JPモルガンが、次の世界的食糧危機が近づいている可能性を公式に警告
複雑に絡んだ問題
JPモルガンのグローバルエコノミストが「来年にも次の世界的食糧危機が発生する可能性があると警告」という報道が出ていました。
よく読むと、食糧危機というより、食料価格の高騰について述べているのですが、しかし、今後は要因が複雑で、つまり、
・イラン戦争(ホルムズ海峡の閉鎖)
・スーパーエルニーニョ
などの影響が同時にやってくる可能性が高いですので、仮にですが、エルニーニョが長引いたり、中東の海峡の閉鎖状況が悪化したりした場合は、単なる食料高騰を超えた「危機」がやってこないとも限りません。
アナリストは、特に「肥料の不足」を懸念しているようです。
日本固有の問題としての米作問題、ディーゼル不足など
しかし、これとは別に、日本に関しては、いろいろな懸念はあるような気がします。
まず日本の主食のお米ですけれど、最近の報道では、
「米作農家がどんどん辞めている。あるいは辞めようとしている」
というものが目立ちます。コメ価格が下がり続ける中で、どれだけコメを作っても、赤字にしかならないからです。
最近数日だけでも以下のようなタイトルの報道があります。
・農家「早くやめた方が勝ち」新米の”買い取り価格”が急落(FNN 2026/08/13)
・「とんでもない赤字」コメ作りやめる農家も(福井テレビ 2026/08/04)
・「農家みんな辞めますよ」「とんでもない赤字…もう政府には何の期待もできない」(2026/福井テレビ 08/06)
お米を作っている農家さんたちが、このように大変に疲弊しているということがあり、また、これは日本だけの問題ではないですが、
「世界的にディーゼル不足が顕著になってきている」
ということもあります。
世界的なディーゼル燃料不足がさらに深刻化
NOFIA 2026年8月7日
ディーゼル(軽油)と食糧生産や流通との関係は非常に密接なもので、(仮に)極端なディーゼル不足になった場合、以下のような影響が考えられます。
食料生産への影響
・トラクター、田植機など主要な農機はほとんど軽油で動くため、ディーゼルが枯渇すれば、作業が手作業に戻らざるを得なくなる。
・ビニールハウスの加温、家畜の給餌・給水も多くがディーゼルによるもので、ディーゼルが枯渇すれば、畜産の維持が困難に。
・肥料の輸送もディーゼルによるものなので、肥料配送の予定が立ちにくくなる。
などがあり得ます。
食料流通への影響に関しては、何しろ大型車の多くがディーゼルで動いていますので、長距離トラックが動かなくなったり配送センターからのスーパーなどへの輸送が停止すれば、事実上、食料流通は停滞、あるいは最悪、停止します。冷蔵車なども動かなくなります。
もちろん、こんな極端なディーゼル不足が来るとは思ってはいませんが、しかし、
「では、絶対にそれが来ないのか?」
といえば、それはわかりません。
中東情勢は変化もないですし…というより、イランと米国で交わされた「覚書」の期限切れが今日 8月17日なんですね。
米国とイランとの「覚書」が本日(8月17日)期限切れに
NOFIA 2026年8月17日
しかし、お互いに歩み寄る姿勢はまったくないですので、むしろ状況は悪化しているのかもしれません。
戦争絡みでは、どの国も混沌としてきていまして、ロシアもウクライナによる「国内経済を標的とした攻撃」で疲弊してきています。
ウクライナが「ロシアのアマゾン」といわれるオンライン小売り最大手のワイルドベリーズ最大の倉庫を攻撃。事態は泥沼の経済戦争へ
earthreview.net 2026年8月17日
これに重なって異常気象や自然災害などが相次いだ場合(自然災害はともかく、スーパーエルニーニョの発達ぶりからは、今後さらなる異常気象が起きる可能性が非常に高いです)、いつかは食糧危機的な状況に突き進んでも不思議ではなさそうです。
何しろ、日本は「世界で最も飢えに近い」位置にあるのですから。
以下の記事などをご参照いただければ幸いです。
世界で最初に飢える国「日本」のこれからの段階
2026年4月20日
今年来年とは言わずとも、食料に関して、日本はどんな主要国よりも崖に立ち続けていると言えることは事実です。
ここから、JPモルガンのアナリストによる食糧危機についての記事です。
「短期間では終わらない」:JPモルガン、来年にも次の世界的食糧危機が発生する可能性があると警告
“Won’t Be Short-Lived”: JPMorgan Warns Next Global Food Crisis Could Erupt Next Year
zerohedge.com 2026/08/16
JPモルガンは、次の世界的な食糧危機がすでに形を成しつつある可能性があると警告した最新の機関投資家向け調査部門であり、その原因はアナリストが「5つのW」と呼ぶ、
