメント
特別会計の中の外国為替資金特別会計(外為特会)は日本人から集めたお金を使い
米国債券などを購入して日本人のお金を海外に流出されている。
だから、日本からお金が泣くなり、その分国民の貧困が進行している。
失われた30年と言うのは特別会計にお金を注ぎ込むために社会保険料を上げ消費税
の増税を行い日本国民から多額のお金を吸い取ってきた。
だから、消費税が必ずしも国民のために使われているという舗装はないのです。
しかし、こうした日本のATMとしても役割が終われば、それに合わせて日本人の
生活も徐々に改善されていくだろう。
ただし、それには10年と言う長期スパンになるだろう。


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