・戦争(War)
・天候(Weather)
・倉庫保管(Warehousing)
・水(Water)
・廃棄(Waste)
であるとしている。
ロンドンを拠点とする上級グローバルエコノミストのノラ・センティヴァニ氏率いるチームは、「食料安全保障は国家安全保障:複合的な嵐」と題した新たな報告書の中で、ホルムズ海峡周辺の混乱と、歴史的な規模となる可能性のあるエルニーニョ現象の発生により、作物の収穫量が減少し、農業生産が抑制され、2027年前半まで食料インフレが高止まりする可能性があると警告した。
「 COVID-19 以降、相次ぐショックが重なり、食料生産能力が低下し、食料価格の高騰圧力は 2027年まで続く見込みだ」とセンティヴァニ氏は述べ、「これは一時的なショックではなく、短期的なデフレの可能性を低下させ、食料インフレのサイクルは 2027年上半期まで圧力をかけ続けるだろう」と警告した。
彼女は、世界の食料インフレ率が 2026年上半期の 2.8%から来年上半期には 5%に加速すると予測している。
飢餓に関する統計は、わずかに改善したにもかかわらず、この警告が発せられた。
2025年には約 6億4500万人が飢餓に直面すると予測されており、これは 2022年より約 4300万人減少している。しかし、世界人口の 25.8%にあたる 21億人が、依然として中程度または深刻な食料不安を抱えている。
センティヴァニ氏は、最も差し迫った脆弱性として肥料を挙げた。彼女は、「ホルムズ海峡の混乱と今後発生するであろうスーパーエルニーニョ現象は、肥料と食料価格への圧力を増大させている」と指摘した。
彼女は「作物と価格への影響はまだ顕在化しておらず、農業への影響は海洋のピークから6~12ヶ月遅れて現れる」と述べた。
センティヴァニ氏は、今年のエネルギーショックは、スーパーエルニーニョ現象によるインフレへの影響をほぼ倍増させ、世界の食料消費者物価指数(CPI)を過去最高 の0.7ポイント上昇に対し、約 1.5ポイント上昇させる可能性があると警告した。
食料インフレ率は 2027年上半期に年率 5%に達すると予測されており、総合インフレ率を 0.6ポイント押し上げ、年間のデフレを 0.3ポイント抑制する見込みだ。
「影響を受けるのは、米、砂糖、コーヒーなどの南アジアと東南アジア、カカオなどの西アフリカ、そして東アフリカと南部アフリカの一部地域に集中している」とアナリストは述べ、さらに「新興国はエルニーニョ現象の直撃を受ける。
食料インフレの最大の反応は、気候変動の影響を受けやすい農業が経済活動においてより大きな役割を果たし、消費バスケットにおける食料の比重が高い新興アジアとラテンアメリカに集中している。インド、コロンビア、インドネシア、ブラジル、台湾、韓国は、最も影響を受けやすい経済国として浮上している」と付け加えた。
さらに、中国は食料、肥料、エネルギー、工業用金属を備蓄している。西側諸国は戦略石油備蓄を保有しているものの(湾岸諸国からの供給不足を補うために急速に枯渇しつつある)、肥料の十分な備蓄がない。
ホルムズ海峡のチョークポイントが依然として混乱し、作物の生育状況が悪化し、輸出規制が拡大している状況を踏まえ、センティヴァニ氏は、今年初めに見られたようなガソリンスタンドではなく、来年には食料品売り場で次のインフレショックが発生する可能性があると指摘している。
センティヴァニ氏の指摘は読者にとって驚くべきことではないはずだ。なぜなら 、ゴールドマン・サックスや HSBC をはじめとする多くの機関投資家の見解を引用し、上述の要因が複合的に作用することで生じる可能性のある食料インフレのリスクの高まりについて警告してきたからだ 。
これは、国連食糧農業機関(FAO)の世界食料価格指数が 7月に 3年ぶりの高水準に達したことを受けてのことだ。
バンク・オブ・アメリカのアナリスト、ロバート・オームズ氏は先日、この秋にスーパー
マーケットで食料品価格が再び高騰する可能性があると警告した。
同氏は、賃金、ディーゼル燃料、原材料費を総合した指数を挙げ、「食料品価格の上昇が間近に迫っているかもしれない」と述べた。
読者の皆様にとって、ますます脆弱になっている食料サプライチェーンへの依存度を減らすには、裏庭で何らかのレジリエンス(回復力)を築くことが必要になるかもしれない。
それは、使われていないスペースで家庭菜園をしたりといった活用を意味する。今年の栽培シーズンはほぼピークを過ぎたが、今こそ来春に向けて計画を立てる時だろう。
近隣の牧場主、農家、地元の食品生産者と関係を築くことは、全国的な流通網が逼迫した際に代替の供給ネットワークを確保することにもつながる。







コメント